2023年10月19日木曜日

大雪海のカイナ ほしのけんじゃ

10月の夏日。TOHOシネマズ日比谷安藤裕章監督作品『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』を観ました。

雪海に覆われ文字文明が衰退した惑星で軌道樹と呼ばれる巨木の上に張り巡らされた天膜に生き延びた貧しい一族の青年カイナ(細谷佳正)は旅の途中、賢者を探しに来た王女リリハ(高橋李依)と出会う。水を求めてリリハの母国アトランドに侵攻するバルギアの艦隊。両国の和平を成立させたカイナは英雄になる。

ここまでが2023年1~3月にフジテレビ系列+Ultraで放送されたテレビアニメシリーズ

映画は大雪原を歩くふたりの後ろ姿で始まります。世界の水源である大軌道樹を探して、カイナとリリハは再び航海に出る。艦長は元バルギア士官アメロテ(坂本真綾)。彼女と闘ったアトランドの近衛兵オリノガ(小西克幸)も同乗している。不穏な空気の中、大海溝をなんとか乗り越えることで、船員たちの結束が高まる。謎の船団に襲われ雪海に落ちるリリハとカイナ。辿り着いた先は、大軌道樹に依存する人類を蔑み、切り倒そうという思想のビョウザン(花江夏樹)が支配する独裁帝国プラナトだった。

弐瓶勉原作、Polygon Picturess制作の本作は、テレビシリーズの続編や後日譚やスピンオフではなく、テレビ放送した11話と劇場版(ほしのけんじゃ)をもって完結する一本の作品になっています。情景やアナログメカの描写が精妙な点は共通していますが、人物の行為や時間の流れがゆったりしていたテレビシリーズに対して、劇場版は大航海、殺戮ロボットと、手に汗握るスピーディな展開。その対比とテレビ放映時には説明を省略した複数の設定が劇場版で回収されるカタルシスがあり、楽しく観ることができました。

TVシリーズでバルギア、劇場版でアトランドの指揮官を務めるアメロテは、かつてバルギアに滅ぼされたアコイルの戦士だった。その過去がプラナト上陸後にビョウザン側についたかに見えるアメロテの行動と心情にオブスキュリティを与え惹き込まれます。

「精霊は人の心を知る人の願いを叶える」。戦士が一人乗りする小型のから、艦船と並走する巨大なのまで、雪海馬がみな友好的でかわいい。白を基調としたPolygon PicturesのCGアニメーションは、球状の雪海の雫が飛び跳ねる様が美しいです。「地球化」ということは別の惑星に入植した未来の地球人の物語なのかな。その星の本来の生態系はどうなってしまうんだろうな、と考えました。

 

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