2014年7月26日土曜日

日曜音楽バー「アサガヤノラの物語」

梅雨が明けたと思ったら、東京は立て続けの猛暑日です。体調を崩したりしていませんか? 夏の終わりのライブのお知らせです。

カワグチタケシ2014年唯一となるソロライブは、リスペクトするミュージシャン、ノラオンナさんが日曜店長をつとめる「アサガヤノラの物語」にて。完全予約制先着10名様限定の超プレミアムディナーショー! 「銀座のノラの物語」が阿佐ヶ谷にお引っ越しして一年。おかず2品と炊き込みご飯が増えて、しかも500円お得になりました。中央線特価!

JR中央線阿佐ヶ谷駅南口徒歩4分35秒「Barトリアエズ」にて。生声の朗読とノラオンナさんの絶品手料理をお楽しみください!

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

日曜音楽バー「アサガヤノラの物語」

出演:カワグチタケシ
日時:2014年8月31日(日)
   17時開場、18時開演、19時~バータイム
会場:Barトリアエズ 東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-43-1 NKハイツ1F
料金:4,500円
   ライブチャージ
   5種のおかずと炊き込みご飯のアサノラ弁当(味噌汁付)
   ハイボール飲み放題(ソフトドリンクはウーロン茶かオレンジジュース)
   スナック菓子3種
   以上全部込みの料金です。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

更に御来場の皆様には、もれなくアサノラ限定カワグチタケシ新作訳詞集 "suger, honey, peach +love" (CD付)を差し上げます。

2011年3月11日の東日本大震災以降、詩を書かない期間がありました。しばらく経って自分が言葉を強く欲していること、それも甘い言葉を欲していることに気づきました。

でも自分のなかにはしょっぱい言葉しか見つけられなかった。それで自分の外側にある言葉を採集することに。ジャズのスタンダードからサイケデリック、ソフトロック、パンク。1950~90年代のポップミュージックの歌詞をリハビリをするように翻訳しはじめました。

自作詩の創作を再開したいまも訳詞を並行しており、50曲程仕上げています。そのうち厳選した10曲の訳詞を冊子にまとめました。

昨年はソロライブを3回開催しましたが、今年はこの1回のみにする予定です。夏休みの最後の一日をみなさんと一緒に過ごせたら幸いです。

*完全予約制、先着10名様限定です。
 ご予約は nora_onna@hotmail.co.jp まで。お名前、人数、
 お電話番号をお知らせください。
 お席に限りがございます。どうぞお早目に!

*8月7日追記:おかげさまでご予約で満席になりました。
 どうもありがとうございます。キャンセルが出ましたら
 またお知らせします!

 

2014年7月21日月曜日

Kitchen Table Music Hour vol.2

僕が普段、自宅のキッチンテーブルで、本を読んだり、お菓子を食べたり、詩を書いたり、詩集の製本をしたりしているときに聴いている音楽を生演奏でお届けしましょう、というライブ "Kitchen Table Music Hour"。前回に引き続きJAZZ喫茶映画館さんで、本日vol.2を開催させていただきました。

素晴らしいウクレレ奏者でもあるシンガーソングライターのおふたりに海の日の祝日を彩ってもらおうという趣向。奏でる楽器は同じでもいろんな意味で対照的なふたりの音楽をお楽しみいただけたのではないでしょうか。

原色に近い赤でルーズシルエットのワンピース姿のmoqmoq(オカザキエミ)さん(画像)。ソリッドでハードエッジなウクレレ。弦一本一本の音がシャープに立っています。彼女の書くメロディは、R&Bに憧れた白人音楽をアジアの感性でもうひとひねりしたようなところがあり、歌詞に描かれた風景や植物もくっきりとした輪郭を持っています。一般的な美声の価値観からはすこし外れますが、どうしても耳に残るソウルフルな歌声。右肩には小鳥が乗っています。

ノラオンナさんは黄色のストライプのタイトなワンピース。ピアニシモからメゾフォルテまでウクレレの持つレンジをフルに使っていますがあくまでもソフトタッチでさざなみのよう。硬質で言葉数を切り詰めた歌詞がこのウクレレと低い歌声に乗ると、途端に柔らかな抒情性を帯びるマジック。楽器を弾いています、という感じがしない。彼女が発するすべてが渾然一体となって、音楽としか呼びようのないものになります。

ふたりに共通しているところはオーソドックスなのに誰にも似ていないところ。それを誠実に正確に丁寧に届けようという意思の強さ。新しいスタンダードナンバーはこのようにして生まれるんじゃないかと思います。

