2019年6月8日土曜日

BOOKWORM at Viscum Flower Studio

梅雨入り2日目。都営地下鉄大江戸線で蔵前まで。隅田川を厩橋で渡った対岸は墨田区本所。Viscum Flower Studio は春日通り沿いに建つ古い家屋をリノベーションしたビルの2階にあります。

フローリングの床に低いベンチとパイプ椅子がいくつか並べられ、21年目に入ったBOOKWORMが始まりました。

高田馬場Ben's Cafeをはじめ、1997~98年当時の東京で同時多発的にたくさんのオープンマイクが生まれました。その多くは自作の詩の朗読でしたが、現在も唯一継続しているBOOKWORMは「好きなことについて語る」というコンセプトで自作詩の発表は少数派。最近読んだ本、今朝のニュース、友達や家族との会話、体験したり見聞きした出来事。それらがひとりひとり異なる声と語り口に乗せて手渡され、皆が聞き耳を立てる。

この日は15人の話を聞きました。なかでも印象に残ったのは、芥川賞作家滝口悠生さんの日記ワークショップのお話。日記とは出来事の記録。でもそれだけではなく、その場にはないが思ったことも書き綴ろう、というもの。1日の時間のほとんどはその日その場所以外のことを思っている。それも今日の出来事には違いない。

写真家飯坂大さんは毎年1か月以上ネパールで過ごし、数年かけてグレート・ヒマラヤ・トレイルを踏破しながら、村人たちの暮らしを記録しています。

と革高見澤篤さんはジビエクラフトのアーティスト。ある日、北海道の猟師さんから送られてきた荷物に入っていた熊の手を見て、害獣と人間に呼ばれる動物たちの皮革で製品を作ってみようと思い立つ。野生の鹿や熊、猪の革は傷や穴があるので日本人には好まれないが海外に販路を広げている。

それぞれが異なる立場でそれぞれ違う話をするのに、なぜかキーワードめいたものが生まれるのもBOOKWORMの特徴です。この日は「余白」とみんな感じていたと思います。

僕は西崎憲さんの『全ロック史』(人文書院)を紹介し、この本には書かれなかった(正史からはみ出た)けれど、僕の偏愛するいくつかのバンドやミュージシャンの話を聞いてもらいました。

会場のViscumは宿り木の意。全員で河内音頭の動画音声に合わせて盆踊りのレクチャーを受けたり、にぎやかで時々厳かで楽しい数時間を過ごしました。主催の山﨑円城さん(画像左)、Viscumのオーナー岡本俊英さん(画像中央)、いつも握手であたたかく迎えてくれる遠藤コージさん板井龍くん(左利き)他、会場で出会ったみなさん、どうもありがとうございました。


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