2010年11月28日日曜日

妄想中華雑貨店

東京の紅葉はきっと今週あたりがピークですね。ヒューマントラストシネマ渋谷で、豊島圭介監督、設楽統バナナマン)主演の映画『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』を観ました。

まず開演前の場内アナウンスで「~どうすか」というタイトルを映画館スタッフが真面目な声で言うのが笑いのツボに入って危険でした。

北尾トロさんの原作ノンフィクションに登場するエピソードをきちんと踏まえた、派手さは無いけれど、品の良いオフビート・コメディ。正味95分というコンパクトな上映時間もウディ・アレンの70~80年代作品を想わせます。

トロさんはいつも、ドラマチックなこと、格好良いものを求めている普通の人たち(トロさん本人含む)の、不器用な情けなさ、格好悪さがどうしようもなく露呈してしまう瞬間を丁寧に切り取って、その駄目さ加減に礼節と愛情を持って接しているように思えます。

それはこの映画全体のトーンにも反映していて、ブルージィだけど上品なトロさんご本人の話を、深夜の古本カフェで聞いているような心地よさがありました。設楽統も、主人公の妄想シーンの裁判長役でワンカットだけ登場するトロさんもいいお芝居をしています。

そして妄想つながりで。渋谷から池袋に移動して、中国茶カフェ梅舎茶館で開催中の『妄想中華雑貨店2010WINTER』の最終日におじゃましました。

YASUMI-YA名義で中華風味の帽子、バッグ、服飾小物をデザイン・制作・販売している原田紀さんは、実は同じ大学の現代詩研究会の同級生。今日みたいにひさしぶりに会っても、特に折り入った話をするでもなく、作品を購入することもほとんどなく、ただ顔を見に行くだけなのですが、同級生が紆余曲折(というほど大袈裟なものではありませんが)を経て、こうしてちゃんとやっている姿を、半年に一回でも見ることができるのはいいな、と思います。

あ、取ってつけたようですみませんが、作品もすごく良いんですよ、チャーミングでウィットがあって。加えて彼女の丁寧な手仕事を、もの作りをする者としていつも尊敬しています。

そして最後にジュンク堂書店池袋本店で、北尾トロさん編集の季刊『レポ』創刊号を購入し、東京メトロ有楽町線で帰宅。休日らしい休日でした。

 

2010年11月27日土曜日

Biweekly Poet vol.17

カワグチタケシ出演イベントのお知らせです。クリスマスイヴイヴに単独公演が決まりました。

会場は、美術作家で詩人の永井宏さんが今年の初夏に外苑前にオープンしたギャラリー。初秋の葉山森戸海岸で永井さんに偶然再会し、そこから幾人かのご協力を得て、今回出演のはこびとなりました。イシカワアユミさん村椿菜文さん、どうもありがとうございます!

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Marguerite Press Presents Biweekly Poet Vol.17

2010年12月23日(木・祝)19:30開演
出演:カワグチタケシ
料金:1,000円
会場:TAMBOURIN GALLERY(東京渋谷区神宮前2-3-24)
   tel.03-5779-2331 
   http://tambourin-gallery.com/     
   http://marguerite-press.net/

東京メトロ銀座線外苑前駅3番出口を出てすぐの信号を渡ります。そのまま直進してベルコモンズの角を右折。あとは道なりに上って下る。6~7分歩くと左にジャガー(自動車)のショールーム、その少し先の右側にある白い木の壁の家がタンバリン・ギャラリーです。

会場の地図はこちら↓
http://tambourin-gallery.com/tg/access/1.html

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一時間強ひとりで詩の朗読するという、隔週木曜に開催されているこのシリーズ。先ごろリリースした詩集『ユニバーサル・ボードウォーク』収録の新作に、旧作も加え、またクリスマスらしい演目も用意してお待ちしています。ひさしぶりソロライブで、みなさんとお会いするのがいまから楽しみです。

冬の散歩道。どうぞ皆様お誘いあわせの上、是非ご来場ください!
 

2010年11月23日火曜日

まーまーま2

明け方降っていた雨も午後には上がった勤労感謝の日、都営地下鉄大江戸線に乗って。東新宿 music bar LOVE TKO で、「まーまーま2~ストロング&ビューティフル」を鑑賞。鑑賞?

