2025年3月14日金曜日

早乙女カナコの場合は

春本番。TOHOシネマズ錦糸町オリナス矢崎仁司監督作品『早乙女カナコの場合は』を観ました。

2014年春。アパートの窓から桜の花びらが散るのが見える。大学1年生の早乙女カナコ(橋本愛)は窓を開け深呼吸する。幼馴染の三千子(根矢涼香)と二人暮らしの上京生活が始まった。

入学式は4月7日月曜日。新入生勧誘でごった返すキャンパスで女装の男子学生に銃で撃たれた男が倒れる。動転したカナコは助けを呼ぶが、それは演劇サークル・チャリングクロスの野外劇、撃たれた男は留年中の脚本演出担当長津田啓士(中川大志)だった。後日「死者を起こす者は強くノックすること」と書かれたチャリングクロスのドアをノックしたカナコは、ジャン・ユスターシュ監督映画で長津田と意気投合し入部、やがてふたりは付き合い始める。

2014年から2017年、蜂蜜色の光に彩られた4年間の大学生活は物語の最終盤である2023年から俯瞰すると青臭くて痛くて甘酸っぱい。サークルで一番の男前と呼ばれるようになったカナコを橋本愛がほぼすっぴんで演じています。脚本家になると言いながら一本も完成させられず卒業する気もないダメ男のおかげか、かつての神経質な美少女は包容力のある大人に成長しており、遊川和彦のドラマほど頻繁にはキレないです。

早稲田大学がモデルで早稲田松竹や東西線早稲田駅が映ります。おそらく日本女子大がモデルの日向女子大1年生の本田麻衣子(山田杏奈)がチャリングクロスに入り、長津田に猛アプローチする。今年の日本アカデミー賞優秀助演女優賞と新人俳優賞をダブル受賞した山田杏奈さんは、先日NHKで放送した主演作『リラの花咲くけものみち』の獣医を目指すコミュ障の大学1年生とはまた違う小悪魔的な役柄で、抜群に上手い。

存在感のある両校に挟まれてどちらの恩恵も受けない学習院大学が母校の僕は、インカレってこんな感じなんだ、と興味深く見つつも、所属していた現代詩研究会には長津田みたいになかなか卒業しないワイルドな先輩がいたので、懐かしい気持ちになりました。

大手出版社に内定してアルバイトをするカナコは同大卒の社員吉沢(中村蒼)に告白されるが、指導役の亜依子(臼田あさ美)が酔ってカナコの部屋に泊まった朝に吉沢の元彼女だったと知らされる。カナコと麻衣子、カナコと亜依子の間に友情のような何かが芽生える展開がとてもいい。橋本愛のランニングフォームが豪快なのもいい。

同じ柚木麻子原作映画『私にふさわしいホテル』に主演していたのんさんが同作の小説家有森樹李役で登場するのもアツいです。

 

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