2019年11月2日土曜日

イエスタデイ

晴天の土曜日。TOHOシネマズ日比谷ダニー・ボイル監督作品『イエスタデイ』を鑑賞しました。

売れないミュージシャンのジャック・マリク(ヒメーシュ・パテル)は誰も聴く人がいなくても路上や桟橋やカフェでギターを弾いて歌っている。その傍らにいつも寄り添うマネージャーのエリー(リリー・ジェームス)は普段は中学校で数学教師をしている。

フェスの出演を取りつけたもののテントステージの客足はまばら。もう音楽を辞めようかと自転車で帰る途中、太陽フレアの影響で全世界規模の12分間の停電が発生し、ジャックはバスに轢かれる。目覚めたのは、自分以外にはビートルズを知る者がいない異世界だった。ビートルズの楽曲を歌いジャックはスターダムにのし上がる。

トレインスポッティング』のボイル監督が描くロマンチックファンタジーミュージカルコメディ。掛け値無しに楽しめました。主人公が白人ではなく南アジア系、ローディ役がアフリカ系のジョエル・フライというキャスティングもよかったです。

パラレルワールドで、ビートルズだけではなくオアシスも消失しているのは、ビートルズの影響下にあることを強調しているのかも。ボイル監督は同じマンチェスター出身のギャラガー兄より一回り年上ですが、思うところがあるのでしょうか。一方、ローリング・ストーンズは存在しています。他に、ハリー・ポッターや煙草も消失しているのですが、その意図は上手く汲み取れませんでした。

他人の楽曲で売れたことに当然葛藤を持つ主人公の前に現れたビートルズを知るおそらく世界でたった2人がヲタクの鑑ともいうべき態度で心洗われるのと、エリーが本当に可憐で一途で愛おしくなります。

劇中で演奏されるビートルズの楽曲群は僕にはどうしても懐古的に聞こえてしまうのですが、それはおそらくビートルズの音楽に慣れ親しんでおり、且つビートルズに影響を受け更にアップデートされた音楽(例えばオアシス)も知っているからで、1960年代当時の耳にどれだけ斬新で画期的に響いたのか。

またサウンドトラックの選曲は、初期のレノン/マッカートニー混然一体な曲は別として、中期以降 "A Day In The Life" 以外はほぼポール・マッカートニー作品が選ばれています。ビートルズのソングライティングのわかりやすい革新性はポールによるものが大きかったのかな、逆にジョン・レノンは声と歌詞だな、と思いました。

 

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