2017年10月19日木曜日

TQJ Poetry Reading Live

雨が降って急に気温が下がりました。かすかに冬の匂いがします。そちらはいかがですか? 晩秋の白山で朗読会のお知らせです。

カワグチタケシ、究極Q太郎ジュテーム北村。ファーストネームの頭文字をとって「TQJ」と名付けました。

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TQJ Poetry Reading Live

日時:2017年11月18日(土)15:00open 15:30start
料金:1500円+1drink order
出演:カワグチタケシ、究極Q太郎、ジュテーム北村
会場:JAZZ喫茶映画館 〒112-0001 東京都文京区白山5-33-19
   03-3811-8932 http://www.jazzeigakan.com/
   ※会場の地図はこちら

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1986年に18歳で現代詩手帖賞を受賞し、ゼロ年代のトーキョーポエトリーシーンで異才を放った究極Q太郎氏の10年ぶりのライブ。僕にとっては、カート・コバーンが実は生きていてワールドツアーの日程が発表された、ぐらいのインパクトがある事件です。

先日のウエノ・ポエトリカン・ジャム5でもひときわ大きな声援を集めたひとり、ジュテーム北村氏は生涯オープンマイカーを名乗り、ライブのブッキングを受けることはあまりありません。今年5月の『胎動 Poetry Lab0. vol.6』の客席で久しぶりに顔を揃え、今回の共演を決めました。

実はこの組み合わせ、中野VOW'S BAR2004年5月に一度切り開催されたことがあります。そのときは8畳のお座敷に40人以上のお客様というなかなかな混雑ぶりでした。そんな3人による13年ぶりのレアなライブをお楽しみいただけたらこれ幸い。

会場はおなじみJAZZ喫茶映画館さん。都営地下鉄三田線白山駅下車A3出口裏徒歩1分。1978年開店のヴィンテージ物件。マスター手作りの真空管サウンドシステム。壁にはヌーヴェルヴァーグのポスターと沢山の振り子時計がチクタク鳴っている。猫もいます。

ご予約は不要ですが、「行くよ!」とおっしゃっていただけると俄然モチベーションが上がります。皆様どうぞお運びください!



2017年10月15日日曜日

交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1

小雨降る日曜日、ユナイテッドシネマ豊洲で劇場版アニメ『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』を観ました。

西暦2305年、知的生命体スカブコーラルと人類の戦いにより荒廃した地球。公共福祉査察軍生化学即応軍の科学者アドロック・サーストン(声:古谷徹)は自らの命を犠牲にして地球を危機から救い、その状態を「サマー・オブ・ラブ」と名付けた。死の間際、息子レントン(声:三瓶由布子)をレイ(声:久川綾)とチャールズ(声:小杉十郎太)のビームス夫妻に託して。

2005年にMBS制作で放映されたテレビ版アニメの前日潭。アドロックが主役の冒頭約20分ノンストップの先頭シーンの迫力、ダイナミズム。CGを用いず、あえて手描きで制作されたということに驚かされます。

後半の舞台は10年後の2315年。全50話あるテレビシリーズを再構成したレントンと人型コーラリアン・エウレカ(声:名塚佳織)の物語です。PLAY BACK と PLAY FORWARD を繰返し、複数の時系列を行き来させるが、観ていて整理が追いついていかない感じがしました。

全編に日本語明朝体と英語のテロップによる登場人物、作戦、メカ、設定等の脚注が入りますが、一瞬で消えてしまうので、断片的な情報しか残らない。実際の戦闘中のスピード感と動体視力とはそんなものなのかもしれません。

「ハイエボリューション」は三部作で、来年と再来年に中編、後編が公開になるため、この「1」だけではなんともいえませんが、多くの布石が置かれているのは間違いのないところでしょう。

サマー・オブ・ラブ」は1967年に米国サンフランシスコで生まれウッドストック・フェスティバルに結実したカウンターカルチャーのムーブメントの総称です。そして「セカンド・サマー・オブ・ラブ」は1989年、英国マンチェスターのクラブハシエンダに端を発したレイヴ文化。

KLFLFOAPHEX TWINビースティ・ボーイズソニック・ユースTB-303ドンカマチックKORG製の初期アナログリズムマシン)、SK8など、1980~90年代ユースカルチャーへのオマージュ。当時を知る大人を刺激するワードが頻出する。エンディングにはボブ・ディランの"Like A Rolling Stone" の歌詞の引用も登場します。

 

