2009年9月6日日曜日

赤塚不二男展

シネカノン有楽町二丁目で『女の子ものがたり』 を観てから、Jプレスさんにいただいた招待券で銀座松屋8階大催事場の『赤塚不二男展』へ。20代の小洒落た男女を中心に、満員御礼な会場でした。

『天才バカボン』は雑誌連載時にほぼリアルタイムで読んでいたのですが、『レッツラゴン』になってから小学生には難解過ぎて、それから疎遠に。会場で久しぶりに再会した作品群の中では『ひみつのアッコちゃん』が一番印象深かったです。なんと三回もアニメ化されているんですね。歴代のコンパクトの展示も泣かせます。

展示後半で、等身大のモノクロのパネルで赤塚作品の主要キャラクターをほぼ網羅しているところがあるのですが、壁から飛び出してくる感じで見ごたえがありました。あと二日の会期ですが、見て損は無いと思いますので是非。

それから東京JAZZ2009が開催されている東京国際フォーラムを通って雰囲気だけ味わい、先週OPENした丸の内三菱一号館 の赤煉瓦建築を鑑賞して帰ってきました。

『女の子ものがたり』は漫画家が主人公という共通点があるせいか『グーグーだって猫である』的に若干残念な仕上がりでした。西原理恵子の原作漫画のつくりが、相当ブルージィなお話をパステルカラーの絵で中和しているようなところがあるので、実写になるとブルース色が前面に出過ぎなのかもしれません。

主人公の小学生・高校生・大人をそれぞれ森迫永依、大後寿々花、深津絵理が演じていますが、三人全員が左利きで、同一人物の設定なので当然とはいえ、左利き好きには堪らないです(実は深津さんだけ本当は右利きだそうです)。

2009年8月23日日曜日

サマーツアー

東京駅9:00発の特急踊り子号で終点の伊豆急下田まで2時間40分。半年ぶりに開催されたBOOKWORMに参加しました。今回の会場はCAFE開さん、南伊豆では一番の老舗旅館の別邸のなまこ壁の蔵を改装したお店です。スタッフの藤田文吾氏曰く築100年以上。参加者はいつものメンバーと地元の方と半分ぐらい。下田サブカルチャー。

手が入りすぎていない庭。蝉時雨。木漏れ日。そこにいるだけで気持ちが緩むようなところで、いつも以上にゆるく始まったBOOKWORMサマーツアーです。このイベントを下田に呼んでくれたマキさんがBOOKWORMを知ったきっかけが、僕が7年間編集スタッフをしていたPOETRY CALENDAR TOKYO だそうです。続けていると、いろんなところでつながってくるものですね。

渕上零くんの虹の話、遠藤コージさんの歌「ブルーズと暮らしている」、ユージさんのナナオサカキと暮らした話、などなど。みんなよかったです。僕は梨木果歩さんの『家守奇譚』から「サルスベリ」を紹介しました。

次回は来週8月29日(土)に、長野県の高遠本の町で高遠ブックフェスティバル 内のイベントとして鉾持神社で開催されます。僕は他に用事があって行けないのですが、お時間のある方は夏休み最後の遠出にいかがでしょう。

2009年8月22日土曜日

斎藤幸子

テアトル銀座で鈴木聡作、河原雅彦演出の『斎藤幸子』を観劇しました。下町月島を舞台にしたコメディ。高校二年の夏に毒蛙に咬まれたのをキッカケに、不運な人生を送る主人公。父親役のもんじゃ屋主人をきたろう氏が好演しています。 そして主人公の斎藤幸子役を演じる斉藤由貴さんのフィジカルなたっぷり感。

ウェルメイドでハートフルで楽しいお芝居なのですが、どっぷり感情移入できなかったのは、さっぱりした演出のせいなのか。ここ泣かせどころ!、ってとこもスーっと見せちゃうので。あと、主人公が実はそんなに不幸じゃないんじゃないかって思ってしまいました。

というのも最近、情報収集の必要があって ここのサイト を見る機会があったのですが、なんかもうすごい大変な思いをして暮している方が世の中にはたくさんいらっしゃるんだなあ、と思って。本来の目的とは違ったのですが、視野が広がりました。

2009年8月15日土曜日

ベッドリッジ駅

やっと真夏らしくなった土曜日、3月23日のエントリー でも触れたラッセ・ハルストレム監督の『HACHI 約束の犬』をユナイテッドシネマ豊洲に観に行きました。

実在のハチが上野教授の帰りを待ったのは、1920~30年代の渋谷駅ですが、作品の舞台はベッドリッジという米東海岸の架空の街。なんだか駅前の坂道の感じとか新百合ヶ丘駅っぽかったです。

