2011年4月22日金曜日

レクイエム

一昨日は、震災復興支援チャリティライブ re:generations(仮)@場 横寺inうす沢でした。お越しくださった皆様、この惑星のどこかで気にかけていてくれた皆様、ありがとうございました!

このような機会を提供していただいた帽子作家の原田紀さん、ギャラリーのオーナーご夫妻、共演者のtriola波多野敦子さん、手島絵里子さんにも深く感謝したいです。

会場の古い一軒家の造りがとてもかわいらしく、弦楽の響きも素敵でした。ドリンクとともにふるまわれた天然酵母パンもおいしく、終演後にお買い求めになるお客様も多数。

このお話を最初にtriolaの波多野さんに持ちかけたときに、震災で犠牲になった方たちへのレクイエムとして、ジョン・レノンの"Happy Xmas (War Is Over)"をまったく季節外れと知りながらリクエストしました。波多野さんの歌声が手島さんのヴィオラに乗ってきっと届いたはずです。

僕は当初はいつもどおりに、と思っていたのですが、存命の詩人では最も敬愛していた岸田衿子さんが4月7日に82歳で亡くなったことがあり、衿子さんの「忘れた秋Ⅳ」を急遽演目に加え、波多野さんに伴奏をつけてもらいました。

そんなふたつのレクイエムが響きましたが、けっして神妙な会ではなく、会場のお客様、みなさん笑顔で聴いてもらえたと思います。

今回の入場料7,000円、それに加えて、帰宅したら当日会場に来られなかった旧友から「feeとして」と1,000円が送られてきており、合わせて8,000円を、被災地で活動するNPO/NGOを支援しているThink The Earth基金に寄付。昨日口座に振り込んできました。

みなさんの想いが届きますように。一日も早い復興を願っています。


 

2011年4月11日月曜日

ライヴ・レコーディング

東京の桜はいまが満開。週末あたりから気温も上がり、ようやく春らしくなってきました。前回前々回のエントリーでも紹介した『続・同行二人』3月26日のライヴ録音をCD化し、当日の会場である古書信天翁さんに納品してきました。

当日都合がつかなくて、泣く泣く御来場を断念した皆様、ライヴも観たけれどもういちど聴きたいなっていう皆様、お茶の間でお楽しみいただけるようになりました。

ディスクには当日の演目20篇すべてが高音質ステレオ録音で収録されています。松浦年洋さんのキレのいいギター、中村"ルイーザ"真美さんのパーカッションの豊かな響きも堪能できます。もちろん村田活彦さんのピアニカとアルト笛も!

お値段は当日の入場料と同額の1000円(税込)、同じくそのうち半額をThink The Earth基金を通じて東日本大震災の被災地に寄付します。

6月末まで古書信天翁の店頭のみの限定販売です。どうぞお買い逃しなさいませんように!

 

2011年4月2日土曜日

re:generations(仮)@妄想中華雑貨店

エイプリル・フールも大過なくやりすごし、東京の桜はようやく一分咲きといったところです。 みなさんいかがお過ごしでしょう。僕は元気です。『続・同行二人』のライブ音源の編集もひと段落つきました。

ところで。次のライブのお知らせです。

二十歳のころからの友人で、帽子作家の原田紀(ハラダノリ)さんが、YASUMI-YA名義で半年毎に開催している『妄想中華雑貨店』。ノリ先生の作品が好きで、何度かおじゃましているのですが、今回2011春夏コレクションの展示会場で、チャリティライブのお声掛けをいただきました。

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震災復興支援チャリティライブ
re:generations(仮)

2011年4月20日(水)19:00開演
音楽 triola(波多野敦子vn、手島絵里子va)
朗読 カワグチタケシ
料金:1000円(1ドリンク付)
会場:うす沢「場 横寺」東京都新宿区横寺町47
   03-5228-6758 http://usuzawa.com/
   都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅A2出口徒歩3分

会場の地図はこちら↓
http://usuzawa.com/outline.html ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

原田紀さん(YASUMI-YA)は、このブログでも何度か紹介していますが、自然素材を使用したチャーミングで実用的な帽子と鞄、服飾雑貨を制作販売しています。お洒落女子必見!

