冬至前日、秋の一番最後の小雨の夜。ブラジル料理の名店、表参道PRACA11(プラッサオンゼ)へ。ベーシスト/コンポーザーの沢田穣治さん率いる大編成コンボ "Banda Choro Eletrico" のライブを聴きに行きました。
"Kitchen Table Music Hour vol.3" でもお世話になったまえかわとも子さん(左利き)。The Xangos、カツヲ、たきびバンド、まえまえから、ソロと彼女が現在関わっているプロジェクトはこれでコンプリートしたことになるのかな。どれも違って、しかもハイクオリティな音楽です。
スルド(ブラジルのジャンベ的な主にキック担当)ちっちさん、パンデイロ(見た目タンバリン)RINDA☆さん、その他打楽器(コンガ、クイーカ等)渡辺亮さん、3人のどっしりとしたブラジリアングルーヴ。そこに乗せるうわもの、ギター馬場孝喜さん、ピアノ堀越昭宏さん、フルート尾形ミツルさんの3人はジャズ由来。と、ここまでならまあ無くはない(とはいえ演奏スタイルは相当アブストラクトだが)。
更に沢田さんの8弦ベースと伊左治直さんのトイピアノというダブル倍音攻めが加わることで、自由でいびつな音像が創造される。そのアナーキズムはとても楽しく美しい。あえて喩えるとしたら、ピエール・ムーラン時代、トリプルパーカッション編成のゴングか。
ショーロという、一説によるとディキシーランドジャスよりも古いブラジル音楽に基盤を置きながら、そこで表現される音楽はハイパーフューチャリスティック。中盤のトイピアノのソロはこのうえなくドープでした。伊左治さんて、現代音楽の作曲家なんですね。YouTubeに上がっているピアノ曲も詩的です。
まえかわさんの歌声も倍音成分多め。インストゥルメンタル曲ではフルートとギターとの3声でスキルフルなスキャットを、ボーカル曲では生来の無邪気さでフロアを沸かせます。ゲストに若きウクレレの巨匠Rioくん(変声期)が加わり、沢田さんの還暦サプライズで終盤はお祭り状態へ。実験的でスリリングなインタープレイとダイナミックな高揚感を同時に体現した素晴らしいライブでした。
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