2017年10月7日土曜日

ウエノ・ポエトリカン・ジャム5

一度散った金木犀がまた花をつけています。上野恩賜公園水上音楽堂で開催されたウエノ・ポエトリカン・ジャム5(UPJ5)に行きました。午前11時から午後8時まで総勢81組による声と言葉の祭典、観客数800人超。ポエトリーのイベントとしては日本国内最大級のフェスです。

自由詩、短歌、ラップ、スピーチ、プロパガンダ、独白など、表現のスタイルもさまざまですが、どちらかといえばエクスペリメンタルというよりポップ、カウンターカルチャー寄りなアクトが多いのは、1997年~高田馬場ベンズカフェ、1999年~西麻布オージャスラウンジのオープンマイクから、2000年の第1回ウエノ・ポエトリカン・ジャム、そして2003~2011年(中断期間あり)の新宿スポークンワーズスラム(SSWS)の流れを汲んでいるからだと思います。

UPJの創始者さいとういんこさんに始まり、「85歳の野外フェス・ヘッドライナー」と紹介された谷川俊太郎さんまで、25組のゲストは、好き嫌いや合う合わないはあるにしても、いずれも納得のクオリティでした。運営事務局からリツイートされてくる観客や出演者のつぶやきを見ても、各々が割と万遍なく異なるアクトを評価しており、またお目当ての出演者だけでなく初めて見聞きするアクトに反応しているのも、時々楽しく眺めつつ。これは観客の立場としては、前回2009年のUPJ4と一番変わったところかもしれません。

事前エントリー45組、当日先着順で10組のオープンマイク出演者。その中では、少年(しょーや)さんthee last bookstoreさん、小野寺さん、yaeさん1.G(Idea Pops)さんがよかった。サプライズ出演となった主催の三木悠莉さん胎動レーベルikomaさんのユニットも素敵でした。

それから司会のおふたりもクリアで素晴らしかった。文字通りの Master Of Ceremony。ゲスト枠の猫道くんはさすがの安定感。オープン枠の石渡紀美さんもちゃんと仕事していて感動しました。なによりふたりとも声がいい。

僕は過去3回、2000年UPJ、2001年UPJ2、2009年UPJ4にゲスト出演させてもらいました。今回はジュテーム北村氏(画像)が僕の「」という詩をカバーしてくれたので、僕自身はステージに上がりこそしませんでしたが、出演したような気持ちです。どうもありがとうございました。

三木さん、ikomaさん、そしてスタッフのみなさん、準備も当日も大変なご苦労をされたと思いますが、おかげさまで記憶に残る心地良い一日を過ごすことができました。最大級のリスペクトを贈りたいです。

 

2017年9月24日日曜日

ノラバー日曜生うたコンサート

9月24日は「くるぶしの日」。金木犀の香る西武柳沢駅前の小径を抜けて、五差路に建つ庚申塚の右手にそのお店はあります。

はじめての場所で行うライブのぱりっとした新しい気持ちと肌に馴染んだ空気が同居するお店ノラバーは、銀座ときね『銀座のノラの物語』、阿佐ヶ谷Barトリアエズの『アサガヤノラの物語』を経て、リスペクトする音楽家ノラオンナさんがはじめて持ったご自身のお店です。

毎週日曜日の夜に一組のミュージシャンを招いて開催される『ノラバー日曜生うたコンサート』に出演しました。

 1. 保谷田村隆一
 2. 西武園所感 ( 〃 )
 3. 無題 (出会ったのは夏のこと)
 4. ANOTHR GREEN WORLD
 5. 離島/地下鉄を歩く
 6. Planetica (惑星儀)
 7. 山と渓谷
 8. 都市計画/楽園
 9. 名前(新作)
10. スターズ&ストライプス
11. 永遠の翌日 
12. 新しい感情
13. もしも僕が白鳥だったなら
14. 線描画のような街
15. 星月夜
16. 水の上の透明な駅

冒頭2篇は敬愛する戦後詩人、故・田村隆一をカバーしました。1960年、ノラバーのある保谷に1年だけ住まっていたことがあり、そのときに書かれた秋の詩と沿線の西武園ゆうえんちをモチーフに「詩で戦うな」というメッセージを込めた作品です。

以降は夏の終わりから秋を舞台にした自作詩を。中盤の3篇「名前」「スターズ&ストライプス」「永遠の翌日」はまだ詩集に収録していない新作です。生声がきれいに響いて、気持ち良く朗読することができましたが、いかがでしたでしょうか。

梨フライタルタル焼き茄子のおひたしさつま芋ごはん、etc.. お店が変わってもノラさんのお料理は素晴らしく、ライブのあとのお食事にハイボールが進みます。夜が更けかける頃に下北沢SEED SHIPのオーナー土屋さんもサプライズ登場して、カウンターを埋めたみんなで楽しいひとときを過ごしました。自分のライブをネタに初対面のお客様同士が話しているのを見るのは本当に素敵なこと。

