2024年7月24日水曜日

街の上で

猛暑日。渋谷CINE QUINTO今泉力哉監督作品『街の上で』のリバイバル上映を鑑賞しました。

「これは私が見たかった映像。誰も見ることがないけれど、確かにここに存在している。街の上で」。自主映画の撮影風景から始まる。

主人公の青(若葉竜也)はアパートの自室で恋人の雪(穂志もえか)の浮気を問い詰めたところ、逆に別れ話を切り出された。翌日、勤め先の古着屋に若い男女の客。男がダサいので告白するときは服を選んであげると言う女は実はその男が好き。仕事終わりにThreeマヒトゥ・ザ・ピーポーの弾き語りを聴く。

翌日は、古書ビビビの店員冬子(古川琴音)から赤い表紙の『金沢の女の子』(これは架空の書籍)を買い、古着屋の店番中に美大生の町子(萩原みのり)に卒業制作映画の出演をオファーされ、撮影後の飲み会で神戸弁の衣装係イハ(中田青渚)と同席し解散後に自宅に誘われる。

小田急線の地下化に伴う線路跡の再開発中のすこし前の下北沢。スズナリ横丁珉亭、北口方面を中心にストーリーが進み、カメラが下北沢から出ることは一度もないです。僕は2000年から2014年の間、下北沢の書店フィクショネス詩の教室で教えていたのと、同店の句会と文学の教室にも参加していて、2012年から2016年は毎月Workshop Lounge SEED SHIPPoemusicaというライブイベントに出演していました。見慣れた風景の中で見慣れた感じの人たちが、困ったり悩んだり気まずかったりするのが愛おしかったです。

統一したコンセプトが存在しないことも込みで、下北沢という街はサブカルチャーのテーマパーク/ファンタジーランドなのではないでしょうか。そういう意味でこの映画の下北沢は単なる背景ではなく、下北沢という街が主人公の映画と言っていいと思います。

前クールの地上波連ドラ『アンメット ある脳外科医の日記』でお茶の間でもブレークした若葉竜也はもちろん、穂志もえか古川琴音萩原みのり中田青渚が演じるいかにも下北沢にいそうな女子たちがとても魅力的で、僕は現在も下北沢に恋しているのだな、と気づかされました。

 

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