2024年6月17日月曜日

都会の民族芸能

曇天。祖師ヶ谷大蔵 Cafe MURIUI で開催されたライブイベント『都会の民族芸能』特別編に行きました。

Chiminさんは、二宮純一さん(g)、井上"JUJU"ヒロシさん(fl, sax)とトリオで演奏、1曲目は「sakanagumo」でした。活動再開後はじめての都内ライブということでしたが、対バン形式にお呼ばれということもあり、とてもリラックスして歌っているように聴こえました。2曲目に歌った「シンキロウ」の「なぜにそんなにもかわいく生きられるの?」という歌詞が僕はとても好きです。会場の響きとトリオの音像がよく合って、いつにもまして静謐で美しく感じました。

主催者の徳久ウィリアムさん岡野勇仁さん(Pf)とのデュオ、ユージンウィリアムスで、シベリアのブリヤート族や北アジアのタタール族などの民謡をモチーフにしたチャーリー高橋さんの楽曲群を多彩な発声で表現しました。ワールドミュージッカーを自称するユージンさんの『世界の国歌総覧』コーナーも楽しかった。チャーリーさんの「地獄巡り」はmueさんのライブでしばしば演奏され、ショーロ~MPB的な捉え方をしていたのですが、原典はゴスペルなんですね。目からウロコです。

三枝彩子さんはモンゴルの伝統音楽オルティンドーの歌い手です。マイクを通さずとも会場全体を震わせる圧倒的な声量は、遠く地平線の見える草原の完全デッドな音響で何kmも離れた思い人に恋心を伝えることができる仕様になっている。オルティンドーは「長い歌」。短い歌のボギンドーも唱法的には似ているのですが、オルティンドーより音節数が多い。ヘンデルオペラ曲を、岡野勇仁さんのハープシコードの伴奏に乗せ、オルティンドーの唱法で歌ったのも素敵でした。

最後は出演者6人全員でチャーリーさんがモンゴル民謡に日本語の歌詞を乗せた「山越えの阿弥陀」を演奏・歌唱しました。

人間はリード楽器である、というのは村田活彦氏の説ですが、単音楽器である人声の表現力を高めるために、もしくは求愛行動として、人はいろいろな声を出すことに憧れる。その憧れが歌を生み、様々な装飾音を加え、ときには倍音を強調し、あるいは和音に聞こえる発声法を鍛錬する。その希求の姿勢は祈りにも似ている。そんなことを考えた梅雨入り前の夜でした。

 

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