すこしおさまっていた暑さがまた戻ってきました。下北沢OFFOFFシアターで劇団フライングステージ第38回公演『OUR TOWN わが町 新宿2丁目』を鑑賞しました。カミングアウトしているゲイの劇団が、ソーントン・ワイルダー(1897-1975)のストレイト・プレイ・クラシック『わが町』(1938)の舞台を、彼らのホームともいえる新宿二丁目に置き換え舞台化。
元禄年間、内藤新宿の肺病病みの遊女と炭屋の悲恋。明治時代、夏目漱石の養父母の居所。1958年、赤線廃止前夜の売春カフェ(ここまではノンケの話)、1987年バブル期のナイトクラビング。2000年、プライドパレードの誕生。2013年、世界有数のゲイタウンとして発展した現代。主役は新宿の街そのもの。まるで『ツリー・オブ・ライフ』や『クラウドアトラス』のような壮大な叙事詩が僅か300m四方の街を舞台に繰り広げられます。
1999年の第14回公演『オープニング・ナイト』からずっとこの劇団の本公演は(途中いくつか抜けはありますが)観続けています。脚本・演出の関根信一さんは僕と同年令。当初はゲイとしてのアイデンティティや周囲との軋轢に懊悩する若者が主役で、その自己愛と自己嫌悪は息苦しいほどでした。いつしか大人になり、自我よりもセクシャルマイノリティのコミュニティに対するコミットメントに主題が変化しています。
そして今回の感動的なラストシーンでは、死者たちが雲の上からレインボーパレードをあたたかい目で見下ろしている。突然の雨、そして雨上がりの夜空に輝く星座。公演で何度も主演をつとめた羽矢瀬智之さんが今年4月に34歳の若さで亡くなりました。舞台上の死者役の俳優たちといっしょに、彼も僕たち客席を見守っている。そんなことを考えて、ちょっと胸が熱くなりました。
5年程前から大きな役を任せられるようになった岸本啓孝さん。お芝居がとても上手くなったなあ、と思います。女形は多数出ていますが、唯一の客演女優(生物学的にも女性)木村佐都美さん。江戸の遊女と現代の女子高生とバツイチ女、振れ幅の大きな演じ分けはコメンディエンヌとしての彼女の魅力を存分に発揮するものでした。そして伊藤馨さんの照明はいつも本当に素晴らしいです。
2013年8月31日土曜日
2013年8月22日木曜日
Poemusica Vol.20
残暑お見舞い申し上げます。8月も残10日。下北沢Workshop Lounge SEED SHIP にて"Poemusica Vol.20~生温い風はいらない~"が開催されました。
唄子さんは4月18日のPoemusica Vol.16につづき2回目の登場です。大きな瞳を伏せ、ガットギターの柔らかいアルペジオに乗せて歌う旋律は時折こぶしが入るアジアンテイスト。コーラが好きだった亡きおばあちゃんに捧げた新曲もロマンチックでした。
つづいて青木さおりさん(名前のかな表記はCDに倣っています)はピアノ弾き語り。ぽわんとしたひとなつこい雰囲気の方ですが、声は意外に硬質なアルトです。歌詞の抽象度も高い。でもメロディに無理がなくとても自然なので、硬質さが透明感に転換して、優しい音楽になっています。
トリは広島綾子さん。アコースティックギターのファルコンさんとのデュオで(画像参照)。洋楽テイストの強い解放感のある曲調を抜けの良い爽やかな声で歌います。ピアノも歌もアンサンブルも完璧にコントロールされたプロフェッショナルで小気味良いステージング。"Close to You"の邦訳カバーにはきゅんとしました。
今回出演した3組の女性アーティストに共通して感じたのは安定感。自分の伝えたいことがはっきりしていて、表現手法に確信を持っている。だから聴く人たちはみんな安心してその世界に身を置くことができます。
僕は3篇の詩を朗読しました。オープニングに田村隆一のカバーで「三つの声」。ちょうど15年前、1998年8月26日に75歳で亡くなった戦後を代表する現代詩人です。そして自作の夏の詩をふたつ「DOLPHINS」「都市計画/楽園」。タイトなリズムで正確に朗読することができたと思います。
そして次回からしばらくPoemusicaをお休みするLittle WoodyはいつものLittle Woodyでした(笑)。最後にMCで話したスーパーボールの比喩はしみじみ届いたよ。Poemusica Vol.2で出会って1年半。毎月楽しませてくれてありがとう。Little Woody Band と3度共演したことを、いとことかに自慢したい。これからもきっと接点があると思います。そのときはよろしくね!
