2009年12月24日木曜日

クリスマス・イン・ラサ

小春日和の午後、上野の森美術館で「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」を鑑賞。展示物も素晴らしかったのですが、美術館前で静かに行われていた抗議行動も素晴らしかったです。

数年前から天葬(鳥葬ともいいます)になぜか異常に惹かれて、チベットに関する書籍を当ったりしていました。今回の展示では、チティパティという鳥葬場の守護精霊の装束が唯一その関連でした。というのも、中国当局が天葬は野蛮な習俗として、現在は執り行われていないという公式な見解を持っているからみたいです。

チティパティは画像の通り、ハロウィンの骸骨の全身タイツの黒いところを赤に変えたような姿をしていて、川喜田二郎の『鳥葬の国』の遺体解体描写を彷彿とさせます。鳥が食べ易いように、食べ残して他の獣に荒らされないように、すべてのパーツが専門の医僧により処理されるのだそうです。

岩ばかりで水も燃料も貴重なチベットでは、天葬はとても合理的でクリーンな埋葬方法なのだと思います。

そりゃまあ、大英博物館は大航海時代の、ルーブル美術館はナポレオン時代の侵略戦争の戦利品、略奪品の展示から始まったものですが、何百年の時間に浄化(or美化)されているこれらと異なり、いまリアルタイムで起きていることですから、伝わるものが違います。

この感じをうまく言語化できませんが、よく考えてみたいと思います。

※主催者側と抗議団体のそれぞれのサイトです。
http://www.seichi-tibet.jp/
http://www.seichi-tibet.com/

2009年11月23日月曜日

泉屋のクッキー

ここ数日は寒暖の差が激しいですね。ユナイテッドシネマ豊洲で『なくもんか』を観ました。 文京区にある架空の商店街を舞台にした宮藤官九郎脚本、水田伸生監督、阿部サダヲ主演の映画です。

クドカン作品らしい、小ネタと伏線が張り巡らされたコメディですが、意外にも(?)「いい話」。笑えます。竹内結子が『ランチの女王』以来のワイルドなキャラクターを好演。ちょっと見直しちゃったな。

阿部サダヲ演じる主人公の山ちゃんが、幼い頃からずっと大事にしている泉屋東京店のクッキー缶。そういえば実家にあって、端切れ布とか入れていました。

2009年11月3日火曜日

東京2-0川崎

昨晩のゲリラ豪雨と打って変わって、快晴の文化の日。国立競技場で、2009Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝を観戦。いい試合でした。

14時キックオフの試合で、開門11時。11時半頃スタジアムに着いたら、もうゴール裏はぎっしり、バックスタンド最上段に席を確保。昨夜の雨で空気が澄んでいたせいか、遠くの富士山がくっきり見えました。

ぴりっと乾いた秋の野外に数時間いて、くちびるが乾燥しました。日なたは日陰より気温が高い。とか、日が傾くと影が伸びる。とか、当たり前のことを当たり前に感じられるのが、屋根無しの国立競技場のいいところ。雨の日の試合は大変ですが。。

2009年10月25日日曜日

初恋

昨日は"Evergreen Knee-High Revue"でした。あいにくの雨にもかかわらず会場にいらしていただいたみなさん、いろんな都合で来られなかったけれど気にかけてくださったみなさん、どうもありがとうございました!

今回は岸田衿子さんにトリビュートというかたちになりましたが、こんなふうにテーマを決めた朗読会というのを主催したのは初めてでした。終演後に声を掛けていただいた方のお話やアンケートを読むと概ね好評だったようで、あらためて衿子さんの作品の持つ力を実感しました。

朗読会が終って、会場の古書ほうろうさんでしばらくまったりしていたら、なんと岸田衿子さんご本人からお店あてに電話が! 僕も出演者の役得で二言三言お話しさせていただきました。とてもうれしかったです。

そのあと、持っていった「名作アニメ劇場」の主題歌集をかけてもらって、お客さんたちとみんなで盛り上がりました。クラシックなアニソンが大音量で流れる古書店ってステキです。
 

2009年10月17日土曜日

Evergreen Knee-High Revue

一昨年秋から小森さんと始めたTKレビューの第4回「エヴァーグリーン・ニーハイ・レビュー」。今回はすこし趣向を変えて、谷中芸工展の一環として、谷中在住の伝説的詩人、岸田衿子さん(*)にトリビュート。衿子作品と自作を織り交ぜて朗読します。

ゲストは第1回に続いて再登場の石渡紀美さんです。

◇石渡紀美(イシワタキミ)
詩人。埼玉県桶川市在住。しっかり地に足が着いていながらどこまでも自由な人。

◇小森岳史(コモリタケシ)
ダブルタケシのデカいほう。最近ネット古書店を開業。
http://trixis.shop-pro.jp/

◇カワグチタケシ(カワグチタケシ)
ダブルタケシのちっちゃいほう。最近岸田衿子詩集を全冊コンプリート。

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第17回芸工展参加企画
DOUBLE TAKESHI PRODUCTION PRESENTS T.K.REVUE04
TRIBUTE TO 岸田衿子
Evergreen Knee-High Revue
エヴァーグリーン・ニーハイ・レビュー

