2016年11月26日土曜日

fall into winter 2 Poetry Reading Live by Pricilla Label

早過ぎる初雪が東京に降った2日後、凛と冷えた土曜日の午前、京王新線に乗って幡ヶ谷へ。fall into winter 2 Poetry Reading Live by Pricilla Label にご来場の皆様、準備に協力してくださった方々、jiccaさん、イベントスタッフのリュウくん、出演者の小夜さん石渡紀美さん、ありがとうございました。

音楽家の場合、レコード会社一社と専属契約することが多いですが、弊社は出版社ですので所属という概念はなく、あくまでも作家さんとは作品単位のおつきあいです。

とはいえ個人経営で、出したい作品を選び、編集や装幀に関わる以上、レーベルのカラーというものは自ずと出てしまうもの。お客様の前に生身を晒すライブイベントとなれば殊更です。

今回のライブに関しては、会場や日程、お客様にご提供するお料理やグッズ、料金などの外枠はレーベル主体で決めましたが、パフォーマンスの構成や作品の選定に関しては出演者ふたりにお任せしました。

紀美さんはフラットで散文的、小夜さんはエモーショナルで音楽的。声質も語り口も対照的なふたりが今日のために綴った新作連詩から始まり、互いの作品をカバーしたり、同時に発声を重ねたり。ふたつの色の境界線がぼやけて混然一体となり、且つ言葉と声だけのシンプルな素材なのに多義的で豊かで、ひとつのインスタレーションアートを鑑賞するような趣きがありました。小夜さんが紀美さん以外の詩人の作品の朗読を挟んだのも効果的だったと思います。

作品単位では、小夜さんの「てのなるほうへ」の朗読が特に印象的でした。12分超の長編詩を集中力をしっかり保って読み切る姿には余裕さえ感じられ、フィジカルの強さも垣間見せた。朗読でこれだけの時間をもたせるのって想像以上に大変なことなんです。

小夜さんの作品「はじめのなまえをわすれてしまった」の朗読に、時にオクターブユニゾン、時にカウンターメロディのように重ねられた紀美さんの声も繊細で美しかった。音楽と違い拍子が均等ではない朗読の特性を逆手に取った重層的な表現は目から鱗、創造的でした。

jiccaさんのおふたりにご提供いただいたランチプレートのお料理も、丁寧で思い切り良く、ウィットとアイデアに溢れていて素晴らしかったです。

無題/小夜』の制作から始まり、レコ発ライブ「やがて、ひかり」から今回の "fall into winter 2" まで、プリシラレーベルの2016年はおかげさまで充実した一年になりました。来年も良質な製品や興業をお届けできるよう日々精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。


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