2015年5月21日木曜日

Poemusica Vol.40

五月晴れの第3木曜日。下北沢 Workshop Lounge SEED SHIPでPoemusica Vol.40が開催されました。詩を感じさせる音楽と音楽を感じさせる詩を楽しんでもらいたい、というこのライブシリーズの原点を強く意識させられ、とても刺激になりました。

mueさん(画像)が歌うオリジナル曲「カタルシス」は歌詞がオノマトペとダブルミーニングで構成されている。民謡のカバー「小笠原の南洋踊り」はポリネシア語起源らしいが、地元の人にも意味が分からないという。ときどき聞こえてくる片言の日本語は「私の心は/あなたのために/大変痩せた/死ぬかもしれません」「私はよく寝ました/昨晩夢を見ました/その時/私は大変よ/困りましたが/分かりません」。ポエジーが言葉の意味を超越して存在するという意味で音楽は詩以上に詩的です。

新譜が出たばかりのうみのてのKeyとしても活躍中の円庭鈴子さんは、ソロではガットギターのループ、カシオトーン、小さなおもちゃなどを用いた弾き語りです。ステージにいるという気負いを感じさせない自然な佇まいがとても詩的。たどたどしさが作られたものではなく、彼女の音楽に必然的に具わっている要素です。つたなさは時として美しい詩になりうる。はじめての試みという朗読も、良く見せよう、聴かせようという雑念が全くなくて素晴らしかった。

みぇれみぇれ君はPoemusica 2回目の登場です。前回はダブルベースとのデュオでしたが、今回はソロ。緻密に繊細に奏でられる音楽はポップで大らかでドリーミィ。聴いているとちょっとだけ身体が宙に浮かぶような、心地良くも不安定な感覚があります。過去何度か観た彼のライブは淡々とクールにグッドミュージックを紡ぐという印象でしたが、今回は驚くほどエモーショナルでした。彼も前のアクトから何か熱を受け取っていたのではないでしょうか。

僕は、5月3日に亡くなった詩人、長田弘さんが僕の生まれた年でもある1965年に出版した第1詩集『われら新鮮な旅人』から「言葉と行為のあいだには」「多島海」を朗読しました。そして円庭さんに、虫の出てくる自作詩を2篇「森を出る」「都市計画/楽園」と小田急線下北沢駅がまだ地下に潜る前のお話し「ANOTHER GREEN WORLD」。

それは調和であり、個の存在でもあり。ご来場のお客様には密度のある時間を提供できたのではないかと思います。今回ブッキングで多大なご協力をいただいたmueさん、ありがとうございました。SEED SHIP土屋さんワカちゃん、40回いつも見守ってくださって感謝しています。

6月のPoemusicaは僕の誕生日の2日後。またぐっと趣向を変えて、ポップな夜になりそうです。臼井ミトンさんとは2度目の共演。楽しみです。

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Poemusica Vol.41 ポエムジカ*詩と音楽の夜

日時:2015年6月18日(木) Open18:30 Start19:00
会場:Workshop Lounge SEED SHIP
    世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3F
    03-6805-2805 http://www.seed-ship.com/
    yoyaku@seed-ship.com
料金:予約2,200円・当日2,500円(ドリンク代別)
出演:澤寛子(Vocal)
    臼井ミトン(Vocal/Piano/Guitar)
    あすな(Violin)
    カワグチタケシ (PoetryReading)

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