1975年、合衆国ミシガン州の郊外住宅地に暮らすカトリック教徒のリズボン家、高校の数学教師の父親(ジェームズ・ウッズ)、専業主婦の母親(キャサリン・ターナー)と17歳のテレーズ(レスリー・ヘイマン)、16歳のメアリー(A・J・クック)、15歳のボニー(チェルシー・スウェイン)、14歳のラックス(キルスティン・ダンスト)、13歳のセシリア(ハンナ・ホール)の五人姉妹。
金髪の美人姉妹は常に注目を集め、近所の男子たちの憧れであり、妄想の対象であった。ところが、上映開始3分も経たずに五女セシリアがバスタブでリストカットする。セシリアは一命をとりとめたが、ロールシャッハテストで家庭環境に抑圧を感じており同世代の異性との交流が効果的と診断され、リズボン家に男子たちを招いてホームパーティが催されたその最中に、セシリアは2階の自室から飛び降り、自死を遂げる。
このソフィア・コッポラの監督デビュー作のTシャツを一昨年ユニクロで購入したのですが、映画館で観ておらず、月替わりで名作を上映する『12ヶ月のシネマリレー』にて鑑賞しました。4Kレストアされた姉妹のヘヴンリィな美しさは『ピクニックatハンギング・ロック』を想起させ、インテリアやファッションなど、公開後25年経った現在から見てもガーリィが全開で、凄惨かつ陰鬱なストーリーを眩しく照らしている。そのギャップこそが本作が名画とされる所以だと思います。
1970年代のポップチャートを中心とした選曲も最高。主人公の四女ラックスがダンスパーティの舞台袖で学園中の憧れの的トリップ(ジョシュ・ハートネット)とキスをするシーンで10ccの"I'm Not In Love" が流れるのもアイロニーが効いているし、映画後半の閉塞状況において唯一心温まるシーンといってもいい二軍男子たちが姉妹に黒電話で聴かせるトッド・ラングレンの "Hello It's Me" からギルバート・オサリバンの "Alone Again (Naturally)"、ビージーズの "Run to Me"、キャロル・キングの "So Far Away" の流れは歌詞もシンクロして感動的です。
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