2011年6月26日日曜日

SUPER8 スーパーエイト

お天気もいまいちで、遠出する気も起こらず、近所のシネコンで、『SUPER8 スーパーエイト』。J・J・エイブラムス監督の映画を初めて観ました。『スタートレック(2009年劇場版)』や『ミッション・インポッシブル3』を撮った人なんですね。さすがはスティーブン・スピルバーグ制作。料金分はきっちり楽しませてくれる内容だと思います。

全く事前情報を持たずにフラットな気持ちで観ました。8ミリ映画製作に夢中なローティーン男子5人組が主人公ということで、『スタンド・バイ・ミー』みたいな感じなのかな?⇒お、金髪の美少女ヒロイン登場、父親同士が不仲でボーイ・ミーツ・ガール?⇒列車大炎上のパニック映画?⇒超常現象が起きましたよ!⇒エイリアンものか! という息をもつかせぬ展開。ちょっと、いやだいぶ盛り過ぎです(笑)。

主人公ジョーとヒロインのアリスが出会ってから、お互いに好意を持ち、次第に心が通い始める映画前半は本当に魅力的。アリス役のエル・ファニング12歳の美しさと演技力が光ります。ショーン・ペン主演の大名作映画『アイ・アム・サム』(2001)のあの美少女子役ダコタ・ファニングの実妹ですから、間違いないです。

物語の舞台は1979年の合衆国オハイオ州。劇中流れる音楽も、シック「おしゃれフリーク」、ブロンディ「ハート・オブ・グラス」、ザ・ナック「マイ・シャローナ」、ザ・カーズ「バイ・バイ・ラブ」など、当時のB級ヒット曲満載で懐かしい。うちに帰って調べてみたら、J・J・エイブラムス監督は僕の1歳下でした。。

それからこの映画、エンドロールがすばらしくチャーミングです。ストーリーが終わったと思っても、あわてて席を立たないようにしましょうね!

 

2011年6月10日金曜日

TRANS FORMATION

梅雨の晴れ間、上弦の月が夕空に映える一昨日の水曜日。外苑前のギャラリーneutron tokyoへ。三尾あすか&三尾あづち 双子の姉妹展2011"TRANS FORMATION"のオープニング・パーティにおじゃましました。

昨年末neutron tokyoのグループ展に姉妹共作を出展していましたが、質・量ともにこれだけの作品をまとめて東京で観られるのは、おそらく今回がはじめて。

オープニング・パーティということで、3階建のギャラリーのソファのある2階、作家本人たちのいる3階にほとんどの来客が集中していましたが、そのために1階に展示されている大きくて迫力のある作品が、ゆっくり見られました。

アウトサイダー・アートとkawaii系のミッシング・リンク。透明度の高い画材が幾層ものレイヤーを構成して、複雑な奥行きを持ちながら、鮮やかな色彩によって、全体の印象はポップなもの。 時折書き込まれる文字が、レイヤーの合間から見え隠れしている。まるで感情の表出とその隠蔽が同時に行われているかのように。

そして圧倒的な情報量とスピード感。混沌と均整。

姉のあすかさんは右利き。星をモチーフにした抽象表現、光る糸を使った繊細な刺繍作品も美しく。妹のあづちさんは左利き。「でも学生の頃から、(利き手ではない)右手で描く線が好きになったんです」。それでいまは、主に右手でフォルムを描き、左手で色彩をつけているそう。へんてこキュートなクリーチャーたちはあづちさんが描いています。

ふたりはまだ25歳。neutron代表石橋圭吾氏によると「いまだ発展途上」ということですが、旬の作家だけが放つキラキラした輝きで会場が一杯です。会期は6月26日(日)まで。そのあと、名古屋、神戸と巡回します。コンテンポラリーの先にあるもの。その予兆を体感したい方は是非会場へ!

 

2011年6月4日土曜日

マイ・バック・ページ

よく晴れた6月らしくない土曜日の午後、ひさしぶりに映画館へ。ユナイテッドシネマ豊洲にて、『マイ・バック・ページ』を鑑賞しました。 川本三郎の自伝的小説を、山下敦弘監督が映画化したこの作品。妻夫木聡松山ケンイチのダブル主演という話題性もあって、単館ではなく、シネコンでも公開となった模様。

優柔不断な泣き虫を演じたら当代一の妻夫木聡がナイーブで感傷的な駆け出しジャーナリスト、いまやコミック原作映画には欠かせなくなった松山ケンイチが口ばかり達者で思想も行動力も無いなんちゃって革命家。そのふたりの友情と裏切りを、学生運動全盛期の1969~72年、東京を舞台に描いています。

同じ山下敦弘監督の最近作、『リンダリンダリンダ』『天然コケッコー』は、よくできた青春アイドル映画で、どちらも好きな作品です。前者だとペ・ドゥナ、後者では夏帆(左利き)。今回は忽那汐里の魅力を最大限に引き出していると思います。

妻夫木聡演じる雑誌記者沢田が、その雑誌の表紙モデル倉田眞子役の忽那汐里を誘って、ジャック・ニコルソンの『ファイブ・イージー・ピーセス』を観に行くシーン。前夜酒場で同僚と喧嘩して顔じゅう痣だらけの沢田は、先に席についた眞子との間をひとつ空けて座り、空席に鞄を置きます。その鞄をどかして、沢田の隣に席を詰める眞子。映画のあと喫茶店で言う「男の人の泣く姿が好き」という台詞。日曜日の無人のオフィスで再会したときの事件に対するコメント。いわゆる男子が思い描く理想の女子像とはちょっとずれているかもしれませんが、こういうことされたら、言われたら、ぐっときちゃうだろうな、と。

勤め人時代の妻夫木聡のネイビースーツ姿の居住い正しさ。フリーランスになってからのスイングトップとチノパン姿の貧相さ。この対象的な衣装も印象に残りました。

それから、ワンシーンだけ登場する東大全共闘議長唐谷義朗役長塚圭史の格好良さといったらないです。

それにしてもこの時代の男たちの、よく汗をかき、よく煙草を吸うこと。制汗デオドラントどころか冷房すらなかった時代の男だらけの真夏のオフィスはさぞかし汗臭かったことでしょう。そして、1970年に煙草を吸って彼らがつぶしていた手持ち無沙汰な時間を、2011年の僕たちは何に置き換えているのか。携帯電話かなあ。