2013年8月31日土曜日

OUR TOWN わが町 新宿2丁目

すこしおさまっていた暑さがまた戻ってきました。下北沢OFFOFFシアター劇団フライングステージ第38回公演『OUR TOWN わが町 新宿2丁目』を鑑賞しました。カミングアウトしているゲイの劇団が、ソーントン・ワイルダー(1897-1975)のストレイト・プレイ・クラシック『わが町』(1938)の舞台を、彼らのホームともいえる新宿二丁目に置き換え舞台化。

元禄年間、内藤新宿の肺病病みの遊女と炭屋の悲恋。明治時代、夏目漱石の養父母の居所。1958年、赤線廃止前夜の売春カフェ(ここまではノンケの話)、1987年バブル期のナイトクラビング。2000年、プライドパレードの誕生。2013年、世界有数のゲイタウンとして発展した現代。主役は新宿の街そのもの。まるで『ツリー・オブ・ライフ』や『クラウドアトラス』のような壮大な叙事詩が僅か300m四方の街を舞台に繰り広げられます。

1999年の第14回公演『オープニング・ナイト』からずっとこの劇団の本公演は(途中いくつか抜けはありますが)観続けています。脚本・演出の関根信一さんは僕と同年令。当初はゲイとしてのアイデンティティや周囲との軋轢に懊悩する若者が主役で、その自己愛と自己嫌悪は息苦しいほどでした。いつしか大人になり、自我よりもセクシャルマイノリティのコミュニティに対するコミットメントに主題が変化しています。

そして今回の感動的なラストシーンでは、死者たちが雲の上からレインボーパレードをあたたかい目で見下ろしている。突然の雨、そして雨上がりの夜空に輝く星座。公演で何度も主演をつとめた羽矢瀬智之さんが今年4月に34歳の若さで亡くなりました。舞台上の死者役の俳優たちといっしょに、彼も僕たち客席を見守っている。そんなことを考えて、ちょっと胸が熱くなりました。

5年程前から大きな役を任せられるようになった岸本啓孝さん。お芝居がとても上手くなったなあ、と思います。女形は多数出ていますが、唯一の客演女優(生物学的にも女性)木村佐都美さん。江戸の遊女と現代の女子高生とバツイチ女、振れ幅の大きな演じ分けはコメンディエンヌとしての彼女の魅力を存分に発揮するものでした。そして伊藤馨さんの照明はいつも本当に素晴らしいです。

 

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