2011年末から始まったこのライブイべントも早いもので20回めを迎えました。これまで関わってくださったすべてのみなさんに感謝します。またこれからもよろしくお願いいたします。次回は9月19日です。そのころにはすこしは涼しくなっているといいな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Poemusica Vol.21
日時:2013年9月19日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,200円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:トリオアカシアーノ(from 歌劇団タンゴアカシアーノ)*Music
古川麦(from 表現)*Music
音橙 *Music
カワグチタケシ *PoetryReading
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
唄子さんは4月18日のPoemusica Vol.16につづき2回目の登場です。大きな瞳を伏せ、ガットギターの柔らかいアルペジオに乗せて歌う旋律は時折こぶしが入るアジアンテイスト。コーラが好きだった亡きおばあちゃんに捧げた新曲もロマンチックでした。
つづいて青木さおりさん(名前のかな表記はCDに倣っています)はピアノ弾き語り。ぽわんとしたひとなつこい雰囲気の方ですが、声は意外に硬質なアルトです。歌詞の抽象度も高い。でもメロディに無理がなくとても自然なので、硬質さが透明感に転換して、優しい音楽になっています。
トリは広島綾子さん。アコースティックギターのファルコンさんとのデュオで(画像参照)。洋楽テイストの強い解放感のある曲調を抜けの良い爽やかな声で歌います。ピアノも歌もアンサンブルも完璧にコントロールされたプロフェッショナルで小気味良いステージング。"Close to You"の邦訳カバーにはきゅんとしました。
今回出演した3組の女性アーティストに共通して感じたのは安定感。自分の伝えたいことがはっきりしていて、表現手法に確信を持っている。だから聴く人たちはみんな安心してその世界に身を置くことができます。
僕は3篇の詩を朗読しました。オープニングに田村隆一のカバーで「三つの声」。ちょうど15年前、1998年8月26日に75歳で亡くなった戦後を代表する現代詩人です。そして自作の夏の詩をふたつ「DOLPHINS」「都市計画/楽園」。タイトなリズムで正確に朗読することができたと思います。
そして次回からしばらくPoemusicaをお休みするLittle WoodyはいつものLittle Woodyでした(笑)。最後にMCで話したスーパーボールの比喩はしみじみ届いたよ。Poemusica Vol.2で出会って1年半。毎月楽しませてくれてありがとう。Little Woody Band と3度共演したことを、いとことかに自慢したい。これからもきっと接点があると思います。そのときはよろしくね!
2011年末から始まったこのライブイべントも早いもので20回めを迎えました。これまで関わってくださったすべてのみなさんに感謝します。またこれからもよろしくお願いいたします。次回は9月19日です。そのころにはすこしは涼しくなっているといいな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Poemusica Vol.21
日時:2013年9月19日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,200円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:トリオアカシアーノ(from 歌劇団タンゴアカシアーノ)*Music
古川麦(from 表現)*Music
音橙 *Music
カワグチタケシ *PoetryReading
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
2013年8月2日金曜日
ら・ら・ら・森の音楽会
ら・ら・ら。ギター/ピアノのmueさん、ジンベ(ジャンベ)/ガットギターの奈良大介さん、カリンバのコイケ龍一さんのトリオ、3人全員がリードボーカルをとり、それぞれテイストの異なる歌声と、そのハーモニーが特徴です。
昨年の夏に長野県の森の中でフィールドレコーディングされた1stアルバムの再現ということで、この日はステージを使わず、客席の真ん中に置かれた一本の灌木を囲んでメンバー3人が向き合って演奏するというスタイルでした。曲順は違いましたが、アルバム全曲に加え、カバー曲をいくつか、という構成です。
