2010年4月17日土曜日

わたしたちはこう言って、

雪が止んですっかり晴れ上がった午後、都営地下鉄三田線に乗って白山まで。JAZZ喫茶「映画館」で、とものさんキキさん小夜ちゃんという長女三人が出演する朗読会「3sisters(さんしまい)」を鑑賞。

小夜ちゃんが手を滑らせて、小さなガラスの食器を落しそうになり、「きゃあ!」と素に戻った瞬間、張り詰めた空気がほぐれて、そこからは柔かな時間が会場全体を覆っていきました。

松浦寿輝を朗読したとものさん、アフリカから帰国してから書いた小夜ちゃんの新作、それぞれ力演でしたが特に、キキさんの美しさが際立っていました。作品も声もその佇まいも。W.D.スノッドグラスの作品に出てくる「ペチュニア」や「ヘイディン・アディン・アディン」みたいな音がキキさんの声で再生される瞬間に立ち会うことができました。

自作詩は、深い青空をバックにしたキリンがプリントされたクリアファイルを持って朗読していて、客席からはキリンが横になって見えたのですが、キキさんの美しさはキリンの美しさだなあ、と思いました。以前Poetry Japanさんで紹介させてもらった大好きな無題の詩が聴けたのもうれしかったです。

会場になったJAZZ喫茶映画館さんは、6月7日(月)にNHK教育テレビの「極める!」で紹介されるそうです。忘れないようにメモ。
 

2010年4月4日日曜日

いま来た角に

花曇りの日曜日、代々木上原まで。Coruri / Cafe 家で開催されたBOOKWORMに参加しました。 BOOKWORMは1998年3月に始まったフリースタイルのオープンマイクです。

多くの人がマイクの前で話をするこの集まりにはなぜか、いつも偶然の符合が生まれ、異なる声を縫いとめていくような瞬間があって、それがとても好きです。今回でいえば「ガットギター」「ボブ・ディラン」「谷川俊太郎」「スイーツ」といったキーワードが複数の出演者の間をつないで流れました。

会場のコルリさんは、ダブル・フェイマスのサックス奏者でBOOKWORMのスタッフでもある藤田文吾さんご夫妻が昨年秋にオープンしたカレー喫茶。屋上のある素敵なお店です。

いろいろな声を聴くことができて幸福な三時間半でした。僕は、宮澤賢治の『春と修羅 第二集』から「いま来た角に」の先駆形A(水源手記)、先駆形B、最終稿の3バージョンを紹介しました。

BOOKWORM12周年おめでとうございます。この風通しの良い集まりが、無理せず、自由に、長く続くことを願います!