2010年9月26日日曜日

アーリー・オータム

秋晴れの日曜日、JR横須賀線で東京駅から1時間、逗子駅で京急バスに乗り換えて15分。森戸神社の参道にあるcafe griotさんで開催されたフリースタイルのオープンマイクBOOKWORMに参加しました。

少し早く会場に着いたので、浜辺を散歩。以前このあたりに室矢憲治さんが住んでいたころ何度かお宅にお邪魔したり、海の家OASISでポエトリー・リーディングをさせてもらったりと懐かしいところ。1997~1998年ごろのお話です。

以前のBOOKWORMに関するエントリーでも、この会は不思議な符合が生れることがある、と書きましたが、今日は「リチャード・ブローティガン」「ジェームズ・ブラウン」。cafeの2階のくつろげるスペースの開け放った窓からは子どもたちの歓声と時折トンビの鳴き声が。

どのお話も面白く、興味深く聞けましたが、遠藤コージさんの久々の今月のボブ・ディラン「スペイン革のブーツ」、青柳拓次さんのお嬢さんが舞台に上がってきてしまう話などが特に印象に残りました。そして言葉だけでなく、音楽が聴けるのもこの会のステキなところ。今回はひさしぶりに聴いたポスポス大谷さんの喉歌、よかったです。

僕は、生前森戸に住んでいた詩人堀口大學(1892-1981)が訳したフランスの詩人ジュール・シュペルヴィエル(1884-1960)の「無神」という作品を紹介しました。犬を二匹連れて宇宙をさまよう人の詩です。

 

2010年9月20日月曜日

不機嫌顔 日本代表

夜に鳴く虫の声が聞こえてきます。まだ蒸し暑さが残る祝日の午後、海沿いの映画館で、呉美保監督の角川映画『オカンの嫁入り』を鑑賞。

映画全体としては少々残念な感じでした。京阪沿線の古い木造戸建賃貸に住む母娘の話で、宮崎あおい大竹しのぶの娘を演じています。

映画の四分の三は(時間的にもスクリーンに占める面積的にも)不機嫌な宮崎あおいのアップで、美少女のふくれっ面が大好き、っていう人は必見です。またこの役の衣装のテーマカラーが鮮やかなブルーみたいで、パーカー、マフラー、ジャージ、ジーンズ、バッグと、どのアイテムもとても似合っていてかわいい。流行るんじゃないでしょうか。主人公の衣装提供はたぶんGlobal Workだと思います。

主人公の月子は、冷蔵庫の紙パック牛乳をそのまんま飲んじゃうようなざっくりした女子、怒りながら大家さん宅の炬燵で食事するシーンの筑前煮や國村隼と中華料理屋で食べる炒飯の豪快ながっつきぶりにはかなりぐっとくるものが。映画に登場する食べ物全般美味しそうでした。

 

2010年9月11日土曜日

「オトエホン-東京編」ご来場御礼

昨日は、「オトエホン-東京編」@千駄木古書ほうろうへ御来場ありがとうございました。なんとも形容しがたい良い経験でした。僕の役割は印刷された文字を声に出して読むというだけのことなのですが、すばらしい共演者、客席の受容の空気、会場スタッフの気遣い、すべてが調和して3Dで立ち上がったような時間と空間だったと思います。

triolaさんの音楽が意図的な破調も含んで美しいこと。近い日程で二度目の共演ということもあって足田メロウさんの映像をしっかりと視界に入れることができ、キュートな中にも破壊と再生のプロセスを感じながら自分のパフォーマンスに反映させることができたこと。いろいろな要素がないまぜになって、夢のような75分間でした。

僕の新詩集『ユニバーサル・ボードウォーク』もたくさんの方々にお手に取っていただき、初回納品分は完売しました。ありがとうございます。『ユニバーサル・ボードウォーク』は古書ほうろうさんに追加納品する他、来週からは下北沢の書店フィクショネスでもご購入いただけるようになります。どうぞよろしくお願いします!

足田メロウさんの個展は外苑前のギャラリーneutron tokyoで明日9月12日まで開催されています。土日は作家本人在廊とのこと、どうぞメロウワールドをご堪能ください。

triolaさんは9月後半ライブが目白押しですが、東京だと10月3日(日)に下北沢leteでワンマンがあります。こちらもおすすめ。僕もお邪魔しようと思っています。
 

2010年9月4日土曜日

ハンマーフリューゲル

九月になっても暑い日が続いています。今日は『奏楽堂バロックシリーズvol.56』を聴きに行ってきました。

会場は上野公園の中にある旧東京音楽学校奏楽堂。1890年に建てられた日本最古の西洋音楽用コンサートホールは、2006年の朝ドラ『純情きらり』で桜子や達彦さんが通っていた校舎で、趣きのある木造建築です。

「今日も一曲めの前半、シの音が出なかったんですけれど、ヨーロッパでもオルガンという楽器はたいていどこか故障していて、その日の楽器のコンディションに演奏家が合わせて演奏を工夫するものなんです」という大塚さんの説明に客席は爆笑。でも、そういうものだと思ってしまえばかえって人間味があって面白いですよね。

初めて生演奏を聴いたフォルテピアノ(モーツァルトの時代に発明された初期のピアノ、別名ハンマーフリューゲル)の音色は、チェンバロともモダンピアノとも違い、典雅としか言いようのない繊細で美しいものでした。

演目では、J.S.バッハの息子たちの作品がよかったです。次男C.P.E.(カール・フィリップ・エマヌエル)バッハと末っ子J.C.(ヨハン・クリスチャン)バッハ。いずれもバロックの対位法を基礎に置きながら、後のロマン派にも通じる流麗な旋律を持つ音楽です。

約300席の木造のホールは満員。庶民的な観客席にリラックスさせられた一方、ホールは思ったより響き過ぎず、むしろタイトでコンテンポラリーな残響。また行ってみたくなりました。

大塚直哉(解説・オルガン・フォルテピアノ)、野口千代光(ヴァイオリン)

J.S.バッハ:ヴァイオリンとオルガンのためのソナタ ハ長調より 
J.S.バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 
C.P.E.バッハ:オルガンのためのソナタ 
C.P.E.バッハ:ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ ハ短調 
J.ショーベルト:ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ ニ短調 
J.C.バッハ:クラヴサンまたはピアノフォルテのためのソナタ イ長調
W.A.モーツァルト:ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ KV454 変ロ長調