昭和の初め頃の渋谷駅前もあんな雰囲気だったのかもしれません。アッパーミドルクラスが暮らす郊外のベッドタウン。

ハチ目線のとき、画面がモノクロームに近くなり、犬の視界ってこんな風なのか、と思いました。

ハルストレム監督作品はいつも音楽と脇役が素敵です。今回も毎朝リチャード・ギアが出勤前にコーヒーを買うホットドッグ屋台の南アジア系のご主人がとてもよかった。

そんなわけで、この映画を観るときっとホットドッグが食べたくなることでしょう。堪らず寄った HOLE'D BAGUETTEららぽーと豊洲店 で食べたのは、コッペパン半切のアメリカンタイプではなく、昔ウィーンの屋台で食べたみたいなバゲットに縦穴を開けてソーセージを差し込んだものでした。
 

2009年8月8日土曜日

真夏の夜の夢

シネカノン有楽町二丁目で『真夏の夜の夢』を観ました。シェイクスピアの戯曲の舞台を沖縄の離島に替えて、『ナビィの恋』の中江裕司監督が映画化した作品です。

シェイクスピア戯曲の妖精パックが、島の精霊(キジムン)マジルーという設定。珊瑚礁の深い青、亜熱帯の鮮やかな色彩が印象的です。『ナビィの恋』の音楽は沖縄民謡とアイリッシュトラッドのミクスチャーでしたが、『真夏の夜の夢』では、沖縄のメロディとJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲(のヴィオラ演奏版)が交互に響きます。

人間に忘れ去られると消えてしまうというキジムン。一方、他人に忘れ去られても消えることができないのが現実の人間で、それは少々悲しくもあり、可能性でもあり、みたいなことを考えていました。

ところで、4月27日のエントリーで紹介したシネカノンの館内アナウンスですが、普通のになっていました。どうも前回の担当の方がシネカノン有楽町一丁目に人事異動になった(イトシア⇒ビックカメラ)のではないか、との情報が。。

2009年7月19日日曜日

プライベート・アイズ

劇団フライングステージ第34回公演「プライベート・アイズ」を下北沢 OFF・OFFシアターにて。フライングステージはカミングアウトしているゲイの劇団。ますだいっこうさんが客演していたのがきっかけで、10年ほど前からほぼ毎公演拝見しています。

今回のお芝居は、ネットも携帯もCDもなかった1980年代の高校生。ポップスと映画と芝居と始まったばかりのゲイライフ。ということで、3年前に観た傑作「ムーン・リバー」の続編です。

主宰・脚本・演出の関根信一さんが同い年ということもあり、1982年に17歳という設定がまず完全にツボ。木製の教室椅子8脚のみというシンプルな舞台美術も1990年代のフライングステージの懐かしい感じでした。

主演の早瀬智之さんはもちろんよかった(初見から十年経ち、高校生役も老け役もこなせる役者さんになりました)のですが、今回は女優陣の好演が光りました。

主人公のお母さん、アングラ劇団の看板女優、ジャズバーのシンガーと3役を完璧に演じ分けた西田夏奈子さん、主人公に思いを寄せる幼馴染のボーイッシュなノンケ女子美土里を熱演した加藤記生さん。特に美土里の告白(&失恋)シーンには過剰に感情移入してしまいました。

フライングステージのここ数作は、若干ゲイテイスト含みの本格文芸大作という感じでしたので、久しぶりに直球のゲイストーリーを堪能し、あっという間に2時間の上演時間が過ぎていきました!

2009年7月16日木曜日

我々はどこへ行くのか

昨夜は足田メロウ展「風と景色 -Planetica#4-」 のオープニングパーティにおじゃましてきました。盛況でした。ひさしぶりにあった友人たち、はじめてお会いした京都のみなさん、ギャラリーのスタッフのみなさん、ヌーラさん、メロウさん、どうもありがとうございました!

ニュートロンさんは、真っ白でスクエアな壁が印象的な、とても良いギャラリーです。会期は8月2日(日)までですので、どうぞみなさんお出かけください。赤坂消防署が目印です。

午前中に竹橋の東京国立近代美術館にゴーギャンを見に行きました。近くで現物を見ると、絵の具が薄づきでとっても上品なんですね。それと没後に息子が刷った「ノアノア」の木版画がディテールが明確でよかったです。

実は15年程前にタヒチ島に行ったことがあるのですが、現地にはゴーギャンの原画はありません。気候条件が保存に適していないからだそうです。彫刻はありました。

今回の展示には入っていませんでしたが、ゴーギャンの絵で一番好きなのは、1888年に描かれた「説教のあとの幻影(ヤコブと天使の格闘)」です。