triolaさんとは昨年夏以来の共演です。ヴァイオリンとヴィオラのデュオで、他に類のないグルーヴィかつ繊細で美しいアンサンブルを奏でます。作曲、ヴァイオリン、ヴォーカルの波多野敦子さんは先月ソロアルバム『13の水』をリリースし、各方面で高い評価を得ています。僕自身triolaの音楽が大好きなので、この共演が本当に楽しみです。今回は節電のため、完全アンプラグド。レアなアレンジが聴けるかもしれません。

会場のうす沢さんは陶器のギャラリーです。神楽坂の奥座敷的なロケーションになりますので、是非ウェブサイトの地図をご参照のうえ、迷子にならないようにいらしてください。

なお、今回のライブチャージは東北地方太平洋沖地震の被災地に寄付します。どうぞよろしくお願いします!

 

2011年3月27日日曜日

御来場御礼

昨日は、日暮里古書信天翁の『続・同行二人』に御来場いただきありがとうございました。それぞれ普段通りの生活ができず大変なときに、たくさんのお客様に集まっていただきました。

夕暮れから夜へ。会場をご提供いただいた信天翁さんの大きな窓から見える西空の色彩の移り変わりを感じながら、楽しく朗読することができました。あたたかく拍手で迎えてくださったお客様、古書信天翁のおふたり、共演した村田活彦さん、ギターの松浦年洋さん、パーカッションの中村"ルイーザ"真美さん、ありがとうございました。

今年の1~2月に書いた言葉も、何年も前に書いた言葉も、なぜか現在の困難や不安に接続して自己の内部に反響し、それが客席に伝わっていくような、いままでにない経験をしました。こういう特別なときに、舞台に立って言葉を手渡すことができるという幸運に感謝したいです。

詩集も多くの方に手にとっていただき、入場料収入と合わせて、震災被災地への義援金も思った以上にあつまりました。ご協力ありがとうございます!

また、いろいろな事情で来たくても来られなかった方のために、昨日のライブ録音をCD化し、古書信天翁さんで販売します。たぶん来週か再来週には。できあがりましたら、こちらで告知させていただきます。

僕のセットリストは下記の通りです。

・チョコレートにとって基本的なこと
・無重力ラボラトリー
・星月夜
・ボイジャー計画
・バースデーソング
(以上新作)
・予言(ジュール・シュペルヴィエル作、安藤元雄訳)
ANOTHER GREEN WORLD
都市計画/楽園
水の上の透明な駅
・ミルク創世記(村田活彦作)

これ以外に、村田さんが僕の「Planetica(惑星儀)」をアルト笛の演奏付きで読んでくださいました。ありがとうございます。

次のライブは、4月20日(水)に、神楽坂のギャラリーうす沢「場 横寺」で、triolaと半年振りの共演です。詳細はまたあらためてお知らせします!

 

2011年3月21日月曜日

そして ここまで 来てみると

細かな雨の降る春分の日、京浜東北線で北浦和まで。フリースクール彩星学舎の演劇公演第15番「そして ここまで 来てみると」を鑑賞しました。 卒業式も兼ねたこの公演にお邪魔するのは、昨年に続いて二回目です。

震災後の公演でしたが、開演前の案内がとても行き届いていました。例えば、通常時は「携帯電話の電源をお切りください」ってとこが「緊急地震速報の可能性があるのでマナーモードでお願いします」というように。

昨年は歌あり、ダンスありだった演目は、そんな影響もあってか、朗読に焦点を絞ったミニマリズム。それが逆に、このカンパニー(?)のパフォーマンスの特異性を際立たせていたように思います。

群読というのは、個々の出演者の内面表現を一旦排除したところから出発します。特に彩星学舎の場合はリフレイン多用且つ徹底したタテノリなので、より一層。しかしながら、どうしてもはみ出てしまうパフォーマーの内面は、過剰な抑揚よりもずっと雄弁にその人となりを客席に伝えます。

開演前の舞台で、椅子に座って、客席と対峙する出演者(≒生徒)たちの不安げな表情が、第一声とともに責任感を帯びて、引き締まり、輝く。その瞬間だけでも、大人の鑑賞に値する見事なエンターテインメントといって差し支えないでしょう。

ゲストでは、ジャズサックス奏者のMiwakoさんの演奏がよかったです。「見上げてごらん夜の星を」「虹の彼方に」「スマイル」という、どれも好きな音楽でした。美しく感傷的なサックスの音色とハードコアパンクな群読のコントラストにハートを射抜かれました!

