2025年2月16日日曜日

映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ

薄曇り。ユナイテッドシネマ豊洲柳伸亮監督作品『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』を観ました。

3年生が体育館で練習している「仰げば尊し」の歌声が教室まで聴こえてくる。2年生の花岡まこと(梅田修一朗)は男子だがかわいいものが大好きで女子の制服で授業を受けている。まことの幼馴染の大我竜二(内田雄馬)、1年生の蒼井咲(関根明良)たちは春休みを迎える。

2024年7~9月期にCX系列で放送されたアニメ全12話は、女装の高校生まことを中心とした青春群像劇でしたが、その後日譚である本作は咲が主人公です。放送第1話で高校に入学したハイテンションガール咲は、憧れの同性の先輩まことに告白するが、まことは自分が男子であることをその場で打ち明け、咲は失恋するものの、ふたりの間に友情が芽生える。竜二は親友だと思っていたまことに恋愛感情を抱いている自分に動揺する、というのがテレビアニメのメインストーリー。劇場版では、すれ違いと和解を通過した三人それぞれの成長が見られ、悩んでいた咲も元気になって、ほんわかしみじみしました。

「私って本当は何が好きなんだろう、何が特別なんだろう」「どうしてみんな本当の特別がわかるのかな」。咲の葛藤は母親のネグレクトというトラウマを抱えるが故、誰かにとっての特別な存在は唯一絶対のものだと信じている。竜二はまことにだけ恋愛感情を持っているのか、同性愛者なのか、自分でもわからない。それでも視野を広げ、許容範囲を拡大して、世界と折り合いをつけなくてはならない。揺れる思春期を鎌倉を背景に繊細に描写しています。

モブは顔が描かれないのは『聲の形』もですが、いまの若い子たちが興味のない他人をそんな風に認識しているとしたらちょっと怖いな、と思いました。あと、高校生の親世代だと40代のはずですが、ほうれい線で実年齢以上に老けて見えるのは改善ポイントだと思います。

このアニメはテレビ版も劇場版も演出に独特のテンポの悪さがあって、そこが逆に魅力になっているという、不思議な作品だと思います。テレビ版はオープニングの作画と音楽のシンクロがジャストで最高なので是非ご覧ください。

 

1 件のコメント:

  1. すみません、突然失礼します。
    『先輩はおとこのこ』大好きで、
    他の方の感想記事を読み漁っている日々です。本作、私は2回映画館に行きました。

    カワグチさんの感想で、
    『モブは顔が描かれないのは『聲の形』もですが、いまの若い子たちが興味のない他人をそんな風に認識しているとしたらちょっと怖いな、と思いました。』
    のところ、私は本作品では『敢えて顔を書かない』という表現が、主人公たちの内面の闇を如実に表していて、本作の“良い意味での”「気持ち悪さ」を表現した粋な演出だと感じています。

    駄文乱文失礼しました。
    私もnoteで記事を書き殴りました。もしご興味を持ってくださったら目を通して下されば光栄です。感想楽しく拝読しました!発信ありがとうございます!

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