2009年10月24日(土)18:00開演
出演:石渡紀美、小森岳史、カワグチタケシ
料金:1000円
会場:古書ほうろう(東京都文京区千駄木3-25-5)   
    tel.03-3824-3388     

会場の地図はこちら↓
http://www.yanesen.net/horo/about/
東京メトロ千代田線千駄木駅2番出口を地上に出てそのまま左に7~8分。JR山手線日暮里駅からの道のりも楽しいです。
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岸田衿子 (キシダエリコ)
1929年東京生まれ。詩人・童話作家・作詞家。女優の故岸田今日子の姉。最も世に知られた仕事はカルピス名作劇場の主題歌の作詞かもしれません。『フランダースの犬』『アルプスの少女ハイジ』『あらいぐまラスカル』『赤毛のアン』も衿子さんの作詞です。小さいころ絵本で出会った方も多いのでは。 一年の半分以上を浅間山麓に暮す「森ガール」の草分け的存在(!)。

当日は谷中芸工展という地域のアートイベントの開催期間中で、古書ほうろうさんのご近所のギャラリーやカフェでもたくさんの催しがあります。秋の下町散策を兼ねて、是非ニーハイでご来場ください!

2009年10月11日日曜日

タータン・メイツ

東京湾岸はキンモクセイの香りで満ちています。新横浜の日産スタジアムでサッカー日本代表vsスコットランド代表を観戦しました。

試合とか新召集選手とかもですけれど、実は今回一番楽しみにしていたのがスコットランド代表サポーターのファッションです。 というのも、1998年フランスW杯にスコットランドが出場したとき、ゴール裏スタンドを占拠した民族衣装の一群が衝撃的で、それを日本で生で見られる機会はそんなにない!ということで。

スコットランドの民族衣装といえばタータンチェックのキルト、男性の巻きスカート姿ですね。キャンディ・キャンディの丘の上の王子様みたいな。

乗り換え駅の中目黒でさっそく向かい側ホームを出て行く東横線急行にそれらしき姿を見つけました。新横浜駅やスタジアムのコンコースにももちろん。そりゃまあ、地元日本人サポーターに比べたらわずかな人数ですが。

元々タータンチェックというのは、日本の家紋と同じで、家系によって織り柄が異なり、それぞれの柄に家名がついているものなのだそうです。代表チームのユニフォームがネイビーなので、濃紺や深緑をベースにしたチェックのキルトを履いている人が多かったのですが、他にもオレンジ色や朱色のもあってとてもきれい。

トップスはほとんどがユニフォームかTシャツで、正装の人はひとりしか見つけられませんでした。足元はハイソックスにギリー靴が正式なのですが、トレッキング・ブーツが人気みたいで、そのバランスもなかなかかわいいです。

でもね、スコットランド人ってとにかくデカくてゴツいんですよ。駅とかで隣り合うと。ま、そのギャップも含め。

試合は、プレイも応援も代表戦らしく大味でした。レフェリーとボールパーソンはよかったと思います。

2009年10月3日土曜日

すべて支那人は明後日の新聞の愛読者です。

雨が降ったり止んだりの土曜日の昼下がり、 PARCO劇場で『中国の不思議な役人』を観劇しました。 寺山修司の戯曲を白井晃が、アングラテイストは残しつつ、すっきりポップなミュージカル活劇にリメイク。

2月にTKレビュー3で共演させていただいたエミ・エレオノーラさんが、上海中のあらゆる本から「私」という文字を切り抜いてしまう肺病持ちの娼婦という、寺山ならではのキャラを華やかに演じています。

舞台美術は天井桟敷の小竹信節。竹ひご細工とか割り箸ピストルを巨大化したようなウッディーな可動からくり装置が、男子の工作ゴコロをくすぐります。

そんな舞台の上で動いている人たちを眺めているのはそれだけで楽しいことですが、今回は役者さんとダンサー(舞踏家)たちの動きや立ち姿の違いを観察しました。エミさんはそのどちらでもなく、エンターテイナーという感じ。カーテンコールのおじぎの仕方とか。

舞台にいる時間はそれほど長くはないのですが平幹二郎の圧倒的な存在感。女衒役の岩松了もナイス・キャスティング。夏未エレナ演じる主人公花姚の兄、麦役の田島優成くんは瑛太と森山未來と田中圭のいいとこどりしたみたいにチャーミングな若手俳優。今後要注目ですね。

終演後、楽屋口にてエミさんにシングルモルト・ウィスキーの差し入れ。出演者と関係者とでごったがえしていました。