2024年6月2日日曜日

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章

雷雨。ユナイテッドシネマ豊洲黒川智之監督作品『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』を観ました。

東京上空に浮かび3年間動かない母艦から夥しい数の「侵略者」たちが落下してくる前章のラストから、自衛隊による侵略者の捜索と殺戮の場面へ後章は続く。門出(幾田りら)とおんたん(あの)は高校を卒業し駿米大学に進学した。

新歓のキャンパスでは「無抵抗な侵略者を殺すな、侵略者にも人権を」と侵略者保護団体 "SHare out Invaders Protect" 通称SHIPが訴えている。門出とおんたんは尾城先輩(沢城千春)のオカルト同好会に勧誘される。

おんたんは尾城先輩のアパートで、門出が中学時代に推していたアイドル大場圭太(入野自由)に出会うが、その身体は侵略者に乗っ取られていた。

ある極限状況において、世界の存続か、恋人や親友の救済か、という選択は近年いくつかのアニメ作品の主題になっており、多くの場合、主人公は苦悩の末に後者を選択するように思えます。これが世代的なものなのか、現実社会の空気を反映しているものなのかわかりませんが、個人の感情を尊重することに観客の共感が傾いていることは間違いない。しかしながら、おんたんは「喧嘩をするなら僕が全部相手をするよ。そして秒速で土下座する」と必死に融和の道を探ろうとする。

本作における「侵略者」と人類が一方的に名付けた種族は、実は人類より以前に地球に生息していたが、環境の変化に適応できず地球外に移住した経緯があり、再び環境変化により地球への帰還を選択した。排斥された先住民として、帝国主義時代のコロニアリズムの犠牲者たちや昨今のパレスティナ紛争にも通じる問題提起をしていると感じました。

前章に続いて、主人公ふたりあのちゃん幾田りらさんの表現力が素晴らしく、フィジカルの強さを感じさせます。ディズニー映画の『ふしぎの国のアリス』(1951)の昔から、アニメーション表現とサイケデリックは相性が抜群ですが、本作は更に前人未踏の領域に踏み込んでいると思います。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