2018年9月29日土曜日

植物と冒険

今年も東京湾岸埋立地の金木犀が咲きました。小雨降る中、外苑前のTAMBOURIN GALLERYで開催中のイラストレーター夏目麻衣さんの個展『植物と冒険』にお邪魔しました。

夏目さんとは吉祥寺クワランカカフェで開催されたBOOKWORMで出会いました(実はそれ以前にもイベントで同席していたらしいのですが。)。そのときポートレートをスケッチしてくださいました。プリシラ・レーベル主催ライブのフライヤーに作品を使わせてもらったり、大変お世話になっています。

繊細な描線に優しい彩色が施された小品群が今回の展示の中心。『植物と冒険』と題された通り、ボタニカルと少年少女をモチーフに、異国情緒と甘酸っぱいノスタルジー、物語を感じさせる。観ていて気持ちの良い展示です。

「よく外国っぽいって言われるんですけど、もともと日本画出身なんですよね」と先日おっしゃっていましたが、輪郭線と上品で薄付きな色彩、空気遠近法を用いた空間構成に日本画の影響を感じます。

前後の予定が押して駆け足での鑑賞となってしまったことが大変心残りです。今回の展示作品では「花の子」「ロンド」「一角獣」、三文字タイトルの三作品が特に印象に残りました。


2018年9月23日日曜日

ノラバー日曜生うたコンサート

十五夜の前日、西武柳沢ノラバーへ。オツベルくんの音楽を聴きに行きました。

以前、みぇれみぇれと名乗っていた頃にSEED SHIPPoemusica何度か共演して以来、折に触れて聴きたくなるとライブに出かけます。特に印象に残っているのは2015年の雨季、下北沢leteワンマン。みぇれみぇれ名義でのラストライブです。

オツベルくんの普段の演奏は、アコースティックギターの弾き語りをベースに、ループマシンやKAOSSILATORなどのエレクトロニクスを上手に融合させて、近未来ノスタルジアとでもいうべきサウンドスケープを構築しています。

ノラバーのセットリストは細野晴臣の「三時の子守唄」のカバーからスタートしました。Waterlooギターをサムピックで。2曲目「ちゅうくらいの場所」以降はオリジナル曲。「窓を開けたらいつも雨だったの/膨らむ宇宙にあくびをひとつ」「好きな星を持って飛んでいくんだ/ほころびなんて僕が縫ってあげるよ」「月から君に手を振る//君の背中の羽も嫌いじゃない/長い長いはしごを伸ばせばそこに届くかな」「夏といえば/夏といえば/夏といえば/夏といえば……」。

マイクもアンプも通さない完全アンプラグドですが、そのことによって、ソングライティングの確かさと歌唱力、彼の音楽が持つ堅固な骨格が(もしかしたらそれはオツベルくんの本意ではないのかもしれないけれど)くっきりとした輪郭を持って伝わってくる。客席にミュージシャンが多いのもきっとそのせいだと思います。

ハーモニクス、ストライド、変則ライトハンド奏法までさりげなく織り込んだギタープレイには全国のギターキッズも驚かされるでしょう。

本編11曲のあとのアンコールでは一番好きな曲「緑の迷路」をリクエストしました。オツベルくんの呼びかけで客席の水ゐ涼さん(左利き)が重ねたコーラスも大層美しく、ドリーミィな時間をプレゼントしてもらいました。ありがとうございます。

 

2018年9月21日金曜日

3K12

暑さ寒さも彼岸迄と申しますが、朝晩は気温が落着き過ごし易くなってきました。皆様お元気でお過ごしでしょうか。

2000年に始めた3K朗読会がこの秋12回目を迎えます。前回から少し間が空きましたが、また3人揃って皆様にお目にかかれますことを大変うれしく思います。

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3K12 ~3人のKによる詩の朗読会~

日時:2018/10/7(日)18時開場 18時半開演
会場:古書ほうろう 〒113-0022 東京都文京区千駄木3-25-5
          03-3824-3388 http://horo.bz/
          東京メトロ千代田線千駄木駅2番出口
入場料:1000円
出演:究極Q太郎小森岳史カワグチタケシ
特設サイト:https://note.mu/3k12