特典でお配りしたCD-Rの "basement and windowpane" というタイトルは地下2階の銀ノラと壁一面の大きなガラス窓のアサノラから。今頃みなさんご自宅で聴いてくださっているのかな。それぞれの暮らしのなかにある詩と声を想像すると、ちょっと愉快でじんわり気持ちが温まります。

ワンマンならではの面白さ、発見、味わいがあった、とうれしい感想もいただきました。ご来場のお客様、いつも美味しいお料理と気持ちの良いおもてなしを提供してくださるノラオンナさん、ありがとうございました。また来年もこの場所でみなさんにお会いできたら幸いです。


 

2017年9月16日土曜日

VAMOS ブラジる!?

毎年9月に開催される『VAMOSブラジる!? ♪音楽で結ぶ中央線ブラジル化計画♪』は今年で6年目。そのうち4回に観客として参加しています。今回は阿佐ヶ谷、西荻窪、吉祥寺の6店で2日間、72プログラムが開催されたうち、4公演を聴きに行きました。

ひとつめは西荻窪COCO PALM で Banda Choro Eletrico。今日は、ベース沢田譲治さん、ピアノ堀越昭宏さん、ドラムス沼直也さん、フルート尾形ミツルさん、トロンボーン和田充弘さん衣山悦子さん、スルドちっちさん、パンデイロRINDA☆さん、パーカッションサム・ベネットさん伊左治直さん坂本真理さんの11人編成。流動的なユニットには複数のボーカリストが参加していますが、今回は完全インストゥルメンタルです。リーダーの沢田さんが言うにはフランク・ザッパマーラーのハイブリッド。かなりスペイシー。ブラジルの伝統音楽であるショーロから出発して気づいたらずいぶん遠くまで来ていた。

中央線に乗って阿佐ヶ谷へ移動。2軒目はJAZZバーSTACCATO、ボーカルわきちかこさん、7弦ギター尾花毅さん、パンデイロ宮澤摩周さんのトリオによるサンバセッションを聴きました。広いレンジとダイナミズムを持つ尾花さんのギターの存在感。わきさんの正統的な歌唱はメロディがすっと入ってくる。Banda Choro Eletricoの強過ぎる刺激を中和する、我ながらナイスセレクションです。

そしてすぐ隣の駅ビルに入っているSoul玉Tokyoへ。カツヲスペシャル(画像)。カツヲは沢田譲治さんとボーカルまえかわともこさん(左利き)のデュオをベースにしており、今回はピアノ田尻有太さん(王子)、Banda Choro Eletricoからドラムス沼直也さん、トロンボーン和田充弘さんの2人を加えたクインテット。静寂。静謐さのなかに極限まで抑制されたグルーヴがひっそりと置かれている。5人から手渡される小さな音の重なりが美しく、その抽象性はある種の高みに到達しています。

でも、フルスロットルのまえかわさんも聴きたいよね。ということで最後は吉祥寺World Kitchen BAOBABで、THEシャンゴーズ。尾花毅さんが別のセッションに参加しており、まえかわともこさん、ギター中西文彦さん、パーカッション福井豊さんのトリオ編成。ガットギターにディストーションをかけてハウリング込みでループ。ノイズの奔流。カツヲの抑制美とは反対に、まえかわさんの歌はエモーショナルでパッショネート。自由過ぎる二人をアンアンブルに繫ぎとめる福井さんのカホン。立ち見も含めぎっしり埋まった客席も最後は「夜明けのサンバ」に大合唱で応える。アンコールではマツモニカさんが飛び入りし、座は一層盛り上がる。音楽の幸福な時間が生まれる場面に立ち会えた喜び。

ショーロ、サンバ、MPB、大なり小なりブラジル音楽の典型からはみ出したアクトを回りましたが、いずれもその狂騒的なリズムにはトラディショナルに対する確かな信頼とリスペクトが存在しています。それこそが2017年の東京でブラジル音楽を鳴らし、楽しむ意味だと、清々しい気持ちで中央線に乗り、帰途につきました。

 

2017年9月3日日曜日

パターソン

秋晴れの日曜日。ヒューマントラストシネマ有楽町ジム・ジャームッシュ監督作品『パターソン』を観ました。

舞台は現代、米東海岸ニュジャージー州の郊外パターソン市。月曜日の朝6時過ぎ、主人公パターソン(アダム・ドライバー)は目を覚ます。隣で眠る美しい妻ラウラ(ゴルシフテ・ファラハニ)の二の腕に口づけベッドを出る。シリアルを食べ、前夜妻が作ったサンドウィッチを提げて、市営バスの車庫に出勤する。

