2013年2月2日土曜日

SHORT SHORT SHORT STORY

今週の土曜日も小春日和。というよりむしろ初夏。2月だというのに都心の気温が20℃を超えました。そんな気持ちの良い午後、中央線に乗って西荻窪まで。zakka & gallery bon bonsで開催中のねもとなおこさんの個展『SHORT SHORT SHORT STORY』にお邪魔しました。

商店街の片隅にぽつんと佇むカフェギャラリーの白い壁面にバランスよく配置された十数点の平面作品は、しっかりした画面構成力とエレガントかつ自由なイマジネーションで、静かに主張しています。

画布、画用紙、ボール紙など、複数の異なるメディアに柔らかい色彩のアクリルを使って描かれた作品は、それぞれ独立した小さなストーリーを持ちながら、全体が調和してひとつの季節を切り取っっているように感じました。

「どうしよう、と思っているけれど、答えはわかっている。ぽつんとしているけれど、周りが見えている。一艘の舟にひとり。いっしょには乗れない」(「何といえば」)。「この子が長い眠りから覚めたら、周りが進化し過ぎて、ひとりぼっちになっていた」(「黄色い恐竜」)。

「こうして話すことではじめて自分が何を描きたかったのかがわかる」と、風邪の鼻声で、普段よりももっとスローなペースで、お客様に説明するねもとさんの声をカフェのソファーから聴いていました。

一番印象に残ったのは、ベージュのメモ用紙に鉛筆と水彩で描かれた田園風景です。人は描かれていませんが、水田を区切る道路を点々と照らす街灯が確かに人の営みを示し、観ていて愛おしい気持ちになりました。

昨年10月にアカリノートさんのライブイベント「あのかぜのゆくえ」で共演した際に、僕の詩「風の生まれる場所」をモチーフにねもとさんが描いた5枚の絵画作品は、詩のテキストとともにこんな感じに展示されています。陽光の射し込むギャラリーで観ると、風の痕跡がより鮮明に映るように思えました。

この可愛らしく、ユーモラスで、ちょっぴりビターな作品展は明日2月3日(日)の17時まで。中央線ユーザーのみなさんは是非!

0 件のコメント:

コメントを投稿