mueさんの音楽が持つシャープでエッジィな部分、複雑なテンションや転調の多用はあえて封印されていますが、ジンべの重低音やエフェクトされたカリンバの浮遊感を活かして、空間的な処理が施された繊細で実験性の高い音像です。にもかかわらず、全体的な印象としてはピースフルでレイドバック。奈良さんの息子さんで小学生のじゅうき君のミニジンベや小池アミイゴさんのピアニカも加わって、にぎやかに、なごやかに時が過ぎていきます。
キャンプファイア・ミュージック。客席を3分割して3声ポリリズムの合唱、会場のテンションが一気に上がったジンべソロなど見どころ聴きどころの多い、夏休みにぴったりな楽しいショーでした。
2013年7月27日土曜日
風立ちぬ
東京に蒸し暑さが戻ってきた土曜日、ユナイテッドシネマ豊洲で、スタジオジブリ製作、宮崎駿原作・脚本・監督『風立ちぬ』を観ました。
「飛行機は美しい夢だ。戦争の道具でも、商売の道具でもない」。第二次世界大戦中、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を設計した堀越二郎(声:庵野秀明)を主人公にしたこの映画は、公開直後から賛否両論を呼んでいます。
ジブリ映画の新作ですから注目を集めるのは当然ですが、否定的な意見は主にイデオロギー面から。主人公が軍需産業に従事する過程に葛藤が無い。宮崎駿ともあろう者が戦争賛美に転じたか、というもの。それか、庵野監督の台詞が棒読み過ぎる(笑)。
「国を滅ぼしてしまった」「一機も帰ってこなかった」という控えめな台詞では反戦のメッセージが伝わらない。確かにそうかもしれません。兵器を作る暇があったら、病気の新妻をもっと献身的に看病しろ、と。
ナウシカや『もののけ姫』のサンのように失われつつある自然を取り戻すために闘うヒロインはこの映画には登場しません。実在の人物を描いているのに、夢で始まり、夢で終わる。
僕もどちらかといえば左翼的な思想を持っていますが、ジブリ映画にはプロパガンダを求めていません。監督はきっと、飛行機を描きたかったのだと思います。そして、人間が空を飛ぶという行為の美しさと愚かさを。エンジンの動作や飛行シーンのクオリティは、奥行きの深い背景の自然描写に支えられて、『天空の城ラピュタ』や『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』を超えるダイナミズムと抒情性を持っています。そして最近では『コクリコ坂から』にも通じるノスタルジックな街並み。また関東大震災の縦揺れの表現は非常に斬新。これらは劇場での鑑賞に値すると思います。
それでも、この映画で最も心を動かされたのは、菜穂子(声:滝本美織)がサナトリウムに帰ったことを知ったときに、二郎の妹加代(声:志田未来)が路上で号泣するシーンです。それはきっと死を美化しない人間のあがきがきちんと描写されているからでしょう。
ちなみに、堀辰雄の『風立ちぬ』のヒロインの名前は節子。菜穂子は別の小説『菜穂子』からとっているのだと思います。
加えて、今秋公開の高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』の予告編の太い色鉛筆だけで描かれた疾走感溢れる画面表現が素晴らしかった。期待大!
「飛行機は美しい夢だ。戦争の道具でも、商売の道具でもない」。第二次世界大戦中、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を設計した堀越二郎(声:庵野秀明)を主人公にしたこの映画は、公開直後から賛否両論を呼んでいます。
ジブリ映画の新作ですから注目を集めるのは当然ですが、否定的な意見は主にイデオロギー面から。主人公が軍需産業に従事する過程に葛藤が無い。宮崎駿ともあろう者が戦争賛美に転じたか、というもの。それか、庵野監督の台詞が棒読み過ぎる(笑)。
「国を滅ぼしてしまった」「一機も帰ってこなかった」という控えめな台詞では反戦のメッセージが伝わらない。確かにそうかもしれません。兵器を作る暇があったら、病気の新妻をもっと献身的に看病しろ、と。
ナウシカや『もののけ姫』のサンのように失われつつある自然を取り戻すために闘うヒロインはこの映画には登場しません。実在の人物を描いているのに、夢で始まり、夢で終わる。
それでも、この映画で最も心を動かされたのは、菜穂子(声:滝本美織)がサナトリウムに帰ったことを知ったときに、二郎の妹加代(声:志田未来)が路上で号泣するシーンです。それはきっと死を美化しない人間のあがきがきちんと描写されているからでしょう。
ちなみに、堀辰雄の『風立ちぬ』のヒロインの名前は節子。菜穂子は別の小説『菜穂子』からとっているのだと思います。
加えて、今秋公開の高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』の予告編の太い色鉛筆だけで描かれた疾走感溢れる画面表現が素晴らしかった。期待大!