同僚の家族に対する愚痴を聞き、路線バスを定期運航させる。帰宅夕食後に愛犬マーヴィンの散歩がてらいつものバーに立ち寄りビールを1杯飲む。そんな平凡な平日が5日繰り返され、週末の休みを迎える。

出勤の途中で、始発バスの発車前に、休憩時間や退勤の道のり、思いつくままに詩をノートに書き留める。だがその作品はどこにも発表されたことがない。妻だけが高く評価している。

妻ラウラのエキセントリシティがパターソンの日常の平穏さを強調するが、繰り返される日々にひとつとして同じ日はない。バスの乗客が違えば会話の中身も違うし、バーの客の顔ぶれが変われば出来事も変わる。そのメタフォリックな存在として双子の兄弟姉妹が複数登場します。

ジャームッシュ監督ならではのオフビートなユーモアが随所にさりげなく置かれ、爆笑こそないもののクスッとさせられる場面がたくさんあります。そして主人公夫妻が一点の曇りもなくお互いを愛し、信じ、認め合っているのが、ファンタジーと知りつつも幸せな気持ちになります。

大学2年のときに靴下屋でバイトしていた当時のガールフレンドと渋谷のミニシアターで観た『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の格好良さとヘタレ感の同居は衝撃的でした。そして『パーマネント・バケーション』『ダウン・バイ・ロー』。あれから30年経って巨匠と呼ばれるようになってもジャームッシュ監督は変わらないなあ、と思いました。

それからウィリアム・カーロス・ウィリアムズアレン・ギンズバーグが同郷でパターソン出身だというのをこの映画で初めて知りました。 



2017年9月2日土曜日

ポエトリースラムジャパン2017秋 東京大会C

午前中の雨が上がった明るい土曜日の午後。西新宿芸能花伝舎で開催されたポエトリースラムジャパン2017秋 東京大会Cを観戦しました。毎年5月にパリで開かれるポエトリースラムのワールドカップ(フランスなのでクープデュモンド)の日本代表決定戦の地区予選です。

24名の選手の中から優勝した大島健夫さん、準優勝道山れいんさん、会場賞三木悠莉さんの3人が素晴らしいパフォーマンスで全国大会に駒を進めました。おめでとうございます。

東京大会Bではプリシラレーベルから詩集を出版している石渡紀美さんが優勝しました。今回は同じくプリシラメイツの小夜さん(画像)がエントリーしているということで、3年前に始まったこの大会を初めて観戦するために、廃校の音楽室をリノベーションした会場に向かいました。

審査員は客席から無作為に選ばれた5人が対戦毎に入れ替わります。反権威主義が徹底されたスーパーフラットなルールですから、選手と審査員の相性によって、特に初戦は採点が左右される。今日の傾向としては、家族や郷愁など身近なテーマ、シンプルなレトリックの作品とフラットで明瞭な発声のパフォーマンスが得点を集めていたように思います。

シンタックス/ロジック的にはやや難解で皮膚感覚にぐいぐい訴えてくるような三木悠莉さんの作品はそのなかでも異彩を放っており、僕は最も惹かれました。TASKE氏は残念ながら初戦敗退でしたが彼が本質的に持つ異物感が今回はとても良い方向に出ていました。勝負が賭かることで動く選手たちの一所懸命な表情が皆違って美しかった。

会場スタッフもよくオーガナイズされており、選手と観客の心情に寄り添う猫道くんの安定感のある司会進行はプロフェッショナルなクオリティで、今回一番の感動。

主催者の村田活彦氏とは長い付き合いで、毎年1回『同行二人』という朗読会を続けています。彼がこのスラムイベントを始めたいと言い出した超初期の頃、いまやカリスマ書店員となった花本武くんと3人で豊洲の中華料理店で大層呑んだ4年前の夜を思い出しました。当初はいろいろな批判や問題もあったと聞きますが、多くの協力者を得て気持ちの良いゲームに育ててきたんだなあ、という感慨がありました。

声や言葉というものは、単一的な序列をすり抜けて個人を屹立させ、時には連帯させるツールになるべきだと僕は考えます。日本一の詩人を決めるとかではなく、声と言葉の可能性を示す諸相のひとつとして、これからも続いていけばいいし、このやり方に納得いかない人は自分なりのスラムなりコンペティションなりを起こして、結果的にいろんな尺度や価値感が併存していけばいいんじゃないかな、と僕は思います。