2019年9月22日日曜日

マユルカとカナコとタケシ

それは4月のこと。mayulucaさんから一通のメッセージが届きました。mayulucaさんと西田夏奈子さんのユニット「マユルカカナコ」が池ノ上ボブテイルさんに出演するにあたり、僕とツーマンライブで、というお誘いです。

2013年秋に阿佐ヶ谷イネルで聴いて以来、mayulucaさんの都内のライブはほとんど通っており、下北沢SEED SHIPPoemusica何度共演してもらっています。西田夏奈子さんは劇団フライングステージ客演を10年以上前にはじめて拝見し、その後『俊読2017』で共演。お芝居以外にも何度もステージに足を運びました。そんなおふたりからのオファーをお断りする理由がありません。

当初はツーマンで1、2曲共演するようなものを想像したのですが、ボブテイルさんにお邪魔して打ち合わせるあいだに、もっと3人の声と音と言葉が有機的に絡む作品を構成してみようということになりました。これが場の持つ力というものなのでしょうか。

僕の12ヶ月連作ソネット「Universal Boardwalk」を時間軸を示す縦糸に、mayulucaさんの楽曲群を空間の拡がりとしての横糸に、夏奈子さんの声とヴァイオリンを色彩に例え、3D化する90分のパフォーマンス作品、というのが僕の中のイメージでした。

衣装は花柄。骨格がしっかりしつつ澄みきっており、厳選された最小限の言葉で綴られたmayulucaさんの音楽に向き合うために、極力フラットで明瞭な発声をしようと臨みましたが、始まってみれば良い意味で覆され、いつになくエモーショナルなmayulucaさんのパフォーマンスに呼応した夏奈子さんのテンションに導かれて、ドライブ感のあるライブになったと思います。それには客席のみなさんの一音も聞き漏らさないという熱やボブテイルの持つ磁場も大きく影響していたはずです。

「Universal Boardwalk」以外には「コインランドリー」と夏奈子さんのリクエストで「虹のプラットフォーム」「MAR November 4 2003」を僕が朗読し、花の名が出てくる3篇「六月(Universal Boardwalk)」「森を出る」「クリスマス後の世界(部分)」は夏奈子さんに朗読をお願いしました。

録音を聴くと、3人の声が溶け合わずぶつかり合わず絶妙な相性で、完成度の高い音声インスタレーションになっています。もっと多くの方に聴いてもらいたいのと、なにより打ち合わせから本番、終演後のあれこれまで心地良く楽しかったので、またこのメンバーでお届けできたら幸いです。

最後になりましたが、ご来場のお客様、ボブテイル店主たかえさん、mayulucaさん、夏奈子さん、どうもありがとうございました。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