2011年7月9日土曜日

奇跡

東京が梅雨明けした明るい土曜日の朝、ユナイテッドシネマ豊洲で。是枝裕和監督の映画『奇跡』を観ました。

九州新幹線全線開通の日、一番電車が交叉する瞬間に奇跡が起こる。その瞬間を目撃するために、7人の小学生が旅をするロードムービー。

両親(オダギリジョー大塚寧々)の別居で、兄(まえだまえだの前田航基)は母と鹿児島に、弟(同じく前田旺志郎)は父と福岡に暮しています。火山灰の降りしきる封建的な空気の鹿児島に暮す屈託ありまくりの兄と、自由で開放的な感じの福岡で女子にちやほやされて暮す能天気な弟。同じ九州でも全然雰囲気違うんですね。小学生たちがやたらと走るところは共通していますが。

兄の「家族4人でまたいっしょに暮したい」という願いを、他の家族3人がたいして望んでいないという現実。

死んだ愛犬は蘇らず、図書の幸知先生(長澤まさみ)とも結婚できず、 彼らが願ったような奇跡は結局起こらない。でも、新幹線一番列車がすれ違う時と場所は、歴史上、地理上ひとつだけ。その場所に辿り着き、その瞬間に立ち会えたことが奇跡です。

その瞬間に爆発する5人の友だちの感情と、爆発させなかった兄弟の想い。かるかんの味がわかるようになり、家族より世界を選んだ兄。で、世界って何だ?

主題歌、挿入歌はもちろん、劇中のインストナンバーを含めて、くるりの音楽が、鉄道への愛に溢れていて、とてもよかったです。

 

2 件のコメント:

  1. この映画、新幹線がすれ違う瞬間だけじゃなくて、その後お家に帰り着くところまで描かれてたのが私はいいと思いました。 
    くるりの曲、劇中の音楽も含めよいですよね。

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  2. 映画全編の通奏低音になっているかるかんのエピソードが、帰宅後の祖父と孫の会話の「あいつにはまだ早い」という台詞でぴしりと決まるところなんか、ほんとそうですよね。

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