2016年10月30日日曜日

手島絵里子 ヴィオラリサイタル

ハロウィンで賑わう渋谷駅を抜け、歩道橋を渡って、明治通りを恵比寿方面に向かって徒歩約5分。 l'atelier by APC で開催された手島絵里子さん蓮沼執太フィルF.I.B Journal Ghetto Strings)のヴィオラリサイタルを聴きに行きました。

ピアノは明利美登里さん。このふたりによるデュオリサイタルには何度お邪魔していますが、今回は手島さんのソロリサイタルなので出ずっぱり。オーセンティックなクラシック演奏のヴィオラの音色を味わう90分でした。

ヴュータン エレジー ヘ短調 Op.30
ミヨー ヴィオラソナタ 第1番 Op.240
シューマン 3つのロマンス Op.94
ブラームス ヴィオラソナタ 第1番 ヘ短調 Op.120-1
アンコール: フォーレ 夢のあとで

ヴュータンは小品ですが、初ソロらしく3つの大曲にチャレンジして、特にブラームスの複雑で重厚な音楽を高い集中力で表現できていたと思います。調性の定まらないふわっとしたミヨーの楽曲との対比も面白かったです。

ヨーロッパで100~200年前、バロックまでさかのぼれば400年前に作られた音楽を21世紀の東京においてライブ演奏で聴く意味とは。疵の無い音楽を求めるのであれば、ヒストリカルレコーディング(歴史的名盤)があり、ブラームスのヴィオラソナタならスークパネンカスプラフォン盤(1990)を実際に愛聴しているわけですが。

それよりも目の前で1曲のはじめの一音からおわりまで演奏されるという奇跡を共有したいし、スコアの解釈の先に見え隠れする演奏家の考え方や人となりを感じたい。

l'atelier by APCさんは弦楽器工房が所有するサロンです。適度にドライで且つまろやかな音の響きが室内楽には最適で、高い天井から差し込む自然光とスポット照明のミクスチュアも美しい。ちょうど僕の席からは、明治通りの向いの古い雑居ビルの壁面に描かれたタギング(HIPHOPのグラフィティアート)が窓ガラス越しに覗いていました。

 

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