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会場の古書ほうろうさんは、不忍ブックストリートの中心的存在。3K3(2001)、3K6(2003)、3K10(2005)で3度お世話になった3Kとはご縁の深いお店です。

芸工展2018の期間中で、金木犀香る谷根千界隈は賑わう時期。ご予約は不要ですが「行くよ!」と言ってもらえると俄然モチベーションが上がります。秋の下町散歩の終着点に3K12を選んでいただけましたら幸いでございます。


2018年9月16日日曜日

ウエノ・ポエトリカン・ジャム6

上野恩賜公園水上音楽堂、ウエノ・ポエトリカン・ジャム6 ~はしれ、言葉、ダイバーシティ~ (UPJ6)に出演しました。9月15日土曜日と16日日曜日、はじめての2DAYS開催です。前回は2009年のUPJ4。9年ぶりにウエノのステージに立ちました。

1日目の土曜日は朝から雨でしたが、13時台の谷川俊太郎さんあたりから雨が上がり、僕の出演時間にはすっかり日も暮れて。広いステージと客席。Anti-Trench鳥居さんというフレッシュな2組に挟まれて「無題(静かな夜~)」「水の上の透明な駅」「ANGELIC CONVERSATIONS」の3篇を朗読しました。いつも聴いてくださる方たちにも、初めてお会いしたみなさんにも、会場の隅々までしっかりと手渡すことができたと感じています。

谷川俊太郎松永天馬アーバンギャルド)、いとうせいこう is the poet町田康。2日間の昼夜にそれぞれ登場した4組のヘッドライナーはもちろん、約40組のゲストは各々の持ち味を出していました。

1日目のゲストでは石渡紀美さんの軽快な凄味、文月悠光さんの揺れる佇まい、東直子さんのひたすらフラットな表現、初舞台とは思えない堂々としたパフォーマンスで魅せたセーラー服の歌人鳥居さん、ループマシンで分裂し統合する三角みづ紀さんの声。新橋サイファーも最高に楽しかった。オープンマイクでは、当日エントリー枠のキョウカさんと小夜さん、ラッパー多嘉喜さん

2日目ゲストは、トップで清涼な風を吹かせたでんちゅう組暁方ミセイさんの誠実さ、レジェンド花本武和合亮一さんのウィット、totoさんの流れる水のようなフリースタイル、ジュテーム北村節。オープンマイクでは、当日枠の道山れいんさん(前日はゲスト出演)、どこかの谷のカバの妖精さんyaeさん、等が特に印象に残りました。

客席で言葉を立て続けに浴びて疲れたら、ステージ脇の駐車場で行われている路上ポエトリースラムやMCバトルで気分を変えて。

僕的ベストアクトは、ゲスト部門では宮尾節子さん(画像)、オープンマイク部門 そにっくなーす、路ポス部門 木村沙弥香さんの1回戦、MCバトル部門はゆうまーるBP3回戦の長谷川さんです。

そして4人の司会者、1日目のyaeさんジョーダン・スミスさん、2日目の石渡紀美さん猫道くん。いずれも素晴らしかった。石渡紀美さんのユルい呼びかけから拡がった「#子どもとUPJ6」ムーブメントも良い試みだったと思います。旗っていいよね。よって総合優勝は石渡紀美インダハウス!

全体的で雑な感想としては、「言葉である前に声であること」「人前に身体を晒すことに対して自覚的であること」が、詩を舞台表現として伝えるための重要なファクターだということです。

出演者としても観客としても2日間のお祭りを楽しみました。主催の三木悠莉さんikomaさん、大勢のボランティアスタッフのみなさん、どうもありがとうございました。