2014年4月11日金曜日

その形から飛び出せ

葉桜の候。吉祥寺MANDA-LA2で開催されたmueさんの活動13年記念感謝祭ワンマンライブ『その形から飛び出せ』に行きました。

ステージに近い席で聴きました。ループマシンを導入した1曲目の途中からmueさんは尋常でない発汗で、大丈夫かな、と思っていました。案の定体調最悪とのこと。そして3曲目では機材トラブルでPAからギターの音が出ない。

満員の観客を前にして、普通ならパニックになりそうなところを逆に、客席の一体感を作ることに向ける。それも言葉ではなく、音楽で。愛らしい容姿からは想像がつかない度量の大きさを感じました。

mueさんの音楽を言葉で説明するのは難しい。オリジナル曲ではオープンチューニングのギターをガシガシ弾くかと思えば、アンコールで披露された「トレイントレイン」のカバーのサビのベースラインなんか複雑過ぎてどうなっているのか何度聴いてもわからない。それに象徴されるように、多面的でエッジの深い構造を持つ音楽でありながら、シンプルで無理のない旋律とあの温かくて柔らかい歌声ですべてを心地良く包み込んでしまう。

ステージ後半の「ジャンピングジャックフラッシュ」「サティスファクション」「悪魔を憐れむ歌」「無常の世界」と続くストーンズメドレーで完全に流れを掴んで、そこから2曲のアンコールまで、冒頭のアクシデントなど微塵も感じさせない見事な演奏でした。

昨年同日のワンマンライブは、ドラムス、ベース、チェロが入ったカルテット編成でしたが、今年は2時間、全曲をmueさんひとりで演り切りました。確かに舞台の上には小柄な女の子がひとりいるだけですが、実は、PAやモギリやキッチンスタッフや、もちろんわれわれ観客たちも、みんなでひとつの大きな音楽を奏でていたのではないでしょうか。

 

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