2013年7月20日土曜日
Kitchen Table Music Hour vol.1
9月にライブを主催します。僕が普段自宅や移動中聴いている音楽を「いかがですか」と、親しい人たちに手渡すような小さな音楽会を。僕は出演せず、企画とプロモーションのみで。僕の好きな音楽にどれくらいみんな興味を持って会場に集まってくれるだろう。
きっかけはノラさんのtwitterでした。彼女が白山を歩いていたときたまたま見かけたJAZZ喫茶映画館の看板。それは同じ店で僕が朗読した三日後のことでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
カワグチタケシ presents "Kitchen Table Music Hour vol.1"
日時:2013年9月28日(土) Open 15:00 Start 15:30
出演:ノラオンナ(歌とウクレレ)
まえかわとも子(歌とギター)
会場:JAZZ喫茶映画館
〒116-0013 東京都文京区白山5-33-19
03-3811-8932 http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/
料金:無料(1drink order)+投げ銭
※会場の地図はこちら
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
*ノラオンナ http://noraonna.jpn.org/
ウクレレ弾き語りのほか、ギタリスト見田諭とのデュオ、5人編成バンド “港ハイライト” 作詞作曲ボーカル。CD「いいわけイレブン」「かもめのデュオさん」etc.. 函館生まれ阿佐ヶ谷在住。 ⇒YouTube「パンをひとつ」
*まえかわとも子 http://d.hatena.ne.jp/taimanbiyori/
オルタナボッサトリオ“The Xangos”のボーカル、たきびバンド、ギタリスト前原孝紀とのデュオ「まえまえから」等。CD “roda” The Xangos、「冬の街」まえかわとも子、他。横浜生まれ大磯在住。 ⇒YouTube「夜明けのサンバ」
■JAZZ喫茶映画館 http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/
都営地下鉄三田線白山駅下車A3出口裏徒歩1分。1978年開店の老舗ジャズ喫茶。マスター手作りの真空管オーディオシステムとネルドリップコーヒー。壁にはヌーベルバーグのポスターと沢山の振り子時計がチクタク鳴っている。猫もいます。
■JAZZ喫茶映画館 http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/
都営地下鉄三田線白山駅下車A3出口裏徒歩1分。1978年開店の老舗ジャズ喫茶。マスター手作りの真空管オーディオシステムとネルドリップコーヒー。壁にはヌーベルバーグのポスターと沢山の振り子時計がチクタク鳴っている。猫もいます。
キッチンテーブルは自宅における僕の定位置。詩を書くのも、詩集の製本も、すべてこのテーブルです。そこで鳴っている音楽をそのまま皆さんにお届けしたい。そんな想いでこの会を立ち上げました。クオリティは保証します。肩の荷を下ろして、秋の午後のひとときを、ともに楽しみましょう。
2013年7月12日金曜日
Liquid 2nd Album「Indigo Harbor」 Release Party!!
