パリで起こったテロのニュースが世界を巡った雨の土曜日。都営地下鉄三田線に乗って白山へ。JAZZ喫茶映画館でDouble Takeshi Production Presents 詩の朗読会 TKレビューvol.08 "TEENS KNOT REVUE" が開催されました。
このライブシリーズのタイトルはTとKで始まる単語をゲストからひとつずつもらってつけているのですが、小夜ちゃんに提案してもらったのは"KNOT"。結び目という意味です。今日のためにイベントタイトルと同じ"TEENS KNOT REVUE"という詩を書いてきたり、もうひとつの "TEENS" にちなんで、多感な十代の心情を描いた(そして実際に二十歳前後に書いた)「放課後のあとの即興詩」を入れたり。まさに結び目の役割を自ら担ってくれました。僕の「十一月」を朗読してもらったのもうれしいサプライズでした(そしてその描写は今朝の報道とも呼応していました)。
さいとういんこさん(画像)。1997~2000年頃のトーキョー・ポエトリー・シーンのミューズのひとりでありアイコン的存在。ミュージシャン、職業作詞家としての経験も生かして、シーンを活性化させたレジェンドです。強烈な反骨心を愛らしい声とビジュアル、一見甘い言葉にくるんで、シンプルに投げる。スタイルはそのままに更に振り切れたパフォーマンスは観客に強い印象を残しました。約100日間、毎日1篇ずつ書いた短詩をBill Evansの"Alone"に乗せて連続してリーディングする姿にスタンドアローンな気概を感じ、痛快な気分になります。
ダブルタケシの大きいほう、小森岳史。小森さんの詩には「あれがこうだから、こうなって、こうなのである」という理屈っぽさと、センティメントが理屈を踏み越えるときの捨て鉢な跳躍力が同居しています。そのバランスの危うさが初期作品の魅力であり、最近作では単なる感傷に留まらない抽象的なスプリングボードを(その正体が僕にはまだよく見えないのですが)備えてきているように思えました。朗読の質も最近数回では一番でした。「雷の朝」はニューヨークをパリに読み替え、TKレビューの(実は)ポリティカルな側面を象徴していました。
僕もニュースを受けてセットリストをすこし変更して、「Doors close soon after the melody ends」「新しい感情」「すべて」「線描画のような街」「fall into winter」「都市計画/楽園」の6篇を朗読しました。なぜ殺してはいけないか。死はファンタジーではない。今日という日にお伝えしたかったことがすこしでも伝わっていたらいいな、と思います。
ご来場のお客様、応援してくれた方々、映画館のマスターと絹子さん、共演者のみなさん、そしてフライヤーに素晴らしい写真を提供してくださったベルリン在住のますだいっこうさん。どうもありがとうございました。来年の秋にまた、違う名前でお会いすることができたら幸いでございます。
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