2019年6月1日土曜日

ベン・イズ・バック

ザ・ファースト・デイ・オブ・ジューン。日比谷TOHOシネマズシャンテピーター・ヘッジズ監督作品『ベン・イズ・バック』を観ました。

舞台はiPhoneと電子タバコが存在する現代の米国中西部郊外の住宅地。うっすらと雪の積もっている。ページェントのリハーサルを終えた子供たちを車に乗せて帰宅したホリー・バーンズ(ジュリア・ロバーツ)を待っていたのは、ドラッグの過剰摂取で倒れ、薬物依存更生施設に入所していた長男ベン(ルーカス・ヘッジズ)だった。

幼い異父妹弟は喜びはしゃぐが、継父ニール(コートニー・B・ヴァンス)と聖歌隊のセンターを務める実妹アイヴィ(キャスリン・ニュートン)はベンの自宅滞在に反対する。母ホリーは1日だけと限定し、その場で尿検査を受けさせる。

MYライフタイムベストムービーの1本に挙げてもいい『ギルバート・グレイプ』の原作者で脚本家のピーター・ヘッジズが監督。クリスマスイブとクリスマスの24時間を描く。非常にタイトでサスペンスフルなツイストがあり、説明的なカットやナレーションを排し、音楽も最小限で効果的。ジュリア・ロバーツ(左利き)とルーカス・ヘッジズのお芝居も非の打ちどころがないです。

薬物依存者がドラッグディーラーにもなり、友人や恋人を依存症に引きずり込んでしまう。当人が更生を望んでも、彼のせいで亡くなったり、苦しんでいる人が存在する。この視点には本作で気づかされました。ベンの依存症の発端は興味本位ではなく、怪我の治療のために処方された鎮痛剤だったため、母親は外科医を憎んでいるが、老医は認知症でその事実を忘れてしまっている。

そして、母親と息子の距離感が心身ともに近いなあ、いまどきの男の子ってお母さん大好きだよなあ、と感じました。僕自身はおばあちゃん子だったこともあり、同世代の友人たちと比較しても母親との関係性が超ドライなためその点に関して共感の度合いは薄いのですが、良く締まった素晴らしい作品であることは間違いない。教会で "O Holy Night" を歌う妹アイヴィのアルトが大変美しいです。


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