2024年のテーマは「ORIGINES ーーすべてはここからはじまった」。3日間の日程で8つの有料公演を予約しました。
■公演番号:121〈バロックの"定番"を照らす新しい光〉ホールC(エスプレッシーヴォ)10:00~10:45
成田達輝(Vn)
よく晴れた初夏の朝にぴったりのフレッシュなヴィヴァルディでした。誰もが知る「春」の第1楽章に続く短調のラルゴの郷愁を帯びたカデンツァはソリストとヴィオラで構成されます。ヴィオラの音色が固めでやや強いかな、と思いましたが、その場で修正したのが小編成アンサンブルのいいところ。「夏」の第2楽章のアダージョのピチカートに乗せた伸びやかな旋律の歌わせかたもきれいでした。
LFJ2018で鮮烈な日本デビューを飾ったマリー=アンジュ・グッチも26歳に。難曲をつぎつぎと、超絶技巧を惜しまず明朗に表現する。キャリアを積んで柔らかい音色のバリエーションが増えたように感じます。スクリャービンの空洞感、プロコフィエフのレトロフューチャーな響き。アンコールはLFJ2018と同じラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」カデンツァ。終始圧倒されました。
■公演番号:134〈Ya Maryam ヤー・マルヤム〉
ホールD7(カンタービレ)15:30~16:20
ギュレイ・ハセル・トリュク(Vo)
カンティクム・ノーヴム(地中海沿岸の伝統楽器アンサンブル)
サリンディ・バチェイェ・ジルディ(トルコのアレヴィー派の伝統音楽)
おお聖母マルヤムよ(マロン派の伝統音楽)他
LFJ2019以来の伝統器楽アンサンブル。今回は打楽器1、木管楽器2、弦楽器4、声楽1にトルコの歌姫ギュレイ・ハセル・トリュクを加えた9人編成です。約45分のセットのテーマは非西欧のキリスト教音楽。中近東、東欧の旋律に通奏低音とフレームドラムが絡む重低音の強い音像が現代的。このアンサンブルを聴くと逆に所謂「クラシック音楽」は西欧のローカルミュージックなのだと実感させられます。
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