2025年9月2日火曜日

水辺にて

9月の熱帯夜。所沢音楽喫茶MOJOで開催されたChiminさんの企画ライブ『水辺にて』に行きました。

Chiminさんのステージは、加藤エレナさんのピアノと井上"JUJU"ヒロシさんのテナーサックスによるインスト曲、Carla Bleyの "Lawns" で始まりました。

そしてChiminさんが登場し、JUJUさんのパーカッシブなフルートに導かれてマイナーブルーズの「茶の味」へ。続く夏曲「sakanagumo」「シンキロウ」。

1980年代にはいろいろな店で使われていましたが、現在はヴィンテージ楽器と呼ばれる打弦式電子ピアノ YAMAHA CP70 のクリアでノスタルジックな音色にエレナさんはロータリースピーカーのようなゆるいトレモロをかけて空間を波打たせ、Chiminさんがやや抑えめな声で応え、JUJUさんが時折鋭く切り込む。

「わかりやすいことは信用できへんな」というMCから「あさはこわれやすいがらすだから/東京へゆくな ふるさとを創れ」という谷川雁の詩篇の一節を朗読し、1stアルバムの「たどりつこう」へと繋ぐ。地元所沢の家族的な空気感の中でリラックスした歌唱でありながら、その歌声の向こう側に滲む静寂がChiminさんの音楽を美しく際立たせます。

『水辺にて』はMOJOさんで不定期に開催されるChiminさん企画のツーマンライブで、前回2024年10月のゲストはノラオンナさんでした。

今回招かれたのは mizquiさん。初めて生で聴きました。シングルカッタウェイのエレガットに乗せて、スローブルースからスタートし、レゲエ、フォークロックとバラエティのあるリズムで、こぶしを効かせたブルースから少女のような透明感のあるウィスパー、力強いファルセットと、多彩な声質、豊かな声量、正確なピッチがすみずみまで完璧にコントロールされている。

オリジナル曲の歌詞は性的な隠喩を時折含むが、歌声の技巧の精巧さゆえにさらっと聴かせる技量を持ち、聴き応えがあります。

アンコールでChiminさんとデュエットしたソウルフラワーユニオンの「満月の夕」(山口洋lyrics ver.)も優美で、心の柔らかい部分にじんわりと染み込みました。

 

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