2010年10月10日日曜日

ききみみ

以前句会@フィクショネスでよくごいっしょさせていただき、いまは北九州で古本や檸檬を営んでいらっしゃる村田もも子さんから、東京でグループ展を開くご案内をいただきました。会場のギャラリー彦は西荻窪のぷあんのご近所。 東京リーディングプレスの編集スタッフをしていたころにさんざん通った街です。

会場に着くとアンティークの着物を着た町娘のような村田さん(左利き)が、2年前と変わらない、可憐な笑顔で迎えてくれました。

刈屋サチヨさんの鮮やかな色彩としっかりした描線のアクリル画、 志村雪菜さんのやさしい色調の絵具を直接段ボールに乗せた平面作品、そして村田もも子さんの俳句によって今回の『ききみみ』展は構成されています。

色彩豊かなふたりの絵画に並んで村田さんの作品は、一句ずつリングメモにプリントされて、ピンで壁に留められています。視覚的には紙の白とインクの黒しかないのですが、俳句ひとつひとつの言葉に、それぞれの季節の温度や湿度、光と影、音や匂いが感じられて、小さなギャラリーの空間に、一見控えめではありますが、確かな陰影を添えています。句会@フィクショネスで選んだ句もいくつかあり、懐かしい気持ちになりました。

 夕闇の白木蓮宇宙此処にあり
 彼の宙へ交信してをり時計草
 ほの温きアスファルト背に流星夜
 黒猫がビロード纏う星月夜

村田さんの地動説的なコンセプトの句が好きです。タイトルの『ききみみ』は昔話の「聞き耳頭巾」から採ったそう。その頭巾をかぶると動物や鳥の言葉が理解できるというお話です。同時リリースされた文庫サイズの句集『ききみみ手帖』もチャーミング。イラストを刈屋さん、編集と装丁を志村さんが手がけています。 東京では、千駄木の古書ほうろう、下北沢フィクショネスで発売中とのこと。

同級生三人のグループ展は明日まで開催。三連休の最終日、訪ねてみてはいかがでしょう。素敵に甘酸っぱい気持ちになりたい方には特におすすめです。

 

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