2025年8月1日金曜日

感じ合う世界のpiece

真夏日。吉祥寺MANDA-LA2で開催されたmueさんのワンマンライブ『感じ合う世界のpiece』に行きました。

客電が落ち、MANDA-LA2では定位置の舞台下手奥に置かれたグランドピアノに向かい、夏休みの心象を描いた短いイントロダクションから、レゲエのリズムの「真夏の日」「feelin'」とサマーソングが3曲続く導入。「今日は感じ合える時間が作れたらいいなと思います」と言う。

センターマイクに移動してガットギターで「朝の気持ちは昼には消えた」と歌う「夏空」へ。毎年4月11日に同じMANDA-LA2で開催している周年ライブが2025年は自宅からの配信のみで、僕は東京ミッドタウン日比谷のスターバックスで視聴しました。年末のゴスペルクワイアを除けば、1年4ヶ月ぶりに生で聴くmueさんのきらきらしているのに耳にやさしい歌声が全身に染み渡りました。

以前SNSで発信していた Abbey Road のB面のような連なる断片の響和は冒頭3曲とセカンドセットの「神様との約束」「砂粒程の奇跡を感じられる世界」「遠い場所からやって来たインスピレーション」のブロックで実現できていたと思います。

バンドセットの広がりや浮遊感も素敵ですが、今回のようなソロ弾き語りはより自由でリラックスした素の姿に近いのではないでしょうか。メロディメイカーとしてもスタイルを確立しているmueさんのシンガー面での充実ぶりがうかがえます。

どちらかというと感情や心象風景や抽象概念を歌詞にすることが多いmueさんが、共作曲やカバー曲で季節感のある風景や人の姿を歌うときの映像喚起力の強さに気づかされました。自作曲では情景を描いても次の瞬間に内面に入ってしまう傾向が強いので、もっと風景や表情を描写する歌を聴いてみたいと思いました。

「かつてLove & Peaceを歌いたいと思っていたとき自分の中にはPeaceがなく、Pieceしかなかった。今はPieceがPeaceに近づきつつある」と言う。変化し続けているからこそ、長く歌い続けていても失われないフレッシュネスが、会場を多幸感で充たしていました。