2011年3月21日月曜日

そして ここまで 来てみると

細かな雨の降る春分の日、京浜東北線で北浦和まで。フリースクール彩星学舎の演劇公演第15番「そして ここまで 来てみると」を鑑賞しました。 卒業式も兼ねたこの公演にお邪魔するのは、昨年に続いて二回目です。

震災後の公演でしたが、開演前の案内がとても行き届いていました。例えば、通常時は「携帯電話の電源をお切りください」ってとこが「緊急地震速報の可能性があるのでマナーモードでお願いします」というように。

昨年は歌あり、ダンスありだった演目は、そんな影響もあってか、朗読に焦点を絞ったミニマリズム。それが逆に、このカンパニー(?)のパフォーマンスの特異性を際立たせていたように思います。

群読というのは、個々の出演者の内面表現を一旦排除したところから出発します。特に彩星学舎の場合はリフレイン多用且つ徹底したタテノリなので、より一層。しかしながら、どうしてもはみ出てしまうパフォーマーの内面は、過剰な抑揚よりもずっと雄弁にその人となりを客席に伝えます。

開演前の舞台で、椅子に座って、客席と対峙する出演者(≒生徒)たちの不安げな表情が、第一声とともに責任感を帯びて、引き締まり、輝く。その瞬間だけでも、大人の鑑賞に値する見事なエンターテインメントといって差し支えないでしょう。

ゲストでは、ジャズサックス奏者のMiwakoさんの演奏がよかったです。「見上げてごらん夜の星を」「虹の彼方に」「スマイル」という、どれも好きな音楽でした。美しく感傷的なサックスの音色とハードコアパンクな群読のコントラストにハートを射抜かれました!

というわけで、僕も負けずに。震災の影響でライブが次々に中止や延期になるなか、3月26日(土)の『続・同行二人』は予定通り開催します。先日のエントリーで、僕の詩集の売上を全額被災地に寄付するお知らせをしましたが、会場の古書信天翁さんのご好意により、入場料収入の半額も募金することに決定しました。

こんなときだからこそ、みんなで集まって小さな声に耳を澄ますことが必要なのではないでしょうか。それに、なによりも僕が、みなさんの元気な顔を見たいから。昨日、下北沢SEED SHIPで開催されたライブ"Lights of Hope"に参加して、その想いを更に強くしました。

交通事情等、困難な要素もあるかとは思いますが、幸運にも開演時間が早めに設定してあります。可能な方は是非いらしてください。たとえお客様がひとりでも、現在僕たちに可能な、最上のエンターテインメントを提供します。
 
 

1 件のコメント:

  1. 彩星学舎の小林です。

    卒業イベントへのご来場、まことにありがとうございました。
    早いもので、あれからもう3週間が経とうとしています。

    カワグチさんにはいろいろとお話をうかがいたかったのですが、当日は状況が状況だけに、懇親会は中止させていただきました。

    また、いずれかの機会にお話しをうかがえれば幸いです。

    今年は一度、詩の朗読会などにおじゃまさせていただきたいと考えております。

    そのときは、どうかよろしくお願いいたします。

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