というわけで、僕も負けずに。震災の影響でライブが次々に中止や延期になるなか、3月26日(土)の『続・同行二人』は予定通り開催します。先日のエントリーで、僕の詩集の売上を全額被災地に寄付するお知らせをしましたが、会場の古書信天翁さんのご好意により、入場料収入の半額も募金することに決定しました。

こんなときだからこそ、みんなで集まって小さな声に耳を澄ますことが必要なのではないでしょうか。それに、なによりも僕が、みなさんの元気な顔を見たいから。昨日、下北沢SEED SHIPで開催されたライブ"Lights of Hope"に参加して、その想いを更に強くしました。

交通事情等、困難な要素もあるかとは思いますが、幸運にも開演時間が早めに設定してあります。可能な方は是非いらしてください。たとえお客様がひとりでも、現在僕たちに可能な、最上のエンターテインメントを提供します。
 
 

2011年3月19日土曜日

サラエボ, 希望の街角

震災後初のブログ更新です。大変な思いをしている方はたくさんいると思いますが、僕は元気です。一昨日、昨日とは打って変わって、東京はあたたかい土曜日になりました。

神保町の岩波ホールで、ボスニア・ヘルツェゴビナのヤスミラ・ジュバニッチ監督、ズリンカ・ツヴィテシッチ主演の映画『サラエボ, 希望の街角』を観ました。

サラエボといえば、世界史の教科書では、第一次世界大戦の開戦契機となったオーストリア皇太子暗殺、所謂「サラエボ事件」の起きたところ。また、1994年に出版された『サラエボ旅行案内―史上初の戦場都市ガイド』は折に触れページを開く愛読書です。

ボスニア紛争から15年経って、いまのサラエボはどれだけ復興したのだろう。新聞の片隅に載ったこの映画の広告を見て興味を抱き、震災の影響で予定がひとつキャンセルになったことも重なって、観に行ったわけですが。

街が主役の映画という期待に反して、内戦で心的外傷を負ったイスラム教徒のカップルが、信仰観の相違ですれ違う、というヒューマンドラマでした。主役のズリンカ・ツヴィテシッチはとても魅力的だし、脚本も演出も丁寧に練られたいい映画だと思います。ただ、僕の期待の方向が間違っていたというだけで。

ところどころ映るサラエボの旧市街は、とても美しく復興していました。

 

2011年3月6日日曜日

三尾あづち 個展 “Spring has come with Rabbits ??”

ぽかぽか陽気の日曜日。地に足の着かない感じも春らしく。渋谷西武B館で開催中の西武渋谷店&neutron presents 三尾あづち 個展 “Spring has come with Rabbits ??”。週末は公開制作というDMに誘われ、雑踏を分けて覘きに行ってきました。

岐阜県出身の25歳、主に関西で活躍する三尾あづちさん(左利き)の作品は、昨年末neutron tokyoのグループ展で拝見していました。今回の展示も、スカルやゴーストのようなヘンテコでキュートな立体作品と、対照的に実は正確な技巧に裏打ちされた平面作品。どちらも彼女のスタイルで貫かれて、ポップでやわらかく楽しい世界を構成しています。

百貨店の婦人服フロア、上りエスカレーターのすぐ前の人通りの多いエリアにブースを構え、ときどきお客さんと談笑しながら、楽しげに制作する姿が印象的でした。

会場にいらしたニュートロン代表の石橋圭吾さんと短い時間ですが話しました。京都と東京とアジアのアートシーンのこと、ニュートロンの今後の展開のこと。石橋さんのお話をうかがうといつも、夢を現実にする力を感じます。楽しみがまたひとつ増えました。ありがとうございます!