2009年9月28日月曜日

再会

ユナイテッドシネマ豊洲で是枝裕和監督の『空気人形』を観ました。板尾創路演じる中年のファミレス店員が所有する旧式のダッチワイフが、心を持ってしまうというR-15指定のお話。ペ・ドゥナが人形役を終始愛くるしく演じ、それだけでスクリーンいっぱいに幸せが溢れます。人形なのでつなぎめがあるのですが、shu uemuraに行ってコンシーラーで消してもらったり。 空気栓はおへそです。吉野弘の『生命は』を拙い日本語で朗読するのもチャーミング。

登場人物がことごとく孤独なのが切ない。

板尾さんの部屋は月島あたりの設定だと思いますが、変にガーリィなインテリアが変です。ピローケースがマトリョーシカ柄。

人形職人役のオダギリジョーも出番は短いのですが、とてもいいお芝居をしています。

ペ・ドゥナとは、25歳で韓国から留学してきた女子高生役を初々しく演じた『リンダ・リンダ・リンダ』以来、ARATAとは、こちらも27歳で男子高生役を演じた『ピンポン』以来の再会でした。

2009年9月26日土曜日

裏庭朗読会

以前3K11というポエトリー・リーディングで共演した女子三人組リーディング・ユニットのワニラが主催するオープンマイクに行ってきました。会場は白山にある映画館という名のJAZZ喫茶、こちらにもいつもお世話になっています。

ワニラの三人(嘉村奈緒イシダユーリ小夜)はそれぞれソロでも活躍中ですが、久しぶりに聴いた三人揃ったワニラの朗読がよかったな。それと今回MCを担当した奈緒ちゃんの進行が素晴らしかった。

他には、ササダさん?というウィリアム・サロイヤンを読んだベリーショートの女の子、伊津野重美さん、ジュテーム北村氏の「裏庭組曲」、キキさんの『赤毛のアン』などが印象に残りました。

僕は、20年がかりで最近ようやく詩集をコンプリートした岸田衿子さんの『忘れた秋』から無題のソネット、『らいおん物語』から「音無姫」を朗読しました。

『ココ・アヴァン・シャネル』を観たので、張り切ってボーダーのシャツを着て出かけたら、ジュテさんとユーリもボーダーで、三人並ぶとなんか変な感じに。。
帰りの地下鉄では猫道くんとお話しして、いい刺戟を受けました。どうもありがとうございます。

2009年9月22日火曜日

再会

丸の内ピカデリー2で『ココ・アヴァン・シャネル』を鑑賞。題名の通り、修道院に引き取られてから、世界的ファッションデザイナーになる手前までのココ・シャネルの物語(日本で言ったら明治⇒大正⇒昭和、亡き祖母と同世代ですねー)。久しぶりに、フランス映画らしいフランス映画を観ました。

貧しい階級の出身で、社交界で差別的な扱いを受けた主人公のモチベーションは、富と名声を得ること。そのことで自分の居場所を獲得すること。

女性を解放し、自立させたとされる、婦人服の意匠に関する彼女の革新は、背広や漁師のボーダーシャツ、ジャージのスポーツウェアなど、紳士服のコンセプトを転用したもの。階級の壁を越えるためにヒットさせた新しいファッションの買い手は、結局富裕階級の女たちだったこと。

二重のアイロニーを主人公役のオドレイ・トトゥが抑えた演技でうまく表現しています。『アメリ』 以来8年ぶりの再会と思ったら、5年前に『ロング・エンゲージメント』を観ていました。印象薄い。。

衣裳はどれもステキでした。特に最初のシーンの子役が着ている重そうなウールのフード付きポンチョ。仮装パーティでココが着るボーイッシュな黒のパンツスーツ、バルザンのヘリンボーンツイードのスリーピースも好き。

2009年9月13日日曜日

夏の陣

秋ですね。秋ですが、麻のシャツを着て、ユナイテッドシネマ豊洲に「サマー・ウォーズ」を観に行きました。今年度暫定マイベストムービーにします。公開からずいぶん経つのに、いつもガランとしたシネコンが満員でした。

ちょうど前日のNHKトップランナーが細田守監督で、ロケハン時の駅弁の写真が映ったのですが、それがそのままアニメ化されていたり、別の楽しみも含めて。なんかそういうのってタイミングですよね。

ハッキングによってサイバースペースの秩序が破壊され、現実世界の公共インフラに影響が出ているときでも、高校野球の試合は何事もないかのように進んでいく。一方で、世界中のどこにいても力を合わせて何かを成し遂げることができる。

クライマックスの戦闘シーン(肥大化した人工知能vs和風美少女)では、日本の伝統的なカードゲームである花札で決着を着けます。劇場パンフに「こいこい」の役の解説が載っています。映画を観てパンフレットを買ったのは何年ぶりだろう。。

ジャパニメーションの様式美に則り、ヒロインの入浴シーンがちゃんと入っているのも好印象。お座敷ショットのフレーミングが小津映画ばりのローアングルなのは、仮想世界OZとかけているのかな。

声優陣では、佳主馬役の谷村美月が好演しています。仲里依紗もよかったな。 いい映画を観ました!

2009年9月6日日曜日

赤塚不二男展

シネカノン有楽町二丁目で『女の子ものがたり』 を観てから、Jプレスさんにいただいた招待券で銀座松屋8階大催事場の『赤塚不二男展』へ。20代の小洒落た男女を中心に、満員御礼な会場でした。

『天才バカボン』は雑誌連載時にほぼリアルタイムで読んでいたのですが、『レッツラゴン』になってから小学生には難解過ぎて、それから疎遠に。会場で久しぶりに再会した作品群の中では『ひみつのアッコちゃん』が一番印象深かったです。なんと三回もアニメ化されているんですね。歴代のコンパクトの展示も泣かせます。

展示後半で、等身大のモノクロのパネルで赤塚作品の主要キャラクターをほぼ網羅しているところがあるのですが、壁から飛び出してくる感じで見ごたえがありました。あと二日の会期ですが、見て損は無いと思いますので是非。

それから東京JAZZ2009が開催されている東京国際フォーラムを通って雰囲気だけ味わい、先週OPENした丸の内三菱一号館 の赤煉瓦建築を鑑賞して帰ってきました。

『女の子ものがたり』は漫画家が主人公という共通点があるせいか『グーグーだって猫である』的に若干残念な仕上がりでした。西原理恵子の原作漫画のつくりが、相当ブルージィなお話をパステルカラーの絵で中和しているようなところがあるので、実写になるとブルース色が前面に出過ぎなのかもしれません。

主人公の小学生・高校生・大人をそれぞれ森迫永依、大後寿々花、深津絵理が演じていますが、三人全員が左利きで、同一人物の設定なので当然とはいえ、左利き好きには堪らないです(実は深津さんだけ本当は右利きだそうです)。