2010年12月9日木曜日

triola 弦楽コンサート"Resonant"

triolaはヴァイオリンの波多野敦子さんとヴィオラの手島絵里子さんのふたりによる最小単位弦楽アンサンブル。そこで奏でられるグルーヴィで美しい音楽、偶発性と緻密な計算によって紡ぎ出される繊細で豊かな和声は、キース・リチャーズとロン・ウッドのギター二本の絡みを想起させます。

下北沢leteで開催される"Resonant"と銘打たれたコンサートには、「似顔絵音楽」という観客の一人をイメージして、その場で波多野さんが作曲しtriolaが演奏するコーナーがあります。

芸術家は日々自身と向き合い、独自の作品を創造するために苦闘し続けています。一方、観客・聴衆は都合の良いときに、気分に合うような作品の完成型だけをピックアップして楽しみます。適切な対価を払うことでそれを可能にするわけです。

ところがこの「似顔絵音楽」では、モチーフであるひとりの観客に作曲家が向き合い、脳に浮かぶ旋律、和声、リズムをその場で具体的な作品として譜面に起こし、演奏するというプロセスをエンターテインメント化して見せるという離れ業をやってのけてしまうのです。

今日のモチーフである観客ツキモトさんの印象を音楽化することを、波多野さんはだいぶ苦労していましたが、出来上がったのは雅楽のような不思議な和音を持つ見事な天上の音楽でした。

このように、圧倒的な才能とイマジネーションで疾走する波多野さんの音楽は、時にノイズミュージックすれすれのところまで踏み込んでいきますが、これを地上につなぎとめ、ポップミュージックとして成立させる手島さんの安定した演奏。このバランスの妙がtriolaの魅力だと思います。

折りしも今日が30回目の命日だったジョン・レノンの"Happy Xmas (War is over)"のカバー、新曲「駆け落ちクジラ」の奇数拍子のリフ主体のプログレ的盛り上がりも楽しく、満員の会場を共鳴させ、幸福感で充たしました。

次回"Resonant"は2011年2月5日(土)とのこと。そのころには現在制作中の新譜がリリースされているかもしれません。楽しみです。

 

2 件のコメント:

  1. あなたに神を愛しています。聖書を読んでください。

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  2. ノーマン・メイラーの『聖書物語』なんか結構好きですけど。
    ユダヤ人が描くイエス・キリスト像。

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