2018年6月24日日曜日

first

雨期。出かけるときに降っていた細かい雨は、中央線に乗り換えて信濃町駅を過ぎる頃には止みました。西荻窪アートリオンで開催された後藤雪絵さんのワンマンライブ『first』に行きました。

後藤雪絵さんは大阪を拠点にするシンガーソングライター。東京で初ワンマンライブ。彼女の音楽をはじめて聴いたのは3年前の北参道ストロボカフェ2015年6月16日、僕の50歳の誕生日のことでした。

自作曲「テレパシー」を「非科学的な歌です」と紹介する。後藤さんは理性の人。何か出来事に対峙したときに、無条件に受け入れることを選ばない。よく観察し、疑問を持ち、考え得る限り複数の視点から、その経緯を理解しようとする。

歌詞は勿論、大きく跳躍する旋律も、転調の多い脱構築的な和声も、思考の必然性と深く結びつき構成されているように思えます。そして、クリーンでグルーヴィなピアノ演奏に乗せ、レンジの広いハスキーボイスがある一点を超えるとき、肉声のエモーションがロジカルなソングライティングを凌駕する。その瞬間を味わいたくてライブに足を運びます。

約90分間、アンコールを含め、全16曲。初期の名曲からレコーディング中の新作まで。後藤さんの音楽を堪能しました。唯一惜しかったのは僕が座った最後列からだとボーカルのリバーブが少々深過ぎるように聴こえたこと。個人的な好みですが、昼間のライブには若干ドライ目な音響のほうが合うと思います。歌唱技術が確かなだけに。もっと細かな息づかいまで聴きたい。

14時過ぎの終演時には空はすっかり晴れ上がり、半地下の坪庭の新緑がアートリオンのよく磨かれた床に映ってとても綺麗でした。

 

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