雨のウェンズデイ。表参道ブラジル料理の名店PRACA11(プラッサオンゼ)へ。先月下北沢SEED SHIPのPoemusica Vol.26で共演したちみんさんのワンマンライブを聴きに行きました。
Poemusicaではギター弾き語りでしたが、この日は、ピアノ野本晴美さん、フィドル大久保真奈さん(John John Festival)、パーカッションokyonさん(ex.musey etc..) という女子4人編成。雨の歌からはじまりました。ときおり弾き語りをはさんで、2ステージ、約2時間で16曲をゆったりと演奏します。
ちみんさんの歌声は、温かみがあって、正確で、おだやかなのに、力強い。それは豊かに耕された牧草地のよう。なのになぜだろう、その向こう側に時折風の吹きすさぶ荒涼とした地平を僕は見てしまうのです。それは彼女が通ってきた道なのでしょうか。
たとえば「茶の味」というマイナースウィングでは「私はきれいな手でお茶を淹れる」と歌います。ここだけ聴けば何気ない歌詞なのですが、彼女のエモーショナルな声に乗ると、きれいに洗う前のその手はどれだけ汚れていたのだろう、なぜ汚れたのだろう、泥? 血? と際限なくイマジネーションを喚起させられるのです。
そんなふうに美しく鋭利な断面を持つ音楽を、一夜限りのバンドメンバーがやわらかな空気で包んで、丁寧に客席に差し出していました。特にokyonさんのパーカッションがすごかった。確信犯的にエッジを排除した不規則さでかすかなアクセントを刻む。ゆるふわグルーヴ。音楽の芯を掴むっていうのはこういうことなんだな、と思いました。
ちみんさんがひとりで弾き語りしたフィッシュマンズのカバー曲も、シンプルな旋律の良さを引き出す見事な手腕に感心しました。
5月22日に下北沢SEED SHIPで開催されるPoemusica Vol.28に、ちみんさんの出演が決まっています。この日は再び弾き語りで。その歌声が僕のなかにどんな景色を映し出すのか。とても楽しみです。
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