2023年11月2日木曜日

Chimin × 佐藤嘉風

11月の夏日。所沢音楽喫茶MOJOで開催されたライブ『Chimin × 佐藤嘉風』に行きました。

まずマイクに向かったのは佐藤嘉風さん。ガットギターの一音一音に神経が行き届いており美しい。Chiminさんとは旧知の仲で、出会いや共にツアーしたエピソードを話しながら、自身がAI美空ひばりに楽曲提供した「あれから」含む7曲を披露しました。Chiminさんの音楽活動復帰を心から歓迎しているのが端々から伝わってきます。

休憩を挟んでステージに上がるChiminさん。2016年6月23日のPoemusica Vol.48以来、7年ぶりにライブ活動を再開すると知ったのが今年8月。それからずっと楽しみにしていました。サポートミュージシャンは加藤エレナさん(key)、二宮純一さん(g)、井上"JUJU"ヒロシさん(fl, sax, per)の3人です。

1曲目は名盤『住処(sumika)』の1曲目でもある「茶の味」。ブルージィなピアノのイントロからChiminさんが歌い始めた途端に鳥肌が立ちました。彼女が音楽活動を休止してあいだも『住処(sumika)』と『流れる』はよく聴いていたのですが、生の歌声に触れて、こんなにもこの声を欲していたのか、と自分に驚く。正確で柔らかく透明。特別な声。静謐で穏やかで力強く温かみがある。

その歌声を聴くと、日常感じる割り切れない思いも、混沌も、懊悩も、きれいに腑分けされてあるべき場所にあるべき姿で収まっていく感覚になります。名前の表記はひらがなからローマ字に変わりましたが、7年というブランクを全く感じさせない美しい歌声です。

「大阪の在日コリアンコミュニティで育って自分のアイデンティティというものを子どもの頃から意識させられることが多かった」と言う。「」は拍を2倍に伸ばして更にゆったりのびやかに。以前より肩の力が抜け何かから解放されたように良い表情で楽しんで歌っている。アンコールでは、Chimin作詞、佐藤嘉風作曲の2008年作品「呼吸する森」をふたりでハモりました。

終演後、Chiminさんとすこしお話しすることができたので、ご自身のペースで構わないのでずっと歌い続けてほしいとお願いしました。2012年の『住処(sumika)』は理想的な高音質で現在に至るまで僕がオーディオディバイスを購入する際にリファレンスとして使用しています。そのことに対する感謝をアレンジャー、プロデューサーである井上 "JUJU" ヒロシさんに直接伝えられたのもうれしかったです。

 

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