2015年10月25日日曜日

アサガヤノラの物語

来週のレコ発ワンマンの告知を下のエントリーでしていますが、先月Poemusica Vol.42でも共演したmayulucaさんご出演の日曜音楽バー「アサガヤノラの物語」に行ってきました。

mayulucaさんの音楽について説明することはなかなか難しくて、言葉で表すと、ミニマルで静謐な形式美、正確な内的律動性、硬質な言語感覚、それらの配置と移ろいのバランス感覚みたいなことにどうしてもなってしまいます。

でも実は、ギターの甘く優しい音色や居住まい正しい発語といった皮膚で感覚するテクスチュアの心地良さが一番の魅力なのかもしれないな、と思いました。CDの作り込まれたサウンドスケープも美しいのですが、ライブで聴くと目の前で質量を帯びてふるえる空気に指で触れられるような感じがして、そのインティメートな感触にいつも心打たれ、創作意欲がかき立てられます。

最近購入したという1984年製のTAKAMINE BRUNO F-150。こぶりなボディで最初は低音がやや物足りなく感じたのですが、ライブが進むにつれて歌声とのマッチングが「これしかない」と思えてきました。御茶ノ水の楽器店でそのギターと出会ったときの感動を綴ったエッセイの一節を朗読して(画像参照)次の曲に繫いでいくライブの構成には、聴いている僕たちも体験を共有しているような感覚がありました。

僕の新作詩集『ultramarine』に収録される「森を出る」の朗読のあと、この詩の着想のもとになった「きこえる」を歌ってもらえたのもうれしかったです。その次の「覚悟の森」を聴いて、「森を出る」で実際に引用したのは「きこえる」の歌詞ですが、視点は「覚悟の森」から得ていたことに気づきました。森に入ることに惹かれながらもためらう人と森から出る人と。

そしてmayulucaさんの静かで美しい音楽に動かされ、帰りの地下鉄大江戸線で、来週のアサノラのセットリストの前半部の全面的な差し替えを決めました。

 

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