九月になっても暑い日が続いています。今日は『奏楽堂バロックシリーズvol.56』を聴きに行ってきました。
会場は上野公園の中にある旧東京音楽学校奏楽堂。1890年に建てられた日本最古の西洋音楽用コンサートホールは、2006年の朝ドラ『純情きらり』で桜子や達彦さんが通っていた校舎で、趣きのある木造建築です。
「今日も一曲めの前半、シの音が出なかったんですけれど、ヨーロッパでもオルガンという楽器はたいていどこか故障していて、その日の楽器のコンディションに演奏家が合わせて演奏を工夫するものなんです」という大塚さんの説明に客席は爆笑。でも、そういうものだと思ってしまえばかえって人間味があって面白いですよね。
初めて生演奏を聴いたフォルテピアノ(モーツァルトの時代に発明された初期のピアノ、別名ハンマーフリューゲル)の音色は、チェンバロともモダンピアノとも違い、典雅としか言いようのない繊細で美しいものでした。
演目では、J.S.バッハの息子たちの作品がよかったです。次男C.P.E.(カール・フィリップ・エマヌエル)バッハと末っ子J.C.(ヨハン・クリスチャン)バッハ。いずれもバロックの対位法を基礎に置きながら、後のロマン派にも通じる流麗な旋律を持つ音楽です。
約300席の木造のホールは満員。庶民的な観客席にリラックスさせられた一方、ホールは思ったより響き過ぎず、むしろタイトでコンテンポラリーな残響。また行ってみたくなりました。
大塚直哉(解説・オルガン・フォルテピアノ)、野口千代光(ヴァイオリン)
J.S.バッハ:ヴァイオリンとオルガンのためのソナタ ハ長調より
J.S.バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調
C.P.E.バッハ:オルガンのためのソナタ
C.P.E.バッハ:ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ ハ短調
J.ショーベルト:ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ ニ短調
J.C.バッハ:クラヴサンまたはピアノフォルテのためのソナタ イ長調
W.A.モーツァルト:ヴァイオリンとクラヴィーアのためのソナタ KV454 変ロ長調
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