三人のお母さん詩人が主催する朗読会ということで、ハートウォーミングで牧歌的なものを期待して来た人がいたとしたら、あまりのギャップに戸惑ってしまうに違いない、エッジの利いたパフォーマンス。 海を隔てた隣の国では大変なことが起こってしまった、そのタイミングで。

さいとういんこ石渡紀美モリマサ公。そして、ジュテーム北村大袈裟太郎。それぞれの位置と視点から、2010年11月23日のリアルなコンディションを表現していました。

そんな大人たちのなかで、23歳のラッパー、不可思議/wonderboyの発するあまりにも無防備な言葉たちの美しさが光っていました。終演後demo盤を購入してディスクにサインしてもらっちゃった。

石渡紀美詩集上下巻もたくさんの方に手にとっていただき、売上も上々。みなさんありがとうございました!
 

2010年11月14日日曜日

石渡紀美詩集 1999-2009

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
明日。信用のならない、すてきなやつ。だけど、いつまでたっても今日しかなくって、明日なんて来たためしがなかった。石渡紀美「マザーレス マザーフリー」より
 
TKレビューに2度ゲスト出演してもらっている石渡紀美さんは10年来の友人で、初期の頃には、二人で武蔵野美術大の学園祭に呼ばれて朗読したときのお客さんが猫一匹なんてこともありました。
 
今年7月の東京ポエケットでお会いした際に「そろそろ作品まとめておいたら?」なんて話をしたのですが、それが今回プリシラ・レーベルから2冊の詩集となって発刊されるはこびとなりました。
 
メジャーデビューアルバムがいきなり二枚組ベスト盤みたいな感じになっていますが、過去十年間に書かれた膨大な作品群から厳選した、質・量ともに自信を持ってお勧めできる内容になっています。
 
猛暑の8月、下北沢のベトナム料理店で原稿をお預かりしてから、2か月程掛けて丁寧に装幀しました。画像だと伝わりづらいですが、表紙と本文の紙質にもとことんこだわっていることは、一度お手に取ってもらえればわかっていただけると思います。
 
発売は2010年11月23日(祝)東新宿 music bar LOVE TKO で開催され、石渡さんが主催者の一人で出演もする朗読イベント『まーまーま2』にて。その後、店頭販売予定。どうぞよろしくお願いします!
 
・石渡紀美詩集 1999-2009 上 つぎの十年
・石渡紀美詩集 1999-2009 下 あたらしいおんがく
 
2010年11月23日発売 各500円
著者 石渡紀美
装幀 カワグチタケシ
発行 プリシラ・レーベル
 

2010年11月6日土曜日

NHK音楽祭2010

11月ですね。11月は一年で一番好きな月。ツイードと図書館と落葉の11月。そして、11月に一番似合う音楽はブラームスだと思います。

というわけで、秋晴れの渋谷公園通りを上り、NHKホールまで。音楽祭2010、指揮アンドレ・プレヴィン、演奏NHK交響楽団、演目はブラームスの 交響曲 第3番 ヘ長調 作品90、交響曲 第4番 ホ短調 作品98の2曲です。

結構長生きした割に、もともと4曲しかないブラームスの交響曲ですが、いずれも異なるコンセプトを持つ名曲揃い。特に3番は大好きで、さっき数えたらこの曲だけでCDを9枚持っていました。

プレヴィン氏については、1970年代にロンドン響と録ったチャイコフスキーのバレエ音楽を愛聴しており、華麗で正確、輪郭クッキリという印象を持っていたのですが、40年の歳月が音楽に重厚さを加えていました。

1929年生まれのプレヴィン氏は81歳。足元が若干覚束なく、椅子に座っての指揮でした。テンポも幾分スローなものでしたが、オーケストラをよく歌わせて、巨匠オーラ全開。N響もこれによく応え、特に流麗で重層的な弦楽器の演奏はとてもブラームスらしくてよかったと思います。

席が前から2列めで、ちょうどヴィオラとコントラバスの前(というより真下)だったので、低音絃の響きを間近に体感することができたのも楽しかったです。

終演後、ロビーに緒川たまきさんが。とてもきれいでした。