東京は初夏を通り越してもはや雨期です。下北沢Workshop Lounge SEED SHIPで、Poemusica Vol.28が開催されました。お昼前後の雷雨が、リハーサルの時間にはすっかり上がり、「晴れましたね」なんて話していたのに、開場とともに稲光、そしてバケツをひっくり返したような雨。下北沢駅で足止めされたお客様もいたのではないでしょうか。
今回共演したミュージシャン3組はみなさんギターの弾き語り。ソングライティングも演奏も歌声も三様で、このスタイルの幅広さを味わうことができました。
鳥井さきこさんはこの若さで、身の回りや別の街で起こったことを伝える吟遊詩人としてのフォークシンガーという役割を現代に継承しているひとりです。歌詞は叙事的な色彩が強く、心情をドラマチックに唄い上げるというよりも、出来事や感じたことを淡々と伝える。その歌詞と歌声はシンプルに研ぎ澄まされている。フラットな感触のなかにも、以前に増して解放感や柔らかさが加わり、聴き手の心により響くようになったと感じます。
今年に入ってライブの日は必ず雨が降るというちみんさん。3月、4月、今回とお会いするたびに髪が短くなり、ショートボブがよく似合っています。ソウルミュージックをベースにフォーキーなアジアンテイストを軽くまぶした旋律。派手さはなくてもチャレンジングでエレガントなギター。そしてすべての痛みや悲しみを内包し且つ、光に向かって手を差し伸べているようなあの歌声。真に美しい音楽を音楽そのものとして存在させる力を持つ人です。
小野一穂さん(画像)。成熟した大人のロックンロールをギターとハープと声で表現します。世界を切り取る視点が柔軟で優しく、苦しい状況や答えのない現実を唄うときでも、どこか楽観的な響きを帯びるのは、彼のあのすこしだけかすれた重層的で豊かな歌声のおかげでしょうか。繊細なアルペジオもゴリゴリとオーバードライブをかけたストロークも過剰になることなくコントロールされていて、それは一穂さんの育ちの良さを表しているように思えます。
僕は3人それぞれの呼び出しに詩を添えるような気持ちで朗読しました。鳥井さきこさんには宮沢賢治の「この森を通りぬければ」と自作の「離島/地下鉄を歩く」。ちみんさんに「雨期と雨のある記憶」。一穂さんには47年前のこの日が命日だったラングストン・ヒューズの「助言」「ブルース」「太鼓」を。
最後にみんなで英国トラッドの"The Water Is Wide"(鳥井さきこ訳詞)を演奏しました。鳥井さんのギター、ちみんさんと鳥井さんのボーカル、一穂さんのブルースハープ。僕も間奏にラングストン・ヒューズの「夢の番人」の朗読で参加しました。
あんなに激しく降った雨も終わる頃にはすっかり止んで、SEED SHIPを出たら、雲の切れ間に星が小さくまたたいていました。
次回のPoemusicaはもう来週。いおかゆうみさんを大阪から招いて、日曜のお昼に開催します。平日はなかなかね、っていう方も是非!
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Poemusica Vol.29
日時:2014年6月1日(日) Open 12:30 Start 12:50
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
yoyaku@seed-ship.com
料金:予約・当日2,300円(ドリンク代別)
出演: いおかゆうみ(大阪) *Music
菅田紗江 *Music
今泉沙友里 *Music
カワグチタケシ *PoetryReading
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