2009年5月31日日曜日

サウンド・ガーデン

といっても、グランジ・バンドではなくて、

ひとつ前の投稿で紹介したイシカワアユミ作品展『庭』'09の続編「音庭」を観に、下北沢のcafe viet arcoへ。ちょうど雨もほとんど上がって、アジア的に湿った空気を分け、会場は白いペンキが塗られたセメントブロックの壁が印象的なベトナム風カフェ。http://www.renovationplanning.co.jp/arco/

展示作品も前回の黒っぽい地中のイメージから一転して、白を基調とした空間です。今回の箱は小鳥の巣箱。蓋はなく、丸い穴から中を覗きます。天井からはガーゼ製の小鳥のオブジェがたくさん吊り下げられていて、家主が巣立ったあとの巣箱に残された痕跡を鑑賞するかのようです。http://www2.tba.t-com.ne.jp/2beans/2b-garden4.htm

ジョセフ・コーネルとトード・ボーンチェ。どちらも好きなアーティストですが、彼等を思わせる素敵な作品群でした。
http://pem.org/cornell/
http://www.tordboontje.com/

ちょうど会場に作者のイシカワアユミさんご本人がいらっしゃいました。実際にお会いしたのは、昨年6月にstereo sistersがFMブルー湘南で持っているレギュラー番組のゲストに呼んでいただいて以来だと思います。イシカワさんの顔、特に左半分のホクロの位置が好きです。

2009年5月16日土曜日

蓋を開ける

三軒茶屋のカフェRAIN ON THE ROOFで5月17日(日)まで開催されているイシカワアユミ作品展『庭』'09「根っこの記憶」を観に行きました。http://www2.tba.t-com.ne.jp/2beans/2b-garden4.htm

イシカワさんは何度か共演させていただいたことのある女子二名のポエトリーユニットstereo sistersのメンバーでもあります。

壁に作りつけの小棚に、同じ大きさの木製の箱が十数個。言葉が印刷されたしわ紙が入っている木箱、版画で絵が描かれた小石が入っている木箱が交互に並び、それぞれの木箱の蓋を開いて中身を見る、見終ったら蓋を閉じて次の箱へ、というアナログなぬくもりのあるインスタレーション作品です。

ただ展示されている作品を見るというだけでなく、蓋を開く、閉じるという動作がそこに加わることによって、鑑賞者それぞれの時間と空間に作品が溶け込んでいくような、不思議な温度を感じました。中身によって軽い箱もあれば重い箱もあり、フィジカルに繊細に訴えるかける。来週から下北沢のcafe viet arcoで開催される「音庭」も楽しみです。

夜は自宅近くのシネコンで、クリント・イーストウッド監督主演『グラン・トリノ』を鑑賞。イーストウッド演じるポーランド系偏屈じいさんの隣家に住むモン族の姉弟スーとタオがとにかくチャーミングです。モン族は中国、ラオス、タイ等に住む山岳民族で、ベトナム戦争で米軍に協力したために現在の政権から亡命して米国中西部にコミュニティを形成している。

グラン・トリノというのは主人公がかつて工場でその一部を組み立て、いまも大切にしているフォード車の車種名です。中盤爆笑シーンがたくさんあって、エンディングは苦さの中に希望が見える映画でした。
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/

2009年5月4日月曜日

沈黙

ラ・フォル・ジュルネ2009 公演№145 J.S.バッハ「ミサ曲ト短調BWV235」「マニフィカト ニ長調BWV243」http://www.lfj.jp/lfj_2009/

東京国際フォーラムホールCの三階席最後列(3F10列36番)でした。座席の後ろは通路もなく、ただ壁があるだけなのですが、「マニフィカト」の途中で、背後を何かが通る気配を感じました。
http://www.t-i-forum.co.jp/general/guide/eventspace/hall_c/seating.php

 ひとつの沈黙がうまれるのは
 われわれの頭上で
 天使が「時」をさえぎるからだ (田村隆一「天使」)

そんな詩の一節を思い出しました。邪悪さのない良い感じの気配でした。

その後、深夜のホールB7で聴いた№128、ネマニャ・ラドゥロヴィチは演奏者自身が妖精に見えて。セルビアのヴァイオリニストだそうです。旧ユーゴはサッカー界では「東欧のブラジル」なんて呼ばれますよね。そんな感じのファンタジスタ。曲目はJ.S.バッハのヴァイオリン・コンチェルト1、2番でした。