僕が代表者を務めるインディーズ出版社Pricilla Labelから詩集を出している石渡紀美さんが1か月間フランスに滞在すると聞いて、帰国直後にライブをしたいと思い、同じくプリシラから朗読CDをリリースしている小夜さんにもお声掛けしました。帰国ライブなので和テイストの会場がよく、昭和の終わりから平成初期の5年間近くに住んでいたことがある日本庭園の大正時代の建築を思い出しました。
秋の日はつるべ落とし。すっかり暗くなった夜の庭園を背にした縁側で朗読しているとガラス越しに時折ししおどしの音が聞こえます。
1. 無題(静かな夜~)
2. 線描画のような街
3. 十一月の話をしよう
4. 十一月(Universal Boardwalkより)
5. 十一月、ブラームスを聴く詩人(石渡紀美)
6. 新しい感情
僕は以上6篇に加え、小夜さんとライブ当日の午前0時半まで巻いていた連詩「夜の庭」を朗読しました。連詩をふたりで交互に読み、小夜さんに交代しました。十四畳の会場にマイクを通さない肉声がほどよく響き、小夜さんの言葉が息づかいを伴ってよく伝わっているのが、客席最後列で聴いていてわかりました。CD『無題/小夜』収録の初期作品「放課後のあとの即興詩」が久しぶり聴けてうれしかった。
2016年11月のライブ『fall into winter 2』で小夜さんと石渡紀美さんが共作した同題の連詩を挟んで、石渡紀美さんが座布団に正座して朗読しました。パリの夜の情景を描いた「ル・ボン・マルシェ、グラン・マガザン・フランセ」、11歳になる第二子の反抗期に対する多面的な心境を綴った「この嵐を抜けたら大人になってしまう君へ」はアンケートでも多くのオーディエンスの印象に残ったようです。
ひりひりするようなアウェーも、ひとりで背負うワンマンの重みも好きですが、信頼できる仲間とひとつの場を作り上げる今回のようなライブもいいものです。公共の会場の制約でフリーライブにしたことで、お客様の参加のハードルも下がり、演者側もいい意味で力みのないライブができたと思います。
このあと、11/24(日)3K17、12/1(日)NAKED SONGS vol.14とライブ出演が続き、12/28(土)はさいとういんこさんと下高井戸で年末恒例の二人会、来年1/12(日)にはノラバー生うたコンサート&デザートミュージック(ワンマン)が控えています。よきタイミングのものがございましたら是非お越しください。