2018年8月16日木曜日

カメラを止めるな!

時折吹く風に夏が後半に入ったのを感じます。TOHOシネマズ日比谷上田慎一郎監督作品『カメラを止めるな!』を観ました。

元浄水場の廃墟でインディーズのゾンビ映画を撮影中。「君に死が迫ってる。本物の恐怖があったか? 出すんじゃなくて、出るんだ!」。一所懸命な主演女優(秋山ゆずき)の芝居に切れる監督(濱津隆之)。仲裁に入るメイクさん(しゅはまはるみ)。主演俳優(長屋和彰)と女優は恋人同士。そこに本物のゾンビが現われパニックに。

昨年11月の公開時の上映館は新宿K's cinemaと池袋シネマロサという渋めのミニシアター2館のみ。現在は全国180館以上に拡大し、僕が観た回も1000席以上の大箱が満席でした。この夏最大のヒット作と言ってもいいでしょう。

こういうコアな拡がりを見せる作品って、近年はタイムラインだけでお腹一杯で、怒りのデスロードズートピアバーフバリも観ていない残念な僕ですが、この映画を観ようと思ったのは、たまたまTOKYO MX情報バラエティ番組に監督が出演しているのを観て、そのあまりに楽しげな様子に心打たれたからです。

そして実際作品も楽しかったし、登場人物たちのポンコツさに大爆笑して、家族の物語にちょっとだけホロっとして、前半の「え、ここは笑うところ?」みたい微妙なシーンも後半見事に伏線回収され、最後はすっきりしました。

ヒロインは白のタンクトップとか、ホラー映画の定型もしっかり押さえられていて、いやむしろテンプレがあるがこその自由度というか、予算も含め、映画制作に関わるすべての制約を裏返しにする情熱とスピード感がある。撮影は8日間で終えたそうです。

卒業制作の低予算映画で世界的ヒットになったといえば、ジム・ジャームッシュ監督の『パーマネント・バケーション』を思い出します。あるいは映画製作にまつわる悲喜劇を多数撮ったフェリーニウディ・アレン。上田監督もいずれそんな風になっていくのかな、と思います。

 

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