Poemusicaの翌日は、Little Woody が所属する3ピース・インスト・ロック・バンド Liquid のレコ発ライブへ。渋谷UNDER DEER Loungeの階段を下りると、見知った顔もちらほら。シーンにコミットしていくって、こういうことなんだな、と感じます。
Liquidは、ギターのイガヒロシ、ドラムス脇山広介、ウッドベースLittle Woodyの3人組。結成から1stアルバムのリリースまで9年もかかったというのに、それからわずか8ヶ月で2ndが完成。そんなバンドの勢いそのままのテンションの高いライブでした。
1970年代ハードロック調のオーバードライヴする哀愁のギターとロカビリーテイストのスラップベースにパンキッシュで破天荒なドラムス。この3人でなければ出せない強固なグルーヴ感は、緻密な曲構成と構築した端からなぎ倒していく豪快な即興性に支えられています。
特にこの日は脇山さんのドラムスがキレていた。非常にスキルフルなドラマーがリズムキープを後回しにして暴れ出す瞬間。僕は残念ながら生演奏は観たことがないのですが、The Who のライブ盤で聴くキース・ムーンを彷彿とさせます。笑っちゃうぐらい手数が多くて、叩いてる脇山さん本人もメンバーもお客さんもみんな楽しそうに笑っている。
MCもよかった。落としどころの見えないLittle Woody のユルいトークをイガさんが力技で締める。部室っぽいチャーミングさが全開で、ごつくてむさくるしい音楽なのに客席の女子率が高いのは、そのへんに秘密があるのかも(笑)。
共演したPHONO TONESとF.I.B Journalもそれにつられてか、以前聴いたライブよりもごつごつした演奏をしているように感じられました。F.I.B Journalの山﨑円城さん(vo.g)はLittle Woodyより古い、15年来の知り合いなのですが、ライブで聴いたのは超ひさしぶり。ハモンドオルガンの低音部で鳴らされるベースラインが強烈でした。
Liquidは、ギターのイガヒロシ、ドラムス脇山広介、ウッドベースLittle Woodyの3人組。結成から1stアルバムのリリースまで9年もかかったというのに、それからわずか8ヶ月で2ndが完成。そんなバンドの勢いそのままのテンションの高いライブでした。
1970年代ハードロック調のオーバードライヴする哀愁のギターとロカビリーテイストのスラップベースにパンキッシュで破天荒なドラムス。この3人でなければ出せない強固なグルーヴ感は、緻密な曲構成と構築した端からなぎ倒していく豪快な即興性に支えられています。
特にこの日は脇山さんのドラムスがキレていた。非常にスキルフルなドラマーがリズムキープを後回しにして暴れ出す瞬間。僕は残念ながら生演奏は観たことがないのですが、The Who のライブ盤で聴くキース・ムーンを彷彿とさせます。笑っちゃうぐらい手数が多くて、叩いてる脇山さん本人もメンバーもお客さんもみんな楽しそうに笑っている。
MCもよかった。落としどころの見えないLittle Woody のユルいトークをイガさんが力技で締める。部室っぽいチャーミングさが全開で、ごつくてむさくるしい音楽なのに客席の女子率が高いのは、そのへんに秘密があるのかも(笑)。
共演したPHONO TONESとF.I.B Journalもそれにつられてか、以前聴いたライブよりもごつごつした演奏をしているように感じられました。F.I.B Journalの山﨑円城さん(vo.g)はLittle Woodyより古い、15年来の知り合いなのですが、ライブで聴いたのは超ひさしぶり。ハモンドオルガンの低音部で鳴らされるベースラインが強烈でした。
2013年7月11日木曜日
Poemusica Vol.19
例年になく早い梅雨明け。猛暑、熱帯夜。下北沢Workshop Lounge SEED SHIPにて"Poemusica Vol.19"が開催されました。
7月はカオリンタウミ(MUDDY "stone"AXEL)を思い出す月。この同い年の伝説的な朗読詩人が亡くなってから今年の7月26日で13年になります。今夜のオープニングには彼の"Rudies shall be released"を朗読しました。こんな詩です。「OK! 願いをかなえよう ことごとく予定どおりにことがはこばなくたって/いつかきっと脱け出すだろう 暑さと湿気に打ちのめされたって/いつかきっと脱け出すだろう ほら見ろよ「目を閉じて」心の中/すさんだゴーストタウンの 鉄じょうもうをつきやぶって 永遠のルードボーイたちが行くぜ」。
Little Woodyはひさしぶりにバンドで登場。今回はウッドベースLittle Woody、キーボードVi-Taの2人編成で、ループマシンは用いず、完全ヒューマンメイドな即興演奏を繰り広げました。ファットでルーズなベースに、きらびやかな生ピアノとグルーヴィなオルガン。ジャジーでアシッド。僕も本番中に急に呼ばれて(笑)、カオリンタウミの詩をもう一篇「星のルーディ」のリーディングで参加しました。
つづいて、矢野あいみさん。名前の通り愛らしい人。アイリッシュ・ハープを奏でる姿はどこか別の世界の住人のようです。彼女がハープを弾くYouTubeを観て、僕の詩「もしも僕が白鳥だったなら」に、お願いして音楽をつけてもらいました。オリジナル曲はピアノ弾き語りで。華奢で清楚な外見からは意外なほどのレンジの広い歌声が白い会場によく響きます。客席とのコミュニケーションもつき過ぎず離れ過ぎず。気持ちの良いステージングでした。