僕自身とても楽しめましたし、お客様もきっとそうだと思います。いつも快く会場を提供してくださる映画館のマスターご夫妻に感謝します。看板猫の虎太郎くんも終演後に姿を見せてくれました。

vol.1とvol.2のあいだが10ヶ月も空いてしまったのですが、次回vol.3は2ヶ月後。9/27(土)に同じくJAZZ喫茶映画館さんにて、mueさんとvol.1にもご出演いただいたまえかわとも子さんをお招きしてお届けします。ブラジル音楽をベースにしながら独自の進化を遂げつつあるふたりの音楽をどうぞお楽しみください。

ようやく秋らしくなったころ、土曜日の午後。坂道のある街のジャズ喫茶で、またみなさんにお会いできたらと思います。


2014年7月20日日曜日

フィクショネス詩の教室 最終回スペシャル

1998年秋、僕がNYの詩人シャロン・メズマーの詩集の書評を書いたAMERICAN BOOK JAMで広告を見つけて下北沢を訪れたのが、書店フィクショネスと店主藤谷治氏との出会いでした。そして1年半後の2000年3月、詩の教室が始まりました。

曜日や時間は何度か変わりましたが、14年間毎月続けてきました。最少催行人割れの流会は別として(笑)、休講はたしか、台風と父の葬儀と僕のインフルエンザの3回だけだったと思います。

その間、百名以上の詩人の数百篇の詩作品を紹介してきました。また参加者の作品には毎回感心されられつつも、みんなで修正ポイントを探し出してアドヴァイスし合いました。教室の準備も含めて、僕にとっても多くの詩を深く読み込んだ豊かな時間でした。

店主が小説家として正念場を迎え(?)、店舗(といってもほぼ書斎)を閉めることになり、これに伴って詩の教室も終了することになりました。

最終回は僕のわがままで、いままで教室で紹介した詩作品のなかから、特に好きなものや何かの契機になったものを選んで朗読させてもらいました。

宮沢賢治春と修羅 序」(1924)
室生犀星はる」(1916)
西脇順三郎「眼」(1933)
伊東静雄わがひとに與ふる哀歌」(1934)
金子光晴落下傘」(1938)
草野心平」(1940)
村野四郎体操」(1939)
田村隆一腐敗性物質」(1966)
吉岡実過去」(1955)
長谷川龍生理髪店にて」(1957)
吉本隆明「恋唄」(1958)
那珂太郎「秋の・・・」(1959)
中江俊夫「地球」(1952)
岸田衿子「音無姫」(1957)
長田弘「言葉と行為のあいだには」(1965)
茨木のり子自分の感受性くらい」(1975)
伊藤比呂美「アウシュビッツ ミーハー」(1985)
カオリンタウミ「RAMBLING IN THE RAIN」(1997)
究極Q太郎「あるホームレス」(2000)
田口犬男菜食主義者のために」(2002)

これ以外にも、アポリネールシュペルヴィエルをすこし、過去の参加者の作品も一篇取り上げました。

参加費分のエンターテインメントを提供しなくてはならないと、14年の途中にはそれなりのプレッシャーもありましたが、これだけ長く続けてこられたのは、参加者のみなさんと店主の藤谷氏のおかげです。どうもありがとうございました。Poetry is everywhere, anywhere. とシャロン・メズマーも言っていました。今日会えた方も会えなかった方も、どうかこれからも詩を忘れずに。



2014年7月19日土曜日

PRESENT

ひと月ぶりの更新です。梅雨明け間近の土曜日の昼下がり。下北沢OFFOFFシアター劇団フライングステージ第39回公演『PRESENT』を鑑賞しました。

フリーターの太陽(澤口渉)と地方公務員坂井(阪上善樹)は同棲3年目の30代ゲイカップル。ある休日の朝、太陽はHIV検査で陽性が出たことを坂井に告げる。

フライングステージはカミングアウトしているゲイの劇団です。このお芝居の初演は2003年。たぶんそのときにも観たはずなのですが、まったく筋を覚えておらず、新鮮な目で楽しめました。

テーマは重いのですが、全体にコメディタッチな演出で、ふたりを取り巻く人々も皆お人よしの善人ばかり。石関準さん演じるトイプードルのブリーダーのみっちゃんのおネエならではの毒舌とおせっかいの暴走ぶりは笑えます。

作・演出の関根信一さんは主人公の母親役。(ノンケの)おばさん役が板につき過ぎてもう男性を演じる姿が想像つかないほどです。「孫がいるようには見えないでしょ?」という台詞が客席の一番の笑いどころでした。役の設定は52歳。実年齢は僕と同じ49歳。見た目の大御所感は還暦オーバー(笑)。

唯一の女性出演者(生物学上の)HIV陽性者のサポートボランティア役の木村佐都美さんおちないリンゴ)の3パターンの衣装の鮮やかな色合いと金髪のヅラがとてもよく似合っていました。

タイトルの"PRESENT"を字義通りに取ればラストシーンのクリスマスの贈り物につながりますが、それは同時に「提案」「現在」「存在」でもあり、更に"GIFT"であれば「才能」「個性」という意味も含まれているのだなあ、と思いました。