2018年7月7日土曜日

女と男の観覧車

七夕。ユナイテッドシネマ豊洲で、ウディ・アレン監督作品『女と男の観覧車』を観ました。

予告編が終わると、レコード盤に針を落とす音。The Mills Brothers の "Coney Island Washboard" のノスタルジックなハーモニーに共に映画が始まります。 

米国ニューヨーク市ブルックリン区コニ―アイランドのペニーアーケード。物語の舞台である1950年代でも既に寂れかけている。日本に置き換えれば、ロケーションとしてはお台場、雰囲気は熱海といったところでしょうか。

主人公ジニー(ケイト・ウィンスレット)は遊園地内のレストランのウェイトレス。劇中で40歳の誕生日を迎える偏頭痛持ち。回転木馬担当の夫ハンプティ(ジム・ベルーシ)と放火癖のある小学生の連れ子リッチー(ジャック・ゴア)と見世物小屋をリフォームした園内施設で暮らす。ギャングスタと駈け落ちしたハンプティの実娘キャロライナ(ジュノー・テンプル)が元夫の仲間の刺客に追われ5年ぶりに帰宅した。

狂言回し役のミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)がカメラ目線で客席に語りかけるのはウディ・アレン映画では常套手段だがやはり笑ってしまう。グリニッジ・ヴィレッジに下宿する劇作家志望の大学生。「生まれながらの詩人(poet by nature)」で「ロマンチック過ぎることが欠点(I fall in love too easily)」と自称する。他人事とは思えません。ナンパの小道具がアーネスト・ジョーンズの『ハムレットとオイディプス』、誕生日プレゼントが『ユージン・オニール戯曲集』とか。

ミッキーが狂言回しでありながら問題の中心にいることが映画に歪みを与えてしまっています。また、かなり舞台演劇寄りの脚本演出のため、感情表現や発声にやや過剰なところがありますが、俳優たちの熱演と懐古的な画面色調で愛すべき作品に仕上げたアレン監督の剛腕は流石。

原題は "Wonder Wheel" コニ―アイランドのDeno's Parkにいまも実在するちょっと変わった観覧車。変則的なゴンドラの動きが登場人物たちの人生を象徴しています。

  

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