矢野さんの最終曲「ブルーバード」を聴いて、僕の最後の演目は「虹」に。これまた直前の打ち合わせでQooSueにバッキングしてもらうことに。
そしてその流れでQooSueの3人にステージを引き継ぎました。アコースティックギター&ボーカルの那須寛史さんとベースの那須健二さんは二卵性双生児。このふたりが曲の骨格を組み立て西村桂樹さんがキーボードとアルトサックス、ティンホイッスルで色彩を加える。アコースティック・プログレ・トリオ。時折織りこまれる中東やケルトの音階。構築的でありながら、風通しの良い演奏で、丸まっていた背筋がふっと軽く伸びるようでした。
今回はじめて全3組のミュージシャンそれぞれと共演させていただいて、こういう縦糸の張りかたもできるんだな、っていう発見もあり。三者三様の言葉と音の接し方の違いも味わえ、楽しんでもらえたのではないかと思います。来月のPoemusicaは真夏の女子会です。ひとり1台エアコンを使うより、みんなで集まったほうが節電になります。是非!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Poemusica Vol.20
日時:2013年8月22日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,200円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:青木紗織 *Music
唄子 *Music
広島綾子 *Music
Little Woody *Animation
カワグチタケシ *PoetryReading
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
7月はカオリンタウミ(MUDDY "stone"AXEL)を思い出す月。この同い年の伝説的な朗読詩人が亡くなってから今年の7月26日で13年になります。今夜のオープニングには彼の"Rudies shall be released"を朗読しました。こんな詩です。「OK! 願いをかなえよう ことごとく予定どおりにことがはこばなくたって/いつかきっと脱け出すだろう 暑さと湿気に打ちのめされたって/いつかきっと脱け出すだろう ほら見ろよ「目を閉じて」心の中/すさんだゴーストタウンの 鉄じょうもうをつきやぶって 永遠のルードボーイたちが行くぜ」。
Little Woodyはひさしぶりにバンドで登場。今回はウッドベースLittle Woody、キーボードVi-Taの2人編成で、ループマシンは用いず、完全ヒューマンメイドな即興演奏を繰り広げました。ファットでルーズなベースに、きらびやかな生ピアノとグルーヴィなオルガン。ジャジーでアシッド。僕も本番中に急に呼ばれて(笑)、カオリンタウミの詩をもう一篇「星のルーディ」のリーディングで参加しました。
つづいて、矢野あいみさん。名前の通り愛らしい人。アイリッシュ・ハープを奏でる姿はどこか別の世界の住人のようです。彼女がハープを弾くYouTubeを観て、僕の詩「もしも僕が白鳥だったなら」に、お願いして音楽をつけてもらいました。オリジナル曲はピアノ弾き語りで。華奢で清楚な外見からは意外なほどのレンジの広い歌声が白い会場によく響きます。客席とのコミュニケーションもつき過ぎず離れ過ぎず。気持ちの良いステージングでした。
矢野さんの最終曲「ブルーバード」を聴いて、僕の最後の演目は「虹」に。これまた直前の打ち合わせでQooSueにバッキングしてもらうことに。
そしてその流れでQooSueの3人にステージを引き継ぎました。アコースティックギター&ボーカルの那須寛史さんとベースの那須健二さんは二卵性双生児。このふたりが曲の骨格を組み立て西村桂樹さんがキーボードとアルトサックス、ティンホイッスルで色彩を加える。アコースティック・プログレ・トリオ。時折織りこまれる中東やケルトの音階。構築的でありながら、風通しの良い演奏で、丸まっていた背筋がふっと軽く伸びるようでした。
今回はじめて全3組のミュージシャンそれぞれと共演させていただいて、こういう縦糸の張りかたもできるんだな、っていう発見もあり。三者三様の言葉と音の接し方の違いも味わえ、楽しんでもらえたのではないかと思います。来月のPoemusicaは真夏の女子会です。ひとり1台エアコンを使うより、みんなで集まったほうが節電になります。是非!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Poemusica Vol.20
日時:2013年8月22日(木) Open 18:30 Start 19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,200円 当日2,500円(ドリンク代別)
出演:青木紗織 *Music
唄子 *Music
広島綾子 *Music
Little Woody *Animation
カワグチタケシ *PoetryReading
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
登録:
投稿 (Atom)