憲法記念の日、『広重「名所江戸百景」の世界』展を見に、ラフォーレ原宿の真裏にある太田記念美術館へ。玄関で靴を脱いで上がる、浮世絵専門の美術館です。
昨年、詩の教室でポーランドのノーベル賞詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカを紹介したのですが、彼女の詩「橋の上の人たち」が、歌川広重の「名所江戸百景」のなかの一枚「大はしあたけの夕立」を題材にしていたところから興味を持ちました。ワルシャワ経由で江戸を知る、みたいな。で、今回展覧会が開かれているというので、その作品が展示される後期の入れ替えに合わせて出かけました。
すごいものを見ました。いまで言えばA4サイズ程の作品が五十数枚。季節ごとに並べて展示されています。何がすごいって、構図がすごいです。上の画像は、三月に「同行二人」を開催させてもらったそら庵さんに行く途中に渡った「深川万年橋」(今は鉄骨の橋)なのですが、橋の上に置かれた手桶の持ち手に愛玩用商品の亀がぶら下げられていて、その向うに万年橋の欄干、さらに先には富士山が見えます。手桶も見切れていれば、亀も、欄干も見切れているという。
見切れているからこそ逆に、風景はA4サイズを大きくはみ出し、無限の広がりを感じさせます。1850年代の江戸ですから、カメラを見たことなどないはず、なのにこの写真的発想はどこから来たのでしょう。
この構図を考えたのは歌川広重ですが、それを支え作品化した版元、彫師、摺師という職人たちの名前は残っていません。残ってはいませんが、その確かな技術が作品を後世に残してくれたおかげで、僕たちは素晴らしい芸術を享受することができるのです。
そして、夕方から丸の内に移動して、、『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010』2日め。今日は公演No.215、Aホールで、モーツァルトのレクイエムを聴きました。指揮者は大ベテランのミシェル・コルボ。
39歳で亡くなったショパンの遺言により葬儀で演奏されたというモーツァルトのレクイエムは、昨日とは対照的に濃密で彫りの深い演奏でした。ショパンもポーランド人。なんか今日はそういう日みたいです。
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