2023年7月23日日曜日

星くずの片隅で

梅雨明け。TOHOシネマズ シャンテにてラム・サム(林森)監督作品『星くずの片隅で』を観ました。

防護服にゴーグル、防毒マスクを着けた男が休業中の飲食店舗を消毒している。消毒薬の入ったボンベを背負うのは清掃会社ピーターパン・クリーニングの経営者ザク(ルイス・チョン)。清掃用具を積んだワゴン車はエンジンのかかりが悪く、消毒用スプレーのポンプも止まりがちだ。

ある日、清掃会社の事務所を若い女(アンジェラ・ユン)が雇ってほしいと訪ねてくる。事務所と同じマンションの窓のない部屋に娘のジュー(トン・オンナー)と暮らすシングルマザーのキャンディだ。コロナ禍で清掃会社の需要が高まっている。1現場200ドルのアルバイトとして雇われたキャンディはヨロシクオネガイシマスとジューの待つ部屋に帰って行った。

「俺たちは塵より小さくて、神様も見過ごす。でも大丈夫。お互いに見ていればいい」。原題は『窄路微塵(The Narrow Road)』。民主化運動弾圧後、新型コロナウィルスによるロックダウン中の香港の街並みを背景にエッセンシャルワーカーと呼ばれながらも底辺に暮らす人々を照らす、悪役の登場しない優しいお話です。

ザクの老いた母親(パトラ・アウ)は使用済みマスクを蒸し器で滅菌して使いまわしている。コンビニでハーゲンダッツを万引きする盗癖のあるキャンディは、セレブの住むタワーマンションで子供用の不織布マスクを盗み清掃会社を解雇されるが、塾帰りの富裕層の子供が道路に落したマスクを拾わず、新しいマスクを着けるのを見て、キャンディを再度雇用する。母の葬儀で休んでいるザクに代わって会社を任されたキャンディを悲劇が見舞い、ピーターパン・クリーニングはSNSで炎上する。

つくづくツイていないふたりですが、最後に小さな希望が灯されます。モデル出身で長身小顔のアンジェラ・ユンの豊かな表情としぐさがかわいい。キャンディもジューもカラフルなY2Kファッションがかわいい。貧しい者は地味な色の服を着ろ、というのはバイアスです。ラム監督のインタビュー記事を読んだら、香港の夜店で1ドルで売っている東南アジア製の服を衣装に選んだ、と言っていました。

 

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